【閉業】境港『かいがん』漁港の食堂で職員に混ざって海鮮丼とキリンラガー

【閉業】境港『かいがん』漁港の食堂で職員に混ざって海鮮丼とキリンラガー

2023年3月3日

日本有数の漁獲量を誇る境港にある市場食堂『かいがん』。魚河岸に隣接する関係者向けの食堂ですが一般の利用可能。元水産関係で魚を扱い40年の大将が営んでいます。境港に集まるピチピチの魚が豪快に盛られた海鮮丼やベニズワイガニ食べ放題が名物です。

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全国漁獲ランキング4位を誇る境港を目指す

鳥取県・境港の年間水揚げ量は約10万トン(令和4年)で、漁港別漁獲ランキングでは全国4位となる、山陰を代表する港町です。境港で揚がる魚は遠く東京の飲食店でも頻繁に提供されており、食の豊かさを支えてくれています。

また、境港は魚種の豊富さも特長で、ノドグロ、サワラ、モサエビ、沖合底引き網でとれるハタハタなどが有名です。なかでも、冬の味覚の王様である松葉ガニや紅ズワイガニの水揚げはトップクラスで、境港に多くの旅行者を呼び寄せています。

漁港を中心とした水産の町・境港へは、米子から鬼太郎列車(JR境港線)が約50分で結んでいます。かつては魚介類を消費地・大阪などへ輸送するための鮮魚列車が走っていたようですが、いまは通勤・通学用の地域密着路線です。観光客の利用も多いからか、旅情たっぷりレトロな車両がいまだ現役でした。

さて、旅の目的は鮮魚市場に併設された食堂での『市場飲み』ですので、寄り道せず卸売市場へ向かいましょう。境港駅から市場へは商店街「水木しげるロード」を徒歩20分ほど。コミュニティバスなら7分ほど。

ここが漁港としての境港の中心です。地方整備局の港湾事務所や漁協の施設、水産加工会社などが建ち並び、漁獲量にふさわしい大規模な港であることがわかります。

漁港内には鳥取県営の境港水産物地方卸売市場があり、目的の店は荷捌き場の真向かいにあります。

周囲は漁港関連施設ばかりで食事処や商店は一切ありませんが、一軒だけポツンと営業しているのが目当ての『お食事処かいがん』。水産流通で働いていた大将が2006年に水産関係者の協力で開店させたそうで、漁港・市場関係者向けの職域食堂的な存在です。

市場飲みを旅のルーチンワークとしている筆者はいつか飲食しに行きたいお店の一つでした。関係者向けでありながらも、新鮮で安い魚料理が評判を集め、雪のない時期の週末は店頭に観光客の行列ができるほどの人気店です。

取材時は、冬季の平日でしたので行列はなく、お客さんは全員、作業着やウインドブレーカーに長靴姿の水産関係者でした。

大漁旗に小上がり、不揃いのテーブルなどがいかにも市場の食堂です。大将や漁師の奥さん風のベテラン店員さんが明るく迎えてくれます。

惣菜の煮魚や小鉢、お茶はセルフサービス。ホウボウの煮付け、真鯛のアラ炊きなどが並んでいます。

品書き

お酒

  • 生ビール キリン一番搾り:610円
  • 瓶ビール中瓶 アサヒスーパードライ/キリンラガー:各610円
  • 日本酒 千代むすび(境港・千代むすび酒造)ひや/お燗:510円
  • 日本酒 千代むすび じゅんから:940円

料理

  • 特上海鮮丼:1,320円
  • うに丼:1,980円
  • 白いか丼:1,980円
  • お刺身定食:1,540円
  • 舟盛り刺身定食天ぷら付き:2,750円
  • カニセット:3,300円
  • 天然岩ガキセット:時価
  • 魚フライ定食:1,080円
  • 天丼:990円
  • 親子丼:610円

ホワイトボードの日替わり刺身単品

  • うに・もさえび刺身:各1,100円
  • 鯛・スズキ・サワラ・ハマチ・タコなど:各880円

切り身が分厚い!ビールが進む市場の海鮮丼

キリンラガー中瓶(610円)

なにはともあれビールから。この一杯のために公共交通でやってきました。

ヒヤタンをキリンラガーで満たして、では乾杯!窓から外を眺めれば、魚を積んだ冷蔵車が市場を出ていく様子が見えます。ちょっぴり感じる背徳感も市場飲みの楽しみなのかもしれません。

特上海鮮丼(1,320円)

待つこと5分ほど。一番人気の特上海鮮丼がやってきました。令和5年の物価でこの値段はかなり良心的です。

内容は、ハマチ、サワラ、鯛、カツオ、そして蟹身。錦糸卵の下に敷かれたごはんは、酢飯か白米が選択可能。サーモンが入っていますが、「境港サーモン」ブランドで銀鮭の養殖が盛んなので、米子・境港はサーモンを提供する店が多いように思います。

なんといっても感動したのは、このハリ・ツヤある”ぷりっぷり”のハマチです。コリコリとした食感には、山陰特有の甘い醤油がよくあいます。

蟹身もたっぷりのっています。どの切り身も厚切りで食べごたえたっぷりなので、瓶ビール中瓶1本では足りなくなりそう。ここは地酒の千代むすびをお燗でもらうしかありません。

ごちそうさま

冷蔵庫には”どーん”と寿司桶に入ったズワイカニが鎮座しています。同店のこだわりは冷凍カニを使わないこと。事前に予約すれば紅ズワイガニの食べ放題も楽しめます。

単品の刺身ではモサエビも入荷しており、人数がいればあれこれと単品を頼んで午前中から小宴会を楽しむのも良さそうです。営業時間は朝7時から。境港で一泊するなら、朝酒はここで決まりでしょう。

市場飲みまとめ

2024年版 日本全国魚河岸酒。市場や漁港で朝・昼酒ができる食堂・酒場紹介
市場や漁港で食べる刺身や煮魚、海鮮丼は格別です。近所の市場も遠くの魚河岸も、行ってみればそこは非日常、魚好きの楽園です。今回はそんな市場や漁港で楽しむ朝酒・昼酒…
syupo.com

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名お食事処 かいがん
住所鳥取県境港市昭和町9-20 みさき会館 1F
営業時間営業時間
7:00~15:00
※夜は5名以上から、17:00~ 予約のみ営業
※土日祝は7:00~16:00
日曜営業
定休日
火曜日
開業年2006年