ワインや日本酒と違い、ビールは料理とのペアリング(マリアージュ)を考える機会はそれほど多くないかもしれません。代官山にある『スプリングバレーブルワリー東京』はペアリングが楽しめるお店ということで、実際に体験してきました。
都内はここだけ「SPRING VALLEY」直営店
長年、日本のビールの大多数がラガービールだったことから、ビールの味の違いというと「一番搾り」と「キリンラガー」のように、同じカテゴリー内で比較することが多いです。ですが、ビールの種類はペールエール、IPA、ヴァイツェンなどまだまだたくさんあります。
ビールのタイプが広がれば、料理とのペアリングももっと楽しくなる。そんな提案をキリンビール系のSPRING VALLEY(スプリングバレー)の直営店が取り組んでいます。
場所は東急東横線の代官山駅から5分ほど。恵比寿や渋谷からも徒歩圏にあります。渋谷区内にありながら、二階建てのゆとりある造りで、施設内にはビールの醸造設備も設置されています。開業は2015年。
営業時間はなんと朝9時から。実は代官山で貴重なお昼から高品質の生ビールが飲めるスポットです。
欧米のブルワリーレストランを彷彿とさせる内装。パブリックな雰囲気で軽く1杯から楽しめます。
定番のSpring Valley豊潤<496>やSpring Valleyシルクエール<白>以外にも様々なスプリングバレーのクラフトビールが用意されています。
Spring Valley Brewery(スプリングバレーブルワリー)はもともとウィリアム・コープランドが1870年に横浜・山手で創業したビール醸造所の名称です。その後、ジャパン・ブルワリーがコープランドから醸造所を引き継ぎ、麒麟麦酒が誕生しました。
一度は使われなくなったスプリングバレーの名称ですが、2011年にキリンビールがクラフトビールに参入するにあたり、ブランド名として「Spring Valley Brewery」を復活。2014年に通販限定で販売を開始し、2015年、キリンビール横浜工場内と代官山(本記事で紹介するお店)に直営店『スプリングバレーブルワリー』を開店しました。
いまでこそ、テレビCMもしているスプリングバレーのビールですが、当初はレストラン横に併設されたマイクロブルワリーでの製造がメインでした。
現在、直営店は東京・代官山、横浜・生麦(休業中)、京都・富小路通錦小路上の3箇所があり、通常の家庭向けで販売されていない、直営店限定のビールが楽しめます。
実際に飲んできた
直営店で飲む理由は、ビールの品質はもちろんのこと、料理のペアリングや世界観まで楽しめるということが大きなポイントです。
例えば前菜では、Wheat Ale(ウィートエール)の「Spring Valleyシルクエール<白>」にはホタテのカルパッチョ、IPL(インディアペールラガー)である「Spring Valley豊潤<496>」にはサーモンのカルパッチョのように、味の深味、香り、旨味、酸味、そして色合いをあわせた提案が用意されています。
シルクエールには柑橘系、魚介系、チーズやクリームとの相性がよく――
アンバーな豊潤496には、肉料理、とろみのあるソースとの相性が良いようです。意外だったのは、タルトタタンのようなしっかりとしたデザートとの組み合わせの良さ。ビールの苦味がアップルの甘さを引き立てます。
ビールのタイプと料理のペアリングは、通年メニューで用意されていますが、期間限定のイベントも開催されています。
イベントだとリーズナブルに楽しめるのでオススメです。
直近のイベント
2023年3月18日(土)・19日、本記事で紹介した料理全6品(赤のカルパッチョ、サーロインステーキ・ソースボルドレーズ、タルトタタン、白のカルパッチョ、アスパラのコロレ・ソースオランデーズ、豚肩ロースのブランケット)と、ビール2種類がついた「赤と白 おいしさ感動体験会」(1,000円※要予約)が開催されます。詳しくは公式サイトをご確認ください。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビール株式会社)