札幌の『第三モッキリセンター』をご存じの方は相当な酒場好きでしょう。さっぽろテレビ塔のほど近いオフィス街に構える角打ち由来の酒場です。札幌では貴重な昼酒スポットのひとつで、14時の開店と同時に飲み慣れた常連さんたちが次々集まってきます。飲兵衛にとって、ここは時計台に引けを取らない札幌の名所です。
目次
コの字カウンターに集う、黒帯の常連さんたち
「モッキリ」とはお酒を升で飲む行為「盛り切り」から来た言葉という説がメジャーですが、都内の酒販店の店主から、「一杯もぎる」ことが「モッキリ」になったのではないかという話を聞いたことがあります。いずれにしても、お酒が飲みたくなる楽しい表現です。近年は、九州北部の方言「角打ち」が全国的に広まり、酒屋で飲むことは「角打ち」で統一されつつあります。
さて、本題に戻りまして、札幌の大通公園近くに『第三モッキリセンター』という酒場があります。大変な人気店で、数多の酒場好きが店を紹介しています。当サイトも5年前に記事にしましたが、先日、久しぶりに立ち寄ってきましたので情報の更新がてら、同店の魅力を改めてお伝えしたいと思います。
創業は1926年(昭和元年)ころ。北海道を代表する港湾都市として好景気に湧く小樽で誕生しました。モッキリセンターという店名の通り、酒販店の店内飲酒コーナーでした。終戦後の1950年、札幌に移転し、さらに平成に入り現在の場所に移りました。
店名の「第三」の理由について店の皆さんに訪ねましたが、詳細をご存じの方はいらっしゃいませんでした。常連さんによると「小樽、札幌の酒販店由来の店としては最古ではないか」ということです。
現在の「第三モッキリセンター」は、角打ちとしての面影は「お酒の安さ」程度で、椅子あり、豊富な料理ありの大衆酒場となっています。
飲食店というよりは、公共施設のような建物にはいっており、飾り気のないなから正統九十年とかかれた暖簾がたなびいています。
店内もまた、公共施設のように実用本位なつくりで、蛍光灯に照らされた広い店内がむしろ印象的。巨大なコの字カウンターは早い時間から常連さんで半分以上が埋まっています。
品書き
お酒
樽生ビールは店からほど近い場所にあるアサヒビール北海道工場製造のアサヒスーパードライ。中ジョッキ:416円です。瓶ビールはアサヒスーパードライ大瓶:528円、アサヒ黒生:462円、サッポロヱビス大瓶:638円。
日本酒は札幌の日本清酒がつくる千歳鶴 300ml:528、白鹿:330円など。ハイボールは、北海道うまれのニッカがつくるブラックニッカクリアハイボール:352円。
酎ハイはアサヒの樽ハイ倶楽部ベースで330円均一。
料理
このエクセルでつくったような品書きをみると、「あぁ、札幌に来た」という気分になります。
ぶたもつ煮:440円、鳥串2本:374円、身欠きにしん:440円、ザンギ:596円、つぶ鍋:682円、イカ刺身:495円、雪印チーズ:220円など。実用本位で、明朗な品書きです。
本日のおすすめ札
加えて日替わりかあります。おもしろい料理も登場するので要チェックです。この日は、甘エビ刺身:605円、棒ダラ煮:418円、豚ハヤシライス:528円など。
よく売れる店の生は美味しい!つまみはシャウエッセンがオススメ
アサヒスーパードライ(418円)
泡だったり、温度だったりと樽生ビールの差別化はいろいろありますが、第三モッキリセンターの生はそういう「技」ではない美味しさがあります。工場が近いからか、営業時間が長く次々と売れていくからか、鮮度がとてもよくみずみずしい美味しさがあります。
乾杯!
シャウエッセンウインナー(418円)
おつまみは、ファンの多いシャウエッセンウインナーを。手頃な価格ながら本格的で、ビールとあわせて嬉しくなるおつまみです。乾燥した気候にあいます。
ブラックニッカクリアハイボール(352円)
ビールからニッカのハイボールへ。ガス圧強め、安定の美味しさです。
ししゃも焼き(385円)
日本酒とあわせるならば、ししゃももいいですね。
冷奴(275円)
簡単なおつまみ、絹豆腐の冷奴。夏場の人気商品のようで皆さん頼まれていました。薬味たっぷりです。
湯豆腐(385円)
冬場はここの湯豆腐が美味しいんです。土鍋ででてくるのも嬉しいポイント。同じような鍋物では、細切りの昆布と白菜、そしてつぶ貝がしっかりはいったつぶ鍋も人気です。ヱビスとあわせて、ホッとひと息つくのはいかがでしょう。
小一時間過ごしてほろ酔い・いい気分。快活な店員さんの接客も心地よく、また飲みに行きたくなる酒場です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 第三モッキリセンター |
住所 | 北海道札幌市中央区南1条東2-2 |
営業時間 | 営業時間 [月~金] 14:00~22:00(L.O.21:30) [土] 13:00~20:00(L.O.19:30) 定休日 日曜日・祝日 |
開業年 | 1950年 |