西武新宿線の車窓から見える「金雪」の看板が気になる店。1982年頃創業、小平駅近くの酒場『だいます』です。特長は膨大な数の地酒と、洋食・割烹出身の大将がつくる和洋折衷の酒場料理の数々。近隣の日本酒好きが集う人気店です。
目次
西武線のリズムと時代劇チャンネル
西武新宿線で所沢を目指していたところ、小平駅手前の左側に歴史がありそうな酒場を発見しました。店の名は『大衆料理だいます』です。
小平駅からは線路際の商店街「小平駅東栄通り」を歩いて徒歩3分ほど。線路際の細い道に建つ酒場は一種独特の味わいがあります。
名物は割烹でも板前修行した大将がつくる鯵の活造り。店頭に向けて設置された水槽には鯵が泳いでいます。
飲食歴50年近い大将と奥様の二人三脚で営む店で、熟練の技が光る料理とアットホームな雰囲気が人気の理由です。奥にテーブル1つ分の小上がりがある以外はカウンターだけのコンパクトな店で、大将に近いカウンター左側が特等席です。
眼前には膨大な数の短冊が広がっているので間違いなく驚きます。日本酒や希少な本格焼酎が常に70銘柄近く揃っているそう。瓶が空いたら入れ替わる銘柄も多いので、新酒や”ひやおろし”など季節感のあるお酒が楽しめます。
ぐるぐると店内を見渡して何があるか把握したい。これが結構たいへんです。
悩んでいる間も定期的に壁の向こう側を行き交う西武新宿線のリズムが伝わってきます。テレビに映る時代劇チャンネル「鬼平犯科帳」も店の雰囲気にぴったり。常連さんと時代劇話で盛り上がる大将は大の時代劇ファンのようです。
品書き
あまりに多いので、一部だけをご紹介(※金額は取材時の表記から)
- ビール サッポロ生ビール黒ラベル:530円
- 日本酒 地酒各種:400円~
- 活鯵たたき:680絵
- 特製かに甲羅グラタン(洋食出身の大将自慢の逸品):680円
- 肉豆腐鍋:480円
- 納豆オムレツ:450円
- まぐろ目玉煮:580円
- カレー唐揚げ:680円
- カニクリームコロッケ:650円
- ポテトチーズグラタン:580円
大将オススメのお酒が勢ぞろい
サッポロ生ビール黒ラベル(530円)
春鹿、田酒、神亀、雪の茅舎、米鶴、栄光富士、〆張鶴…。気になるお酒ばかりですが、まずはビールで喉の乾きをいやしてから。よく洗浄されたディスペンサーから注がれるビールは、大将お気に入りのサッポロ生ビール黒ラベルです。
それでは乾杯!
お通し
「まずはこれを食べてね」とお通しがでてきました。この日は餃子とおひたし。調理はベテランの大将が一人でされていますので、注文が重なると時間がかかることも。お通しをつまみつつ、のんびりとしたひとときを。
松前漬け
日本酒とのペアリングを考えた料理ばかりで、あれもこれも食べたくなります。まずはママカリの酢漬けから。
千福(400円)
瀬戸内料理にあわせるのは、広島を代表する港湾都市・呉のお酒『千福 辛口本醸造』(三宅本店)。
状態がよく、キリッとした味がたまりません。なみなと注がれるのも嬉しいですね!
いわしめんたい
東京ではあまりみかけない鰯明太がありました。食べごたえたっぷり!
自家製厚揚(380円)
注文を受けてから揚げる自家製厚揚げ。表面はパリパリ、中はしっとり。日本酒を進ませる一品です。
津和野しぼりたて初陣
お酒は都度一升瓶をもってきて眼の前で注いでくれます。注いでくれる女将さんの出身は島根だそうで、島根つながりで古橋酒造(島根県鹿足郡津和野町)の初陣を頂くことに。
島根県産の米だけでつくり、津和野の水で仕込んだ島根山間部の美味しさをぎゅっと詰め込んだ一杯です。「純米しぼりたて」でなんと生酒。小平で飲めるなんて、こういう酒場の存在は実にありがたいです。
ごちそうさま
酒蔵めぐりを趣味にしている大将が実際に蔵へ足を運び、店に並べるお酒を選んでいます。美味しいお酒を手頃な価格でいろいろ楽しんで欲しいという大将の思いが詰まった一軒です。抜栓した日本酒はしっかり空気を抜いて冷温保管されています。
近隣で働く日本酒好きだけでなく、西武線を途中下車して飲みに来る人もいるほど、『だいます』は常連さんたちに親しまれていました。満席になることがありますので、確実に飲みに行こうというときは予約されることをオススメします。
近くの酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | だいます |
住所 | 東京都小平市美園町1-32-9 |
営業時間 | 営業時間 [火~土] 17:00~22:30 定休日 月曜・日曜・祝日 |
開業年 | 1982年 |