すすきの(札幌)『鳥八の魚や』創業半世紀。カウンターで楽しむ季節の魚介料理。

すすきの(札幌)『鳥八の魚や』創業半世紀。カウンターで楽しむ季節の魚介料理。

2021年2月23日

半世紀以上続く老舗焼鳥の「鳥八の魚や」。鳥八という焼鳥からはじまったお店ですが、店名に「魚や」がつくとおり、魚介類が充実しています。すすきの交差点に近い場所にありながら、貴重な地域に根づいた酒場です。

せっかく札幌に来たのだから、すすきので郷土料理を肴に一献傾けたいものです。

大箱を探すとチェーン店や個室系居酒屋が多いですが、一本路地に入ると味わい深い酒場があるのがすすきのの魅力。この街で長く続いてきた酒場を覗いてみませんか。

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地元の人が通う酒場

古い飲食ビルの2階に店を構える「鳥八魚や」。焼鳥の店炉端焼きの店が二軒あるような看板ですが、ひとつの店舗です。

早い時間には、界隈の飲食関係と思われる地元の人が軽く飲みに来る姿もあります。

ベテランのお姉さんが「いらっしゃい」と迎えてくれます。板場や炉端に面したL字のカウンターが広がり、腕の良さそうな実直な感じの板前さんが黙々と仕事をしている様子を眺めます。

口開けの店内は準備を整えたばかりの熱量を感じます。生簀には活魚・活貝も出番待ちといったところ。

冬の北海道の飲食店は本州の店より暖かい。コートを脱いで落ち着いたら、途端にビールが欲しくなりました。トクトクとサッポロクラシックを注いで、乾杯。

約40席ある、やや広めの店内。カウンターのほかにテーブル席があり、地元の人が他所から来た人をもてなすシーンなどでも利用されている様子。

北海道の地酒を揃える(品書き)

お酒

樽生ビールは白石でつくるアサヒスーパードライ(中ジョッキ500円)、瓶ビールではクラシックのほかにサッポロラガー(中びん550円)を置いています。燗酒向けの定番酒は合同酒精の「北の誉」、グラス売りの地酒では、増毛の国稀男山特別純米 木錦屋、根室の北の勝などが選べます。

その他、ウイスキーがニッカで、甲類にワリッカというのが実に北海道らしい顔ぶれです。

日替わり料理

さてさて、気になる料理ですが、ここのホワイトボードは笑ってしまうほどご当地美食三昧です。

活あわび刺し、ホッキ貝、松川、北海たこ、生さんまなど。毛ガニの甲羅詰めは多くの人が頼む人気メニューです。

料理

定番メニューに焼鳥をはじめとした鳥料理、揚げ物、焼き物などが載っています。

お通しの小鉢は日替わりです。この日はあんかけ豆腐。

季節の魚介をカウンターで独り占め

厚岸産生カキ(2コ880円)。

オーダーすると板前さんが水槽まで救いに向かい、ひょっと取り出します。手のひらを超えるほどの巨大な真牡蠣に驚かされます。

レモンを数滴垂らす程度で、あとは吸い上げるようにいただきます。口いっぱいに頬張ってもなお食べきれない大きさです。思わず目を丸くするほど、爽快な旨味がぐっと広がります。

美味しい牡蠣には美味しい地酒を。上燗くらいにつけてもらったお酒をきゅっと一口。そうこうしていると、もう一品が運ばれてきました。

黒かれい煮付け(780円)。真牡蠣と列ぶ、北海道冬の魚介食材のひとつ、クロガレイです。カレイは全国で水揚げされていますが、クロガレイは北海道ならではの魚だそう。

引き締まった身から脂がじっとり滲んでいます。

濃い目にしっかり味を付けています。非常に脂がのっているのでこれくらいが染み込んで丁度いいように思います。あまからの味がお酒を誘い、思わず2本目の徳利をお代わりしてしまいます。

カウンターを中心とした老舗酒場で、北海道の魚介料理に舌鼓を打つひととき。旅情を感じる一軒です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名鳥八の魚や
住所北海道札幌市中央区南五条西3 5条ビル 2F
営業時間営業時間
17:00~22:30
定休日
日・祝
開業年1963年