【閉業】祖師ヶ谷大蔵「つがる」 青森の郷土料理を肴に過ごす老舗のカウンター

【閉業】祖師ヶ谷大蔵「つがる」 青森の郷土料理を肴に過ごす老舗のカウンター

2020年8月22日

祖師ヶ谷大蔵で1975年創業の老舗「つがる」。創業から45年、ベテランのご主人と女将さんが切り盛りするあったかい雰囲気の酒場です。

「つがる」という店名の通り、ここは青森の郷土料理が看板メニュー。弘前ご出身のご主人が、ホタテやニシンをつかった料理をだしてくれます。

年季のはいったカウンター席で青森の地酒を飲んでいると、世田谷区で飲んでいるはずが心はすっかり青森です。その土地出身のご主人が切り盛りする郷土料理の酒場は、さながら日帰り小旅行気分といったところ。

 

「はやぶさ」ではなく「準急」でやってきた小田急線の祖師ヶ谷大蔵駅。駅の南北に伸びる商店街はなかなかの賑わいです。

 

祖師ヶ谷大蔵駅から北へ10分ほど。レトロなビルの一階にかかる「つがる」の暖簾が見えてきました。

 

お客さんのほとんどはご近所の方。老若男女、幅広い層が常連さんです。カウンター席でご一緒したお隣の方は、映像関係だそう。そういえば、祖師ヶ谷大蔵は”特撮”発祥の地。

 

渋い店に似合う北極星。サッポロ生ビールの中ビンを、昔ながらの『S★PPORO』ビヤタンに注いで、では乾杯。

 

まずはさっとお通し(250円)がでてきます。渋い酒場なのですが、箸置き、袋入のおてもと、そして目でも楽しめる先付と、つがるは上品です。ご主人はかつて洋食でご修行されていた経験があると聞きます。

 

ビール、青森の地酒、ハイボール、そしてワインとお酒の幅は広いです。そして嬉しいお手頃価格。

 

柳蛸やつぶ貝のお刺身や、季節によって夏はホヤ、秋はサンマなど、旬の青森食材が加わります。定番メニューにも「にしんの切込み」など、ご当地色が漂います。料理は500円前後。

 

鮭の飯寿司など、そのとき次第であまり東京では食べられない津軽半島のローカルなものが食べられるのも魅力。こちらは「きりたんぽ」。ちょうど焼けたからいかがですか?とオススメいただきました。

 

お酒は「豊盃」。弘前を代表する地酒のひとつ。そのすっきりとした味と余韻の米のフルーティーな香りは、青森の料理を何倍も美味しく感じさせてくれます。

 

おすすめは「ホタテの貝焼鍋」(580円)。

 

ぷりっぷりのホタテを味噌味で卵とじにしたもの。ホタテの貝殻でつくるスタイルは青森県で食べるものと同じです。ホタテ貝柱の旨味と三つ葉のさわやかな味が染み込んだ卵も、また素晴らしきお酒の肴です。

お酒はじょっぱりをもらって、もう少しこの空間に浸りたいと思います。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

郷土料理つがる
03-3482-6410
東京都世田谷区祖師谷4-23-20 みきもとビル1F
17:00~23:00(水木定休)
予算2,300円