【移転】徳山「スター本店」 駅と港の間で半世紀。黒いスープとスーパードライ

【移転】徳山「スター本店」 駅と港の間で半世紀。黒いスープとスーパードライ

2017年11月5日

現在は山口県東部に位置する、周防の国。「すおう」という呼び方は簡単な漢字ではあっても知らないと悩みそう。山陽新幹線も停車する徳山駅周辺が周南市(しゅうなん)の中心街で、徳山駅はのぞみの一部も停車する山口県における拠点のひとつ。

駅は海のギリギリまで近づき、山側の「みゆき口」が市街地で、大手企業の支社や山口放送本社もあります。反対側、「みなと口」は出入口名の通り、駅の目の前が徳山下松港という立地。駅のホームにも潮の香りが漂う港町です。

 

そんな港と駅の間で50年、港湾関係者や鉄道マン、そして行き交う旅行者のお腹と喉を潤してきた中華食堂がおもしろい。「スター本店」という店名も興味をひきますが、喫茶店のような西洋風な建物も中華屋らしくなく、入りたくなります。

 

夜の営業はなく、働く人とフェリー利用者が主なお客さん。徳山から大分・国東市(竹田津港)まで2時間の船旅なので、軽く喉とお腹を潤したい人にぴったりです。

 

メニューは単純明快。ラーメンとお稲荷さん、そして焼めし。昔はうどんもありましたが、今はラーメン一本。お酒はアサヒの中びんと1合瓶だけ。

 

中華のこってりとした味にスーパードライは基本の組み合わせ。ラーメンと焼めしが仕上がるまでに中びんを一本。では乾杯!

 

同じ瀬戸内海側のラーメンでも尾道と違いすっきりとした醤油ラーメン。ただしそのつゆの色がとにかく濃い。黒っぽく濃厚で鶏だしがベース。甘く煮たチャーシューとスープでビールが進みます。古き良き昭和の醤油ラーメン。駅前の半世紀続く食堂で船に飲め前にすするというシチュエーションが美味しさを引き出してくれます。

 

焼めしも普通の炒飯。胡椒をふりかけて、瓶ビールをちびちびと飲みながら船の時間までの時間調整。ここから桟橋までは5分もかからない距離。ちょいと飲む余裕も大事でしょ。

 

古くから旅客船、軍港、周南コンビナートへの資源・加工品の搬出用の港として栄えた徳山。戦後の繁栄を支えた食堂や居酒屋も豊富なので、ぜひ一度立ち寄られてみてはいかがでしょう。港町で飲むのって、ちょっと特別な感じがしませんか。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

スター食堂
0834-21-1437
山口県周南市住崎町1-22
11:00~17:00(月定休)
予算1,500円