広島名物の中でも「モルモン天ぷら」は最も個性的で、旅する酒場好きならば一度は食べたいご当地おつまみ。味わい深い雰囲気の『みやさん食堂』は、天ぷらだけでなく「でんがく」や「せんじがら」も揃えたホルモン料理を提供する名店です。
目次
地域密着の食堂で、広島の食の豊富さを知る
JR山陽本線の西広島駅で列車を降りて、いま私は太田川放水路にかかる己斐橋(こいばし)を東詰に向かって渡っています。目指すは、ホルモン料理店が集まる福島町電停~小河内町エリアです。
ここには大正3年から市営家畜市場(現:広島市中央卸売市場食肉市場)があり、1992年に現在の太田川放水路の河口付近に移転するまで、長きにわたって広島の屠畜と食肉流通を支えてきました。
かつて市場があった福島町界隈には牛や豚、馬のホルモンをつかった食堂が店を構え、独自のホルモン料理文化が形成されてきたのです。広島のソウルフード「せんじから」もここから始まりました。
今回は福島町周辺で長きにわたって地元の皆さんに親しまれてきた名店『みやさん食堂』を訪ねます。
みやさん食堂といえば、この並び。まな板と包丁が全席にセットされているのがなにより印象的です。なぜ包丁が必要なのか、それは後述する料理紹介をご覧ください。
年季の入ったテーブル、天ぷらを揚げる音とテレビの音声が響く店内。家庭的な雰囲気。
話し上手の魚釣り好き大将とベテランのお姉さんたちが切り盛りするあったかい食堂です。昼食時はひっきりなしに地元の皆さんが「でんがくうどん」などを食べにやってきます。
品書き
瓶ビール(アサヒスーパードライ・キリンラガー):600円※以下、訪問時の値段
酒:320円
焼酎(麦・イモ):500円
天ぷら(肉・野菜):100円
おでん:120円
でんがく:400円
でんがくうどん:450円
でんがくぞうすい:650円
でんがくにゅうめん:500円
広島の昼飲みはホルモン天ぷらで決まり!
注文は一度にまとめて、お酒やお水はセルフで…といくつかローカルルールがありますが、優しい大将の話しを聞けばはじめての方でも安心です。
キリンラガー大瓶(600円)
ビールはアサヒスーパードライとキリンラガーの2銘柄。さすがに早い時間は飲んでいる人はいないかなと思っていたら、ランチのピークを過ぎた頃にお酒を飲む方の姿が。こちらも安心して飲めます。
それでは乾杯!
天ぷら(100円)
天ぷらは、ホルモンの様々な部位や野菜などをおまかせで盛り付けてもらいました。
歯ごたえたっぷりのホルモンがあり、このときに包丁とまな板が大活躍します。
素晴らしい切れ味の包丁でスッとひとくちサイズにカットして…
酢醤油に唐辛子をたっぷりとふりかけ、そこへ一口大にカットしたホルモンを浸していただきます。
牛の胃を中心に様々な部位があり、衣もついていることもあって、どの部位か食べて判断するのは難しいのですが、どれもクサミは皆無で個性的、量があっても案外ぺろりと食べられます。
たっぷり唐辛子を入れるのがポイントだよ、と大将。酢醤油のさっぱり感とホルモンのコクが絶妙なバランスで、大瓶のキリンラガーはみるみるうちに空になっていきます。
でんがく(400円)
もうひとつの名物メニューが「でんがく」。腸やセンマイなど様々な部位が入っており、いろんなホルモンから滲み出た旨味が混ざり合い、濃厚だけどマイルドな味に仕上がっています。シンプルな塩です。
センマイもこの通り、かたまりで入っています。手頃な価格ながらボリューム満点。これらの料理を前にして、お酒を飲まない(飲めない)という選択は私には無理です。
キャベツも入っており、いい具合に甘さがでているようです。”味変”として、ホルモン天ぷら用の七味入り酢醤油を少しかけても楽しめます。
それにしても、これだけホルモンが入っているにスープが澄んでいるのは、相当念入りな下処理の賜でしょうね。
缶チューハイ(こだわり酒場のレモンサワー)
缶チューハイでもグラスを用意してくれます。味の濃いパワフルなホルモン料理ですから、お酒もついつい進んでしまいます。(※お酒は適量の範囲内で)
ごちそうさま
ゆったりとした昼過ぎのひととき、ホルモンを満喫しながら大将と楽しいお話をさせていただきました。
広島の数あるご当地料理の中でもとくに思い出に残る一軒でした。大満足です。
営業時間は11時から19時。ランチどきは近隣の方が忙しく食事をされていますので、お酒を飲む方は13時以降がよいかと思います。
広島でお昼飲みできる酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | みやさん食堂 |
住所 | 広島県広島市西区小河内町1-8-13 |
営業時間 | 営業時間 11:00~19:00 日曜営業 定休日 月休・第1火曜(月曜が祝日の場合営業 翌 火曜 休み) |
関連サイト | せんじがらストアーズ |