山形駅からはバス、タクシーで数分の歴史ある繁華街・七日町。人通りは昔ほど多くはないと言われるもいい飲み屋街が広がっているので足を運びたいエリアです。ここで2014年創業の人気店「やっしょまかしょ」。土日も開いている貴重な一軒で、曜日に関係なくいつの時間も賑わっている大衆酒場です。
山形花笠まつりの花笠音頭で「はー やっしょぉまかしょ シャンシャンシャン それ!」という掛け声が店名の由来です。
山形・長井出身のご主人の地元愛がつまった店名ですが、実は10年ほど東京の居酒屋に修行に出られていた方。名店を生み出し、弟子のお店も繁盛店だらけという「汁べゑ」「楽椿」などを手がける楽コーポレーションで働かれていました。
2014年に山形でお店を開いて今やすっかり七日町になくてはならない一軒に。
カウンター2席しか空いていないほどの賑わい。家族連れやカップル、友人同士で飲みに来る人、一人飲みの常連さんなど客層は様々で皆さんに愛されている感じが伝わってきます。お帰りになる際に次回の予約をされる方がいらっしゃったのも印象的。
それでは、まずは瓶ビールで赤星があるようなので、これで乾杯!
ちらっと見えたP箱(ビールケース)から品書きを見ずに赤星を頼みましたが、ドリンクメニューをもらったので見ていきましょう。ここは貴重なパーフェクト黒ラベル取扱店でしたか。酎ハイ、ラムハイ、酒ハイ。そして山形といえばワインの産地。ご当地ワインはカチ割りグラス650円。このほか地酒が揃います。
山形らしく肉料理が豊富で馬刺しとろすじ煮込みが看板料理。庄内地方をはじめとした東北の鮮魚、芋煮などの山形郷土料理、そして楽系ゆずりの楽しい酒場メニューの数々。
気さくな接客で、近すぎず丁寧すぎないアットホームな感じでおすすめを教えてくれる店員さん。
お通しはおでん。みぞれが降るなかやってきたので、ほっこりしたお通しが嬉しいです。
卵はいい具合に黄身とろです。
刺盛り(680円)はその日のおすすめ3品にその場で炙るしめ鯖がついてきます。ガストーチで一気に皮面を焼いて…
天然かんぱちはぷりぷり、真鯛とまぐろは厚切りです。
じゅわっと脂が染み出してきたら出来上がり。軽く引き締めたしめ鯖はカラシじょうゆで。
庄内のもち豚で作ったポークジャーキー(120円)。焼き場の上でピンチハンガーに吊るされているもので、噛むほどに旨味がゆっくりと口に広がります。会話しながらつまんでいたらあっという間にビールも飲み干しちゃう魔法のおつまみ。
パーフェクト黒ラベル導入店ですから、せっかくなので生ビールもいただきましょう。標準のタップと異なり泡が水平方向に出る特殊なタイプ。きりっとしたガス圧あるビールの上にきめ細かい泡を後載せする注ぎ方です。
グラスも専用のもの。泡の比率もぴったりの極上の一杯。寒い季節でも、ぬくぬくの居酒屋にはいったらビールが美味しい。
名物・とろスジ煮込み with ガーリックトースト(760円)。オープンから継ぎ足しているというお出汁でひたひたとつくる牛すじの煮込みでグツグツの状態で登場。名前の通りとろとろで牛の旨味が豆腐やこんにゃくにもしみています。味付けはやや甘めで、なんとなく芋煮っぽい味。ビール、日本酒、焼酎なんにでもあいます。
この煮込みを具として使った焼きそばは〆の人気メニューです。
瓦風の板で焼き上げる若鶏の溶岩焼き。県産ハーブ鶏を一夜干ししてタレで味を整え、ジュージューと板に載せられ提供される、こちらも人気メニュー。山形は海に面していない県庁所在地ですが、それだけに牛、豚、鶏、馬などの食材が充実していて料理のバリエーションも豊かです。
最後はあたたまるスープがサービスで登場。これを飲めば寒い飲み屋街でも次の酒場へたどり着けるはず。
一国一城の主になるという夢をもって東京で修行し10年。こうして夢を叶えて素敵な酒場をつくられたご主人はとっても輝いています。やる気のあるお店は自然とお客さんにもそれが伝わり、立場は違えど応援したいという気持ちになるんだなと感じます。
典型的な郷土料理店ではありませんが、酒場好きならばきっと満たしてくれるものがあるはずです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
やっしょまかしょ
023-633-9054
山形県山形市七日町3-3-31
18:00~24:00(月定休)
予算2,700円