武蔵国の国府があった府中。武蔵国の総社、大國魂神社が街のシンボルです。歴史のある街によき酒場街あり、府中もまたはしご酒が楽しいノンベイ必見のエリアです。
京王線府中駅から大國魂神社向かう間が府中の繁華街の中心で、ここに50年以上続く老舗の大衆酒場「樽平」もあります。現在の場所に移転したのは2014年。府中の街は再開発が続いていて、樽平も場所を変えつつ営業してきました。山形の酒蔵「樽平」が店名の由来。
新しいお店なのにこの風格。やっぱり酒場は飴色の空間が一番ホッとします。長いコの字カウンターには、地元のご隠居や一人で仕事の疲れを癒やす会社員でいっぱいになります。テーブル席は老若男女、様々な層が乾杯中です。幅広い年代の人が楽しく過ごしている、これぞ街に根付いた老舗酒場の姿です。
府中といえば、大國魂神社だけではありません。競馬場はもちろんですが、お酒好きにとって府中といえば、サントリーのビール工場「東京・武蔵野ブルワリー」の街。中央自動車道や南武線の車窓からも見えるランドマークです。
サントリー東京・武蔵野ブルワリーがつくる代表的な銘柄はザ・プレミアム・モルツ。この街はサントリービールを取り扱う飲み屋さんがとっても多く、樽平もそんな一軒です。
乾杯!
樽生のプレミアムモルツに加え、珍しいザ・プレミアム・モルツ<黒>も用意されています。せっかくなので、ここではそんなプレモルのハーフ・アンド・ハーフをいただきます。
ビール工場がある街で飲む、いつもよりちょっと特別な感じがするものです。
プレモルを勢いよく飲んでいますが、実はヒミツがあります。ここ、千円のセットメニューを注文すると、通常520円のプレモルに加え、600円相当の焼鳥、刺身、揚げ物のどれかが選べ、お得に飲めるのです。セットだけで飲んでいくのも可能で、1次会のまえに一人で乾杯の練習もできちゃいます。※お通しは別途かかります。
サントリーに勤めている人もよく飲みに来るという樽平。ビールだけでなく、しっかり全般的にサントリーで揃えられています。ジョッキで飲むメガサイズのジムビームハイボールは、暑い日にはぴったり。
通常のプレモルに加え、エクストラなビールも登場します。サントリー商品開発研究部の熊谷さんがつくる特別な一杯は500円。
日本酒は店名のもととなった山形の樽平や、多賀鶴(福徳長酒類)を定番に南部美人など地酒が並びます。焼酎はボトル売りもあり、常連のお父さんたちのテーブルにはボトルが立っています。
看板料理は店先からみえる焼台でモクモクしている炭火の焼鳥(1本140円~)。煮込み(小390円)は創業のころから続く樽平伝統の一品。
チェーン店ではない、街の総合居酒屋は、いまは貴重な存在です。お刺身から焼き物、揚げ物なんでもござれ。生牡蠣や鱈の白子など旬のものも加わります。そこそこしっかりボリュームがあるので、一人飲みでは頼み過ぎにご用心。
いまだチャレンジしていませんが、瓦そばが〆の料理としてお店は推しています。
この日のお通しは根菜と厚揚げの煮物。
千円のセットから、今日は焼鳥をチョイス。つくね、かしら、本鳥、ぼんじりの4本です。香ばしい炭の香りが誘います。通常のタレに加え、にんにくタレも選べ、これが絶品。大量のおろしニンニクが串を包んでやってきます。
今日は、このあとのことを考えて、通常のタレで。こちらも十分美味しいです。
みんなで安心していける大箱の老舗酒場「樽平」。営業時間は16時からと早く、カウンターから大人数利用可能なテーブルまで様々あるのでとっても使い勝手の良いお店です。
刺身、揚げ物、焼鳥など、定番中の定番を肴にのんびり過ごすのもよいものです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
大衆居酒屋 樽平
042-360-0103
府中市宮西町2-3-9
16:00~24:00(不定休あり・原則無休)
予算2,000円