人口25万人、さらに周辺の街からも人が集まる山形県内陸部の拠点・山形市。その繁華街となるのが七日町です。その昔は芝居小屋や映画館で賑わったそうですが、現在は道の名前にシネマ通りとつくなど、ごく僅かに往時の記憶を留めている程度です。
山形駅前も飲食店は多いですが、Syupoをご覧いただくような酒場好きの方にはぜひ七日町まで足を運んでみてほしいです。
山形へは、東京から山形新幹線で2時間30分。山々に囲まれた山形盆地にあり、その景色は海に面した都市とことなり変化に飛んでいます。変化といえば、”山の天気は変わりやすい”のごとく、山形は天気も変わりやすいです。
こんな地形の恩恵を受けた美味しい日本酒や山や里の幸が待っています。
目的のきん太は、七日町の飲食店密集地帯にある一軒。建物は半世紀近く使われているもので、旅情に浸れる素敵なお店です。
赤提灯に誘われるというのはまさにこのこと。暖簾の向こうを覗いてみましょう。
はいってすぐに炭火の焼台とL字のカウンターがあり、その奥は大きな座敷の間という造り。立派な梁のある木造建築です。奥では近所の会社員グループがのんびり宴会中です。
ご主人は若い頃に脱サラし、このやきとり屋を始めてもう長いそう。炭を巧みに操り、次々くる注文に応えていきます。
さて、それでは飲み物から。生ビールはアサヒスパードライ。瓶では仙台工場で作られた一番搾りやクラシックラガー(500円)を用意。酎ハイと樽ハイ、両方を揃えているのは珍しいですね。樽ハイはアサヒビール社の樽詰め酎ハイ「樽ハイ倶楽部」。全体的に懐に優しい値段設定です。
やきとりは110円から。海のない山形は土地の料理は基本的に肉系が中心。焼鳥のほか、豚モツも用意されています。また、馬刺しの存在も山形らしさです。
乾杯は、キリンクラシックラガー(CL)で。トトトと注いで、では乾杯!
お通しに湯豆腐というのはしみじみ飲めて嬉しいです。
漬物をはじめ素朴な料理でもてなしてくれます。山形といえばお漬物文化ですね。
何度も重ねるようにタレツボと焼台を往復して焼き上げるので、きれいにきつね色に仕上がった鶏皮。丁寧な仕事を感じる串打ちです。
ぼんじりと鶏もも。タレか塩かは選べないものもあるそうで、基本はおまかせで焼いてもらうのがよいかと思います。ふっくらジューシー、ビールが進む塩気です。
ご主人オススメの鶏レバー。じっくりと火を通していき、ぷりっとした食感をなくさないように丁寧に仕上げています。
こうなると、肉の旨味をすっとクリアにしてくれる出羽桜(天童市)のお銚子を一本つけたくなりますね。
温厚なご主人の人柄がお店の雰囲気を優しく包むやきとり屋。カウンターで一献いかがですか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
やきとり きん太
023-634-2266
山形県山形市七日町2-3-5
17:30~24:00(日定休・改装のため長期休業の予定あり)
予算2,000円