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下記は2015年の記事です
根津に美味しい割烹料理で飲ませてくれる30年以上続く居酒屋「車屋」があります。駅前の角から一本入った路地にありますが、駅からも近くて便利。それでいて人通りがあまりない場所なので静かな根津の魅力を感じられる場所でもあります。
東京メトロ千代田線で美味しい魚と日本酒や焼酎を楽しみたくなれば、根津で途中下車して間違いなし。だいぶ間が開いていましたが、久しぶりに車屋で飲んできましたのでその魅力についてご紹介していきます。
根津を代表する名居酒屋
お店は一階がカウンターとテーブル席の一般的な町の居酒屋の配置。二階は団体で楽しむことのできる座敷があります。割烹スタイルのお店なので、やはり一人・二人で飲むのでしたらぜひ一階の、空いていればやはりカウンターを選びたいもの。
いらっしゃい!と二代目の大将。今日もお客さんがいっぱいで忙しいようで、ものすごい勢いで美味しそうな肴を次々料理しています。
飲み物の一杯目はやはりビールかな。瓶ビールもありますが、車屋ならば生ビールからスタートで!美味しそうなキリン一番搾り登場、それでは乾杯です。
手元の品書きには定番料理が並びますが、ここは毎日の仕入の状況で変化していく「おすすめ」から今宵の献立を考えていきましょう。和食の職人の元で経験をつんだ大将の用意する料理は割烹にあるようなものが多いです。
お刺身をはじめ魚介類が豊富です。これだけ種類を揃えても売り切るお店の人気があるからこそ。
まずはすぐ出る料理でもずくから。酸味を抑えて出汁を効かせた一品。生ビールの肴にするすると口にいれていけば、梅雨の疲れも回復しそう。
今夜はたくさん飲みたい、そんな気分で焼酎のボトルをとることに。昨年、鹿児島に焼酎を飲みに行った際に地元の人が日常愛飲酒として楽しまれていた黒伊佐錦。旅先の夜、地元の人達と飲んだときの思い出もあるので、数ある焼酎から伊佐錦をもらうことに。ボトル焼酎は2500円程度。
ロックで進めていきましょう。乾杯!
梅雨のいまが一番美味しくなる最旬の穴子。しかも活穴子をつかった白焼きは弾力があり噛むと旨味と油がぎゅっと口に広がってきます。その余韻が残ったまま、芋の香り漂う伊佐錦をくいっと。
おまかせのお刺身三点、今日は甘エビ、かつお、ブリが盛られています。甘エビは小ぶりですが鮮度がよく味噌まで甘くて美味しいです。お刺身と焼酎の組み合わせは毎晩やっていても、毎回そのときが最高に思えます。
お店の雰囲気が京都の「神馬」とか「赤垣屋」のような雰囲気なのでまるで洛中で飲んでいるような気分。昔からの下町・根津や千駄木の雰囲気ってどこか京都に似ているような気がしませんか?
さて、もろこ…ではなくて、稚鮎があるとのことで、それの唐揚げでいただくことに。独特な苦味とくしゅくしゅした身の優しい甘味にうっとりです。
米ナスの揚げ出しは、包丁の入り方がよくて一口サイズでお汁との絡み具合もちょうどいい。そろそろ一本空いちゃいそう(笑)
最後に名物の鯖の一本寿しをもらって、久しぶりの〆的なものを。酢飯を少なめにしてもらえば、鯖寿司ってそうとう素敵な肴になります。鯖のしめ具合がかなり若めですが、味付けのバランスはちょうどいい。
シックな木造の店内で腕のいい大将の海鮮料理を肴にお酒を飲み進める。これぞ居酒屋のあるべき姿!と思うのですが、なかなかここまで満足のいくお店も少なく、車屋の魅力は居酒屋として求められているものをすべてクリアしているということが魅力なのだと思います。
場所柄、東大の先生や根津周辺に暮らす知識人が多く利用しているので、お店の雰囲気もどことなく知的。大将も穏やかな感じで接客していて、混んでいても全体的に落ち着きがあるのは流石です。
看板猫の「たろー」くんは、お店の歴史の半分近くを知っているふるがお。紐がついていますが、動きまわったり大きな声を出すこともなく、穏やかに飲兵衛の様子を見守っています。
こんなにお魚の美味しい香りが漂う空間でじっとしていられるなんて、そうとうな賢者にゃんこです(笑)
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
車屋
03-3821-2901
東京都文京区根津2-18-2
17:00~24:00(土16:00~・日祝定休)
予算3,000円