キャッチコピーは「亀有の関所」。
亀有駅徒歩2分の場所にある「もつ焼・焼鳥 江戸っ子」は、この街を飲み歩く人ならば一度は飲みに行くような定番の酒場です。東京城東エリアならではの、色付き・風味付きの焼酎ハイボールは「ボール」と呼ばれ、タレ焼きの豚モツとの相性は完璧なまでにマッチしています。
1966年(昭和41年)創業、亀有の江戸っ子は、長く地元に愛されてきたもつ焼き専門の酒場です。焼台に立つ三代目を先頭に、平日のわずか4時間の営業時間に膨大な数の串を売り切ります。朝から仕込むため、準備時間のほうが長いです。
長い藍色の暖簾の下は、道路に面した立ち飲み席。店内はニの字のカウンターが奥へと伸びており、正面左側は立ち飲み(約20人分)、右側(約15席)は着席カウンターとなっています。
二名以上は2階席
1階のオープンは16時30分頃。どっと一人飲みのお客さんが流れ込みます。
そしてしばらくするとベテランのお姉さんにより2階の準備が進められ、フルオープンとなります。2名以上で通されるのは2階席(約20席)です。2階へ続く階段は左の立ち飲みスペースのさらに奥にあります。
「グループ客は2階へ」となっているものの変形コの字カウンターを配しただけの作りなので、2~3名が妥当なところ。
特製酎ハイボールを目当てに飲みに行く
特製酎ハイボール(360円)。
お姉さんの準備が整ったところで、目的の「ボール」こと特製の酎ハイボールをオーダー。柑橘系果汁や漢方エキスを配合した秘伝のエキスを甲類焼酎とあわせ、提供時に電冷式の酎ハイディスペンサーを経由し炭酸水を添加したオリジナルの酎ハイです。
ほとんどのお客さんが酎ハイを頼みますが、樽生ビール(600円)や瓶ビールも取り扱いがあり、ともにキリン一番搾りが用意されています。なお、日本酒は首都圏では一部の老舗でみかける京都・伏見の富翁の瓶詰めです。
コンビニなどで売っている甲類焼酎のコップ酒の容器を七味入れにしているのが、江戸っ子流。ボールと列ぶ景色に、江戸っ子好きはホッとします。
このボールは脳裏に残る味。飲み口爽やか、甲類のクセを感じさせずにしっかりアルコールは濃い目。ニクニクを利かせた辛タレにも負けない程よいクセがあとを引きます。
江戸っ子のルールはもつ焼き4本盛り
もつ焼きは1本90円で、1皿4本単位での注文になります。
ただ、「みつくろい」というオーダーをすれば、シロ、ナンコツ、カシラ、レバーを1本ずつ盛ってくれるのでオススメです。2本・2本で合計4本にすれば、それで1皿(※やき鳥は値段が違うので混ぜられません)という注文も可能です。
お通し、席料などありません。ですから、自分でお通し代わりになるすぐでる一皿は頼んでおきたいところ。お新香やわらびは180円。
ガツ刺し(360円)。
もつ刺しは、ガツ、コブクロ、シロ、タン、脂身の5種類。いずれも360円で、4本盛りのもつ焼き一皿と価格が揃えられています。回転寿司同様にお皿で会計額が計算できる仕組み。※会計は伝票を使用
おすすめはガツ刺し。鮮度がよくて水っぽさはなく、噛むほどに旨味がにじみ出てきます。
甘タレ、カラタレ、ミソタレと3種類
シロとハツのカラタレ。
もつ焼きの味付けは4種類から選べます。塩と甘タレの2種類というのが一般的ですが、こちらではさらにニンニクを利かせた醤油味のカラタレと、朝鮮風ミソタレも選べます。
どれもオススメですが、筆者はシロならばカラタレが好き。ガツンとくるニンニク味と豚モツらしい旨味がしっかり主張します。その余韻にすかさずボールを合わせるのが絶品だからです。
カシラとだんごのカラタレ。
江戸っ子のモツはいずれも鮮度が非常に良い。ガンガン焼いて、次々売れているので焼き置きによる肉汁抜けもなく実にジューシーです。
タンとナンコツは塩。
1本90円とは思えないほどにモツは大きく、写真のタンのように刺し方に規則性があり、丁寧な仕事が伝わってきます。
肉だんご甘タレとボールは更に好相性
肉だんご甘タレ。
一番の好物は、だんごことつくねかもしれません。だんごという呼び方は、江戸っ子の流れを汲む他店でも呼ばれています。ここのつくねは旨味が強く、甘タレを纏うことでよりボールを誘う味となります。
適量は3杯。江戸っ子のボールは4杯飲むと、ちょっぴり帰りが不安になるかもしれません。お酒は楽しく適量で。
亀有の江戸っ子は、もつ焼き好きならば一度は訪ねてほしい一軒。営業時間が短く、さらに平日のみの営業ですが、時間を見つけて訪ねてみてください。きっと美味しい時間が過ごせます。
二千円でお釣りが来る、亀有の関所を今宵も無事に通過できました。
ごちそうさま。
近くの酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 2021年2月24日、最新の情報に更新)
店名 | 江戸っ子 |
住所 | 東京都葛飾区亀有5-32-1 |
営業時間 | 営業時間 [月~金] 16:20~20:30(L.O.20:00) 定休日 土曜・日曜・祝日 |
開業年 | 1966年 |