荻窪駅北口、教会通り商店街に佇む家族経営の店「やしろ食堂」。1976年(昭和51年)の創業以来、地元の人々や会社員に親しまれてきた大衆食堂です。壁を埋め尽くす短冊メニューには、サバ味噌煮といった定番から、「マーボメンチ」のような独創的な一皿まで。懐かしさと活気が同居する昭和の店の魅力を取材しました。
商店街に溶け込む、昭和から続く「いつもの場所」

JR荻窪駅北口から「荻窪教会通り商店街」を歩くこと数分。ラーメン店の激戦区としても知られる通りの中で、ひときわ目を引く黄色いテントと赤い暖簾が「やしろ食堂」の目印です。

一歩足を踏み入れると、そこはまさに昭和の食堂空間。壁一面に貼られた短冊メニュー、カウンターのガラスケース、使い込まれたテーブル席。古いながらも隅々まで清潔に保たれた店内は、とても居心地が良いです。 かつて都内に十数店舗展開した「ヤシロチェーン」のひとつで、現在は二代目の息子さんご夫婦で切り盛りされています。
家族経営ならではの温かい雰囲気が心地良い。初めての人も長年の行きつけのような気持ちで過ごせること間違いなし。
まずは瓶ビールと、自家製マカロニサラダで

ずらりと並ぶメニューにワクワクしながらも、まずは瓶ビールをお願いしました。ドンと出てくるアサヒスーパードライの大瓶が嬉しいですね。 それでは乾杯!

おつまみには「マカロニサラダ」を。お店で手作りされたモッチリとしたタイプ。添えられたキャベツの千切りと一緒にソースをかけて頬張るとまた違った美味しさが楽しめます。 他にも定番の「サバ味噌煮」(定食では1,040円)や揚げたての「アジフライ」(定食は900円)など、ご飯のおかずにもお酒の肴にもなるメニューが豊富。何を食べようか本気で悩んでしまいます。
圧倒的インパクト!「マーボメンチ」

悩んだ末に注文したのは、知る人ぞ知る茶色系アレンジ料理「マーボメンチ」。これが、想像をはるかに超えるインパクトでした。
レタスとキャベツが敷かれた大皿を埋め尽くすほど大きなメンチカツが鎮座し、その上には食堂らしい甘めでトロっとした麻婆餡がたっぷり。まさに「ひき肉オンひき肉」という、茶色系好きには堪らないビジュアルです。

メンチカツはかなりの厚み。箸でぐっとつまみ、麻婆餡のひき肉をたっぷり絡めていただきます。衣の中は非常に熱々なので、火傷には要注意。あんかけ系の料理特有の湯気が少ないのにびっくりするほど熱いタイプです。

サクサクの衣の中から肉汁があふれ出し、甘めの麻婆餡と一体となって口の中に広がります。 これはご飯もお酒も進む味。一人だとこれ一皿で満腹になること間違いなしのボリュームです。商店街の食堂は、これくらいインパクトがあるほうが記憶に残ります。
荻窪の街角で、心満たされるひとときを
豊富な定番メニューから独創的なアレンジ料理まで、どれもが実直で心に染みる味わい。通し営業(日曜日定休)というのも、遅い昼食や早い時間からの「昼飲み」にも対応できてありがたい存在です。
実直な料理と温かいもてなしに触れ、荻窪という町がもっと好きになる。そんな素敵な食堂です。
| 店名 | やしろ食堂 |
| 住所 | 東京都杉並区天沼3丁目27−8 |
| 営業時間 | 11時00分~21時30分 日定休 |
| 創業 | 1976年 |
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