荻窪『川勢』ジューシーな鰻ヒレニラ巻は一度食べたら忘れられない

荻窪『川勢』ジューシーな鰻ヒレニラ巻は一度食べたら忘れられない

荻窪駅北口で長年親しまれてきた鰻串の酒場『川勢(かわせ)』。夕方になると香ばしい匂いがアーケードに漂います。鰻で飲むといえば高級なイメージがありますが、ここは正肉よりもアラがメインなのでお手頃価格。鰻を味わい尽くせる貴重なお店です。

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鰻の名店で修行した大将の酒場

喫茶店、大衆中華など昭和から続く飲食店が並ぶレトロなアーケード「荻窪北口駅前商店街」に、今回ご紹介する『川勢』はあります。こうしたアーケードが再開発されずに残っているのは、荻窪生まれの筆者としては嬉しいです。

『川勢』の雰囲気も昔から変わっていません。より一層燻されて、文字通り「いぶし銀」度合いがましたようにも思えます。

店主さんは、中野にある鰻串の名店「川二郎」で修行された方で、基本的なスタイルは中野の「川二郎」に近いです。

ランチタイムは行列のできる良心価格のうな丼屋さんですが、『川勢』の本領発揮は夜の居酒屋営業にあります。

ランチサービスのうなぎ丼は1,600円とまだまだ安い!サービス品以外でも、蒲焼き大が2,500円、弁当が1,800円など、相場よりだいぶ安いでしょう。

夜の居酒屋営業時の看板料理は、そんな蒲焼には使わない鰻のアラの串焼きです。正肉よりも断然リーズナブル。

年季のはいった店ですが、脂分を含む煙が毎日充満する店とは思えないほどよく手入れがされています。外観の渋さもあって、初めての方は一人で入りにくく思えるかも知れませんが、勇気を出して暖簾をくぐってみてほしいです。

意外と若い世代のお一人様もいて、老若男女、客層は様々。一階はカウンター席だけですが、二階は4人テーブルが数卓並んでおり、ちょっとしたグループ飲みにも対応してくれます。

アラにしかない美味しさがある

一階のカウンターはどこも特等席です。コンパクトな店なので、冷蔵ケースに入った生の串が焼かれ始め、タレを潜って供されるまで、一連の流れを眺めてお酒が楽しめます。

酒場のカウンターに座り、ビールが届く。この瞬間は何千回やってもやっぱりテンションがあがります。ビアタンをクラシックラガーで満たして、それでは乾杯

お通しはキャベツの漬ものと決まっています。これをパリパリとつまんで、串が焼けるまでをつなぎます。

主役の鰻串は、基本的には一通りをもらって、それから追加するという流れ。蒲焼よりもリーズナブルですし、せっかくの専門店、しっかり部位ごとの味の違いを楽しみたいですね!

まずはきも、ばら、ひれ。鰻の肝焼きは巷の居酒屋にもありますが、バラとヒレは珍しい。バラとは腹骨のこと。魚で最も脂が乗った骨周りです。骨ごとコリコリと食べるのですが、硬さは気になりません。むしろ、味の濃さが衝撃的です。

それより驚くのは、ヒレ。背びれ、腹びれをニラに巻き付けたもので、かぶりつくと小籠包を割ったようにジュワッと脂や汁、タレが溢れ出してきます。

続いて、いわゆるクリカラ焼きである「串巻」と正肉の「短冊焼」が焼き上がりました。少しずつ焼いてくれるので熱々のまま楽しめます。

串巻は脂の多い正肉をしっかり炙ったことで表面がパリッとなり、普段の蒲焼にはない食感です。これは楽しい。もちろん、一串サイズの蒲焼である短冊焼もいい味です。

最後にごぼうに鰻を巻き付けた八幡巻き(左)がでて、この日の一通り6本です。

あわせるお酒は、常連さんの飲み方に習ってビールから甲類焼酎へ。梅割りなどはなく、キンミヤ焼酎25度をストレートでいただきます。度数が高いので注文は3杯までと書かれています。

鰻は脂が強い魚ですから、このくらいガツンとくるお酒が案外合うのです。

銀杏や椎茸など、ちょっとした串を追加してすっかり大満足。

夜も肝吸いは注文可能です。最後に温かいものをお腹に入れるとホッとします。

ごちそうさま

中野周辺や赤羽、葛飾、渋谷、蒲田など、近くに河川がある古い飲み屋街には意外と残っている鰻串の酒場。どの店も魅力的ですが、荻窪の『川勢』は落ち着いた雰囲気で、夜は混み過ぎもせず、ちょうどいいお店です。なにより、串が美味しい!

店舗詳細

  • ビール(樽生サントリー・瓶ビールキリンクラシックラガー):600円
  • 酒二級酒:550円
  • 純米酒:650円
  • 焼酎キンミヤ:430円
  • ウーロンハイ:480円
  • うな丼:1,800円
  • 串巻・きも・ばら・ひれ・れば:各280円
  • 八幡巻・短冊焼:各400円
店名川勢
住所東京都杉並区上荻1-6-11
営業情報12:00 – 14:00
17:00 – 21:00
定休日
日曜日