新しい記事があります
月島『岸田屋』今こそ名酒場!煮込みだけじゃない、50年以上続く理由がある
2015年の記事
月島にある岸田屋は、大衆酒場のなかでも特に知名度の高いお店。そのため、平日でも常に行列ができていて、すんなり入れることは滅多にありません。
それでも、待ってでも食べたいと思わせる「煮込み」がここにはあるんです。
「東京五大煮込み」という言葉は資生堂宣伝部出身でお酒関係では知らない人はいない太田和彦氏が著書の中で書かれたもので、この言葉は酒場歩きが趣味の人には基本用語として浸透しています。
そのひとつにここ岸田屋も数えられています。
月島はもんじゃ焼きストリートなんて言われているくらい、ここの商店街はもんじゃ焼き屋だらけなのですが、その中にひときわ古典酒場オーラを漂わせているのがこちら。
コの字カウンターだけのコンパクトな店内は、まさに典型的な老舗酒場の雰囲気。短冊に白文字で書かれた豊富なおつまみ、天井に貼られた飴色の魚拓。ここは作られた昭和ではない、自然体の古さの魅力がつまっています。
いらっしゃいませ。
ここの店員さんは昔から女性だけ。それが、この硬派な空間において岸田や独特の柔らかさになっているように思えます。
さて、大びん(キリンラガー)と煮込みをもらって、まずは乾杯と。
もつ独特のきつさはなく、とろけ具合が絶妙、脂の旨味と甘辛の味付けが毎度驚くほどに美味。
結構ボリュームがあるので、一人一皿で結構満足。でも、ここは実は煮込みだけではなく、ほかの料理も美味しいんです。
お酒をください。菊正宗と松竹梅から選べます。冬の寒空の下梯子酒をして冷えきった体に煮込みと燗酒が嬉しい♪
煮こごりをつまみながら、ゆっくりと酒場に浸ります。
うん、ほっとするなぁ。
湯豆腐は冬場は頼んでおきたい逸品。煮付けや焼魚、一般的な居酒屋メニューがいろいろありますが、やっぱりこれでしょう。老舗酒場のお豆腐は美味しいことが多いです。
席数がそんなにないから混んじゃうのだけれど、この大きさにこそ魅力があります。
お店の人やお客さん同士の距離の近さ、お店全体が熱量を持ったようにほっこりとした雰囲気を奏でているのです。
酒場の魅力は、どれひとつとして同じお店がないこと。岸田屋の魅力もまた、ここにしかありません。
混んでいたって、とにもかくにも一度はこのカウンターに座ってみてください。きっとこの良さがわかっていただけると思います。女性のお一人様も勇気をふりしぼって!
実は、ラストオーダーギリギリはすんなり入れることが多いです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見なゆ)
岸田屋
03-3531-1974
東京都中央区月島3-15-12
17:00~21:30(日祝定休)