魚好きが通う人形町の名店『酒喰洲(しゅくず)』が、2024年冬に移転。かつての立ち飲みスタイルから、全席着席の店へと生まれ変わりました。北海道出身の店主が選ぶ天然・国産の魚介、そして名物の「刺身一切れ注文」は健在です。新しくなった店舗で、変わらぬ粋な時間を過ごしてきました。
取材協力:サッポロビール株式会社
立ち飲みから「座れる店」へ。大人の隠れ家として進化

人形町交差点からほど近く、一本路地に入った静かな場所に新しい『酒喰洲』はあります。2024年12月の移転リニューアルにより、同店は長年親しまれてきた立ち飲み業態から、カウンターとテーブル席を配した着席スタイルへと移行しました。

かつての活気ある立ち飲みも魅力的でしたが、真新しい白木のカウンターに腰を据え、店主の包丁さばきを眺めながらジョッキを傾ける時間は、また格別の良さがあります。店内は明るく清潔感があり、女性の一人客でも入りやすい雰囲気。実際に私が訪れた際も、カウンターでひとり静かに酒と肴を楽しむ方の姿が見られました。

厨房に立つのは、北海道出身の店主・桜井満さん。包丁さばきと魚への審美眼は確かです。親しみやすい皆さんの接客も魅力のひとつとなっています。
北海道の幸と「一切れ注文」の贅沢
席につき、まずは喉を潤しましょう。ビールはサッポロ生ビール黒ラベルとヱビスが用意されています。ここは基本の生で!

みてください。この完璧な一杯を。それでは乾杯。

この日は瓶ビールを注文したところ、なんとラベルの恵比寿様が鯛を二匹抱えている「ラッキーヱビス」が登場。数百本に一本と言われる幸運に、思わず顔がほころびます。

お通しは、さっぱりとした「もずく酢」。

そして、酒喰洲の真骨頂である刺身を注文します。こちらの最大の特徴は、高級魚であっても「一切れ単位」で注文が可能であること。

一般的な盛り合わせでは量が多くて種類が食べられない一人飲みにおいて、好きなネタを好きなだけ、少しずつ選べるこのシステムは非常に合理的であり、店主の優しさを感じます。

今回は、カンパチ、タコ、そして名物のアジをお願いしました。
特筆すべきはアジの質です。驚くほど肉厚で、脂の乗りが素晴らしい。店主が「国産・天然・生(冷凍なし)」にこだわり、千葉の外房などから直接仕入れる魚の力強さを感じます。

続いて、季節の味覚「真鱈の白子ポン酢」。濃厚でクリーミーな味わいは、鮮度の良さの証明です。合わせるお酒も進みます。

ここで、北海道出身の店主ならではの一品、「メフン」を頂くことに!
鮭の腎臓を塩漬けにした珍味ですが、こちらは店主の手作り。角のある塩気や生臭さは皆無で、まろやかな旨味が口いっぱいに広がります。これほど日本酒に合う肴はそう多くありません。

焼き物は「北寄貝(ホッキガイ)焼き」を。火を通すことで甘みが増した貝の身と、香ばしい磯の香りがたまりません。
粋に、静かに、魚を味わう場所

移転を経て、店は綺麗になり座れるようになりましたが、「旨い魚を、自分のペースで楽しむ」という本質は変わりません。むしろ、落ち着いた空間になったことで、より一層料理の質と向き合えるようになったと言えるでしょう。

香水の強い方の入店をお断りするなど、香りと味を損なわないためのルールもしっかりと明示されています。気難しさではなく、すべてのお客さんに最良の状態で魚を楽しんでもらいたいという、店主の職人としての誠実さが感じられますね!
15時から営業しており、早い時間から極上の魚でお酒が楽しめます。人形町で、今日は本当に美味しい魚が食べたい。そう思った時、路地裏のこの店を思い出してみてください。きっと、期待以上の満足感が待っています。
店舗詳細


| 店名 | 国産天然鮮魚料理と日本酒酒喰洲 |
| 住所 | 東京都中央区日本橋人形町2丁目8−3 第5篠原ビル 1階 |
| 営業時間 | 15時00分~22時30分 月曜日定休 |
| 創業 | 2005年 久松町で創業 2024年12月14日 現店舗へ移転 |
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