旅先でふらっと入った二軒目が良いお店だと、その旅全体がとてもよい思い出になります。
今日は岩国で出会った焼き鳥店、創業38年になる「雷(やきとり かみなり)」をご紹介します。
一軒目はやはり地域の食材や郷土料理を楽しめる居酒屋を訪ねたいですが、二軒目には地元の方が集う小箱のカウンターで、ちょっとしたおつまみを片手に、じっくりと地元のお酒で酔いを深めていきたいものです。
広島県・宮島にも近い山口県東部の街、岩国。日本三名橋のひとつ「錦帯橋」で知られるこの街は、同時に瀬戸内海沿岸に広がる工業地帯を有する工業都市でもあります。そのため、岩国駅には新幹線こそ経由していないものの、駅前には立派なアーケードと広大な飲み屋街が広がっています。
やきとり「雷」もそんな一軒。角に接したこれぞ酒場という渋い佇まいに、酒場好きの心をくすぐられました。
気さくな大将に迎えられます。地元のお客さんたちと店主の距離は近く、とてもアットホームな雰囲気。
焼台に面したカウンターと畳敷きの小上がりというつくり。
雑多な印象もありますが、渋い酒場のこういう空間は、酔いも相まって不思議と心が静かになっていくように感じます。
まずは樽生ビール(キリン一番搾り・500円)をもらって乾杯!
ビールはビンでキリンレギュラーラガーとアサヒスーパードライ。酎ハイ、焼酎とありますが、岩国ならばやはり地酒を楽しみたいものです。定番酒は「黒松」(300円)とありますが、これは岩国の造り酒屋・村重酒造がつくる「金冠黒松」。300mlビンでは獺祭と雁木を置いています。いまや全国的な知名度となった岩国のお酒が並びます。
看板料理のやきとりは1本100円と嬉しい価格。1本単位で注文が可能です。養鶏が盛んな地域で、魚のアラを餌にしたご当地鶏が山口県の名産品。土地の鶏をこうして手頃な価格で楽しめます。
山口県は馬肉を食べさせるお店が多く、こちらでも馬刺しの用意があります。とろろ芋をあんに混ぜた豆腐ステーキが人気だそうです。
冷やしトマトをつまみつつ、頼んだ串が焼けるまでを過ごします。
つくね、ねぎま、すなずり。福岡県と同じようにキャベツが添えられています。タレはさっとしていて甘め、すなずりのジューシーさもなかなか。
店名を冠した「雷揚げ」(500円)。居酒屋風タコスとのことで、見た目は大きな揚餃子。
たっぷりのひき肉にちょこっとレタスとトマト。味付けはやきとり屋らしい甘めに仕上げられていて、これが日本酒とも相性が良いです。
岩国・八百新酒造のお酒「雁木」。 純米無濾過生原酒が居酒屋値段で950円はとても良心的です。フレッシュできりっとした口当たりと芳醇な味わいが並行した味わい。甘味もしっかりあることから〆の一杯に飲み始めても、十分に旨味を感じることが出来ます。
このあとも、雁木をちびりちびりと飲みながら、カウンターで楽しいひと時を過ごしました。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
雷
0827-22-8103
山口県岩国市麻里布町3-19-41
17:00~