アメリカ・ボストンのチャイナタウンにある人気の大衆中華「香港小食 Hong Kong Eatery」を訪ねました。名物は6.50ドルと手頃な価格の海老ワンタンとローストダック麺。麺飯類のアタマをつまみにビールを飲むのは、世界の町中華の共通スタイルです。
歴史ある町並みに美食が揃うボストン
アメリカにおいて早くから開発が進んだボストンは、他の都市と比較しヨーロッパの雰囲気が濃厚です。中心街の町並みは美しく、歴史ある教会や公園が点在する中での路地散策は素晴らしい体験になります。
他の大都市のような大型の建造物は少なく、ダウンタウンやノースエンドと呼ばれる古くから開発されたエリアは、ロンドンのようなミニチュア感・濃密感で溢れています。コンパクトな建物が立ち並び、とくに飲食店の数が目立ちます。
ボストン発祥の白いスープのニューイングランドクラムチャウダーをはじめ、ロブスターロール、生牡蠣・生クラム(ホンビノスを生で食べる習慣があり、驚かされます)など、肉料理が多数派のアメリカにあって、この街は魚介料理が揃っています。これらの店に加え、寿司レストラン、ドイツ料理店、イタリア料理店なども多く、路地裏のレストラン巡りをはじめたらきりがありません。
たいていの大都市に存在するチャイナタウンですが、ボストンにもあります。そして、朝から夜9時過ぎまで常に賑わっている評判の店が、ここ「香港小食(Hong Kong Eatery)」です。
非常に大衆的な店で、ヌードルは5.50ドル~、お粥は2.00ドル~、焼豚は6.75ドル、春巻きは2個3.00ドルなど。日本で呼ぶところの大衆中華・町中華そのものです。
アメリカ版町中華
青島ビールのボトルをすいすいと空けていく
40年ほど営業している店ですが、数年前にリニューアルしたことで店内は明るく清潔的。香港のコテコテの食堂の雰囲気はあまりありません。それでいて、活気は非常にあり、人種を問わず老若男女がビール片手に中華料理を楽しんでいます。なお、食堂なので予約はとらないそうです。
青島ビール(青岛啤酒)はすぐにやってきました。「飲むだろう?」という表情で店員さんがこちらをみていたので早かったです。では乾杯。
お客さんの中には1テーブルだけ日本人グループがいるようです。取材時は数週間のアメリカ出張だったため、久しぶりの母国語でした。何気なく調味料をみてみれば、銚子のヤマサ醤油を発見。なかなかどうして町中華です。
日本でも評判になるに違いない
名物ワンタン麺にローストダックをトッヒング(6.50ドル)
コース料理で宴会している人もいれば、湯麺(ヌードルスープ)や焼きそば(ドライヌードル)、香港式つけ麺だけで、軽く晩酌だけしている人もいる。使い方はご自由にどうぞ、というのがお店のスタンス。
さて、人気の料理は、港町ボストンらしい海老をぱんぱんにつめた海老ワンタン。雲呑水餃子(5.50ドル)もありますが、ワンタン麺にしてもらいました。そこへ、もう一つの人気料理、ローストダックを追加トッピング。これで6.50ドルとは、実に良心的です。
麺が伸びることに多少目をつぶれば、具が多くて最高のおつまみです。単品で頼むとアメリカはボリュームがありすぎて、1品で満腹になります。料理の盛り合わせ的になる「アタマ」は一人飲みの最適解ではないでしょうか。
ゴワゴワでモクモクとした食感がクセになる麺と、排骨麺風のやや甘くコクのあるスープ。
不思議なジャパニーズSUSHIレストランも楽しいのですが、旅先の大衆中華も楽しみの一つ。日本の町中華と変わらないのんびりとした癒やしの時間を楽しみました。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材時期/2019年末)
店名 | 香港小食 Hong Kong Eatery |
住所 | 79 Harrison Avenue, Boston, MA 02111, United States of America |
営業時間 | 9:00~22:30(無休) |
開業年 | 1980年代 |