新富町の人気立ち飲み「サ嘉ダチ」【記事】の二号店がオープンしました。場所は同じ新富町で、銀座一丁目や八丁堀からも徒歩で数分という立地です。
「サ嘉ダチ」がもともと満員御礼の賑わいでしたので、近くに2店目の出店はありがたい!店名のニ太㐂(機種依存文字:七を3つ)は、にたきと読み、これまでの刺身に加えておでんを看板商品に掲げるお店です。
広くきれいな店構え、女性のお一人様も安心して入れる雰囲気。近隣に立ち飲みが少ないので、銀座や八丁堀にお勤めの人が今後通い出すことは間違いない。
開業したてということもあり、出来たてのキレイな雰囲気。それでもさり気なく店先にP箱や通函を置いているのが素敵な演出。
店内は厨房を眺める立ち飲みカウンターが奥に伸び、一人・二人はカウンターがちょうどいい。テーブルの立ち飲みスペースはグループできても会話が楽しめるでしょう。立ち飲みはノーチャージですが、一卓だけある着席可能のテーブルがあり、そちらはお通し(300円)がかかります。このテーブル席、凹んだボックス席になっているので、うまく確保できれば新富町でトップレベルの安く落ち着いて飲める着席せんべろになりそうです。
サ嘉ダチと比較すると、煮魚や焼き魚を少し減らして、その分をおでんに充てているようにみえます。刺身は同様の安くて鮮度のよいものを提供しています。
市場が近いこともあって、海鮮の内容が魅力的です。平政や真鯛も450円、美味しい刺身を普段使いで食べたいときは、新富町ならばここは外せません。
おでんは玉子100円から、ちくわぶ、はんぺん、がんもなど東京おでんのおなじみの顔が並びます。日替わりの黒板メニューの魅力的な内容と合わせ、定番の一品も気になるものばかり。唐揚げをいつかは食べたいと思いながら、いまだ海鮮で満福にしてしまいます。
ビールは生ビールがサッポロ黒ラベル、瓶では同じくサッポロの赤星に加え、キリンラガー(CL)とアサヒスーパードライも選択可能。実にバランス感覚です。サ嘉ダチ本店のほうは生がサントリーですが、こちらはサッポロが選ばれたようで、黒ラベルファンの方は茅場町や銀座で飲む前後に立ち寄られてみては。
サッポロ黒ラベルの生ビールが400円と立ち飲み価格が素敵。では乾杯。
小鉢にてんこ盛りされている静岡産生桜えび(300円)はぜひ食べてほしい一皿。甘さと独特の苦味、ふくよかな磯の風味が広がり、ビールや日本酒が次々と進んでいきます。この価格でだしていて大丈夫なの?と心配になるくらい、お値打ちの料理です。
日本酒はお店から500メートルも離れていない場所に東京支店がある、灘の銘酒・櫻正宗です。東京の古い飲み屋や酒屋には櫻正宗がある。地酒ブームの影であまり話題にならないですが、400年の伝統を持つ老舗酒造・櫻正宗は本当にいいお酒です。
ここの定番酒がそんな櫻正宗なのがまた嬉しい。本醸造と純米が選べますが、私は本醸造のお燗が大好物です。
おでんは注文伝票への記入式。玉子、かまぼこ、はんぺんを選びました。つゆは薄く見えても出汁が実によくとられていて、舌の付けねを心地よくくすぐる旨味が感じられ、日本酒がぐんぐんと進みます。
櫻正宗以外の地酒も、なかなかこだわりが感じられます。昨今の新型銘柄ではなく、栗林酒造店(秋田県仙北郡美郷町)の春霞など渋いチョイスがいい。一周回って菊姫純米の旨味が改めて脚光を浴びる日も近いかも。
常連さんが多く、本店と梯子されるほどのファンもいらっしゃる愛され酒場。ご近所に暮らす人やお勤め先が近い人が多く、お客さん同士の会話もなかなか楽しい。初めての人にも平等に接してくれますので、近隣で飲み屋さんを探すときには、ぜひ思い出してほしいお店です。
銀座にいい立ち飲みがないなんて言わないで、ちょっと処変えるだけで素敵なお店があるものです。
お店のマスコットのたぬきに見送られ、ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
サ嘉ダチ ニ太㐂
03-6280-3113
東京都中央区新富1-4-1
17:30~23:30
予算1,700円