浅草『ヨシカミ』うますぎて申訳けないス!1951年創業 名門のオムライスで洋食飲み

浅草『ヨシカミ』うますぎて申訳けないス!1951年創業 名門のオムライスで洋食飲み

2025年7月24日

「うますぎて申訳けないス!」

一度聞いたら忘れられないこの言葉で知られる、浅草の老舗洋食店『ヨシカミ』。活気あふれる厨房から届けられる王道のオムライスは、数ある名店の中でも一段と輝いています。これぞ東京の洋食、これぞ浅草の味。今回は、この絶品オムライスを肴に、老舗で楽しむ洋食飲みの魅力をご紹介します。

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浅草六区の熱気を今に伝える「料理ショー」

かつて日本のブロードウェイとして栄えた街、浅草六区。その賑わいの中心から一本入った路地に、1951年(昭和26年)から続く洋食の金看板『ヨシカミ』はあります。

戦後復興の活気の中で産声をあげ、浅草演芸場やフランス座にあがる芸人や、祭り好きの下町・浅草の人々の胃袋を満たしてきた、浅草の食のタイムカプセルのような存在。

現在の建物は1960年(昭和35年)に建て替えられたもの。あえて当時の姿を大切に残したという店内は、赤いギンガムチェックのテーブルクロスが温かく、壁を埋め尽くすサイン色紙がその永い人気を物語っています。

この店の心臓部といえるのが、活気に満ちたオープンキッチンです。

テーブル席からでも垣間見える厨房では、10人近いコックさんたちが背番号(胸に刺繍されています)入りのコックコートをまとい、それぞれの持ち場で小気味よく調理を進めています。オーダーをさばく司令担当、フライパンを操る火口担当、サラダ担当など、その連携プレーはまさに圧巻の一言。

店の総席数は57席。それほどの大箱の洋食店でオープンキッチンというのは、他店ではあまり見かけませんが、これは深夜の酔っ払い客からは、都度払いで支払ってもらっていた名残だそう。

美味しさを磨き続けてきたから「名物」となった

チェックのテーブルに似合うキリンラガー

キリンラガービール中瓶 780円

まずは瓶ビールをお願いしましょう。定番のキリンラガー(780円)がこの雰囲気にしっくりきます。

ビールだけでなく、グラスワインも赤・白ともに手頃な価格で揃えられており、洋食とのマリアージュを楽しむ常連さん多数。取材時も、お隣の老夫婦がボトルワインを楽しまれていました。

赤ワイン グラス 780円

カウンターの向こうで繰り広げられる調理の音と香りを肴に、グラスを傾けて。それでは乾杯!

オムライス(1,500円)

数ある名物料理の中でも、私のオススメはオムライス。注文が入ると、熟練のコックさんがフライパンを振るいます。超強火で一気に炒められたライスが、薄焼き卵の上へ。そこからわずか20秒、瞬く間に美しい紡錘形に整えられていきます。

この魅力を一言で表すならば「完璧なオムライス」。流行りのふわとろではなく、丁寧にきっちりと包まれたクラシックスタイルが美しい。

焦げ目が一切ない鮮やかな黄色の薄焼き卵に、たっぷりと垂らされたケチャップ。SNS映えなど関係なく、純粋に洋食好きなら全員が喜ぶビジュアルです。

スプーンを入れると、中はパラリと炒められたケチャップライス。

具材は鶏肉ではなくハムと玉ねぎ、マッシュルーム、そして彩りのグリンピース。これは、鶏肉が高価だった創業当時のレシピを今も守っているため。卵の優しい甘み、ハムの塩気、そしてケチャップの酸味と旨みが一体となり、口いっぱいに懐かしくも完成された美味しさが広がります。

トッピングのフライ類は500円ほどからととても手頃なので、ちょっぴり贅沢したいときは必ずお願いしています。今回は大好物のエビフライを注文。

タルタルもいいけど、ケチャップと合わせちゃうのも”あり”!

たっぷりバターの余韻にぐっと苦いキリンラガーを。やっぱり、浅草は美味しい。

水曜限定「たっぷりランチ」がコチラ

『ヨシカミ』は平日の17時まで限定で、お得感のある「たっぷりランチ」2,100円を提供していて、これが昔から浅草っ子に大人気。平日は地元民、休日は観光客とある程度棲み分けができていることも、二世代、三世代で通う常連さんが多い理由のひとつでしょう。

  • 月曜日:ビーフシチューとナポリタン
  • 火曜日:ポークソテーとドライカレー
  • 水曜日:メンチカツとカレーライス
  • 木曜日:定休日
  • 金曜日:一口カツとカニヤキメシ

それぞれにコーンスープとコーヒーまたはアイスクリームがつきます。

コーンスープは、ポタージュタイプ。パンプキンスープのような色ですが、これは人参や玉ねぎをたっぷり溶かしているため。濃厚でとろとろ、夏でも嬉しいホッとする味です。

水曜日の「たっぷりランチ」はビーフカレーとメンチ。小麦粉を使った日本式カレーが、これまたしみじみ美味しい。じっくり煮込まれたことがわかる深い色合いのカレーは、スパイシーさの中に野菜や肉の旨みが溶け込んでおり、まさに洋食屋の王道の味わいです。

水曜日のメンチカツは子どもの手のサイズ。ザクっとした小気味よい歯ごたえの衣の中から、肉汁がじゅわっと溢れ出します。それでいて柔らかくはなく、しっかり噛み応えがある食感。玉ねぎの甘みが効いており、ソースの濃い味もあわせてビールやワインがぐんと進みます。

ごちそうさま

創業から70余年。老舗と呼ばれる洋食店に求める理想の料理をしっかり安定して提供し続ける。それが『ヨシカミ』らしさだと思います。

活気あふれる劇場型のオープンキッチンで、職人たちの手さばきを眺めながら味わう王道の洋食。浅草を訪れたなら、この食の文化遺産ともいえる一軒で、忘れられない食体験をしてみてはいかがでしょう。

店舗詳細

  • アサヒスーパードライ・キリンラガー中瓶 780円
  • サッポロヱビス小瓶 680円
  • スコッチウイスキー 750円
  • ビーフシチュー 3,200円
  • カツサンド 1,350円
店名洋食屋ヨシカミ
住所東京都台東区浅草1-41-4
営業時間11:30~22:00 (ラストオーダー 21:30)
ランチメニューは17:00まで提供  
定休日: 木曜日(祝日の場合は営業)
創業1951年