新潟市中央区。レトロなアーケードにある昭和30年代より続く老舗酒場『新小とり』。一度は店を閉めるも復活し、いまも地元の人たちが集う大切な場所となっています。名物のおでんや焼鳥をつまみに、手頃な価格の地酒を楽しみましょう。
新潟にしかない価値を感じる酒場
新潟は駅から離れた場所に商店街が点在していますし、そこに小さな飲み屋街も形成されています。交通の主役が鉄道や自動車になる前の時代、船が活躍していた頃の名残で、たいへん貴重です。それらが、規模を縮小しつつも続いているのがまた嬉しい。
「新潟は駅前よりも、離れた場所に名店がある」と常々思っています。
今回ご紹介する『新小とり』もそのひとつ。創業は昭和34年。2代目の女将さんが中心となって切り盛りされている老舗酒場です。
オープンは17時とのことですが、開店に合わせて訪ねると、すでに常連さんたちが楽しそうに飲んでいました。
大都市圏ならば、再開発などでマンションに姿を変えていそうですし、規模が小さな都市ならば駅や中心街から離れた店は商売が厳しいでしょう。この雰囲気は、新潟市の規模だから残っている偶然の産物のような思えてなりません。
長く続け、2020年頃一度閉店するも復活し、いまもご商売をされているお店の皆さんに感謝ですし、飲み支えて楽しそうに過ごされている常連さんにリスペクトです。
品揃え
お酒
- 樽生 アサヒスーパードライ:550円
- 瓶ビール アサヒ・キリン・サッポロ:中瓶600円
- 地酒 麒麟山・鶴の友・北雪・白雁(はくがん):各350円
料理
- 牛すじ:350円
- おでん:120円~(秋冬限定)
- 焼鳥(赤・白・皮・砂肝・はつ):各100円
- 焼鳥(たん・かしら・小とり・とりレバー・つくね):各150円
- 名物 美味しい煮込み:400円
ホワイトボードメニュー(例)
- えご:350円
- 赤ひげ塩辛:400円
- 黒崎枝豆:600円
- いわし煮付け:350円
- じやがバター:200円
- 女池冬菜おひたし:350円
日本酒を飲む、それから料理を考える
ここは酒処新潟。ビールや酎ハイと比べ、日本酒が安い!しかも佐渡の北雪や長岡の越乃白雁まであります。となれば、お酒から始めるでしょう。
新潟の酒、味が濃いと評判の鶴の友をお燗にしてもらい、まずはこちらで乾杯!
お通しと一緒に、改めてサッポロ黒ラベルの中瓶をもらい、落ち着いたところでメニューを考えます。お店の皆さんはとても温厚で、常連さんも和やか。最近、こういう自宅の居間の延長のようなお店は減ってしまいました。
お燗の鶴の友の力か、お店のムードのためか、あったかくなります。
『新小とり』の名物は「美味しい煮込み」。ふつうサイズ(400円)のほか、一人飲みに嬉しい小サイズ(300円)も用意されています。
ご覧の通り、私たちが想像する煮込みとは異なり、具だくさん野菜スープのような料理です。モツは入っていますが、パイタンスープのような味で、旨味と塩味がお燗酒に寄り添います。
新潟のおでんなのだから、車麩やつぶ貝などの種を期待しますが、こちらは至って普通の食材です。薄味にみえて、かなり出汁が強く甘みがあるので、これはこれでお酒好きなら納得の美味しさ。
小千谷市になある長者盛がつくる熟成にごり冬将軍。これもお燗にできるとのことで、上燗くらいにあげてもらいました。香り豊かでまろやかな米の旨味が秀逸です。
そうこうしていると、お願いしていた焼鳥が焼き上がりました。店名にある通り、名物は焼鳥です。ただ、埼玉や北海道一部地域のように、こちらの焼鳥も豚モツが中心です。玉ねぎを挟むのも似ています。
畜産が盛んな地域であるとともに、新潟の開発に北海道など各地から人が集まったことで、新潟に豚モツが広まりました。昭和30年代から続く『新小とり』は、その頃から続く味というわけです。
ぱりぱりになるまで焼かれた塩焼きは、日本酒と相性抜群。
徳利1本350円。新潟で飲むお酒は普通酒でもしみじみ美味しく感じます。体温と同じ温度のお酒が五臓六腑に染み渡る!
女池菜(めいけな)という野菜を知らなかったため、注文してみました。聞けば、とう菜で新潟の特産品とのこと。積雪を乗り越えており、味が濃い。
ごちそうさま
派手な料理やお酒はありません。あるのは、酒場という空間の本質的な価値だけ。女将さんたちのもてなしと、ゆったりと流れる時間に癒やされました。ご近所さんがふらりと飲みに来る。昔懐かしい酒場の景色が残っています。
店名 | 新小とり |
住所 | 新潟県新潟市中央区秣川岸通2丁目2339 |
営業時間 | 17:00 – 23:00 ■ 定休日 4日・14日・24日 |
創業 | 1959年頃 |