沖縄は数年前から「せんべろ」ブーム。牧志から始まった人気店が店舗数を増やしていますが、離島でもそれぞれの地域で素敵なお店が誕生しています。たとえば石垣島ならば2016年創業の「せんべろ風土」。飲み屋好きがこの島に来たら、避けて通れないような人気店です。
沖縄のせんべろブームは、東京の下町テイストを沖縄酒場とミックスさせて独自に進化をしています。ここ「せんべろ風土」も、ご当地の泡盛やオリオンビールに加え、シャリキン(凍らせたキンミヤ焼酎)やバリキングもあります。観光で訪れた人も立ち寄られていますが、そんな新しいノンベイ文化を楽しむ地元の人の姿が圧倒的に多いです。
羽田から直行便で2時間45分ほど。羽田発着の国内線で最も長い航路です。コンパクトながら、様々な飲食店も入る石垣空港に到着。ここから多頻度で中心街へ路線バスが結んでいます。
日本最南端の都市型路線バスを走らせる東運輸。町の中心にバスターミナルがあり、島内各地はここからバスで尋ねることができます。また、離島ターミナルも100mほどの距離で、石垣地域の交通の中心です。
バスターミナル周辺は昔ながらの飲み屋街。日中は閑散としていますが、夜になるとたくさんの人が繰り出します。ここが日本最南端の歓楽街です。
そんな石垣の中心に「せんべろ風土」はあります。日中からゃっている飲み屋が限られているこの島で、嬉しいことに午前11時から営業しています。
いくつか店舗が集まっている、本土でいえば横丁か”会館”的な場所にあります。トイレが共有なのも横丁感がありますね。
小さな厨房に向いて10席ほどのコの字カウンターがあお店の中心で、その周囲にはみ出すようにテーブルが並ぶつくり。このコンパクトな空間に平日のお昼すぎにもかかわらず地元の人や観光客の皆さんでほぼ満席の賑わいです。
「せんべろ風土」のスタートは、まずは「せんべろセット」です。ドリンク3杯に小鉢1品ついて千円は安い!生ビールは1杯までの条件がありますが、あとは石垣泡盛でもキンミヤ焼酎でも好きなものを飲んでヨシ。
一杯目はやっぱりビールでしょ。しっかり入る大きめ中ジョッキに注がれた名護のオリオンドラフトが登場です。沖縄で飲む樽生オリオンは別格の美味しさで。生唾ゴクリ、では乾杯!
ついてくる小鉢はお店のチョイスで、この日は沖縄もずく。となりの地元スーパーで働くお兄さん曰く、沖縄の人は海ぶどうよりももずくのほうを昔から食べてきているのだそう。これさえ食べていれば二日酔い知らず?
小さなコの字を10人ほどで肩を寄せ合って飲んでいれば、すぐにみんなお友達。どうもお邪魔します。改めて乾杯!
お酒3杯に対してもずくだけではやや不安なので、ここは地元産の島豆腐奴(380円)を追加で。沖縄の酒場料理って体に良さそうなものばかりです。さて、一緒に写っている貝殻はチケット代わり。これでお酒と交換ができます。
飲食店や食材店で働く人も今日は休みだからと飲んでいる「せんべろ風土」。地元の人が贔屓にしているお店で飲めるのは幸せです。どれも美味しいと言われるメニューは、石垣特産のマグロの刺身(380円)もあります。
二杯目は、ここは”東京もん”らしく、シャリキンシークヮーサーを。冷凍庫に甲類焼酎をいれるとシャーベット状になり、キンミヤ焼酎の場合は「シャリキン」と呼ばれており、三重の焼酎ながら東京の大衆酒場で大人気の飲み方です。氷なし、たっぷり入っていてニンマリ。
シャリキンはお客さんたちとお話しているうちにあっという間に乾いてしまい、おつまみと一緒に三杯目を。今度は石垣の泡盛「請福」のロックを。
“このジョッキいっぱいに入っているのは泡盛ですか?”
ロックグラスなんて使わず、なみなみ注ぐそうです。やだ、素敵。
看板料理のとろとろ軟骨ソーキ(480円)が追加のおつまみ。甘く関東すき焼き風の味付けのタレにヒタヒタに浸かり、ちょい濃い目の味が豚の脂からくる甘味とマッチして、ねっとりコク旨。ここに請福ロックをあわせれば、もうお昼から石垣を100%飲んでいる気分になります。
明るく楽しい、南の島のせんべろ店。バカンスムードに浸りながら、楽しい乾杯になりました。シャリキンって、沖縄で飲むとカクテル・フローズンダイキリみたいですね(笑)
店員さんも地元皆さんもとっても和やか。石垣に訪れた際は必ず立ち寄られることをオススメします。よいバケーションになりますように。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
せんべろ風土
0980-87-0799
沖縄県石垣市美崎町8-9 石垣島ヴィレッジ 1F
11:00~24:00(不定休)
予算1,300円