久留米『古賀久』大正8年創業、昼から飲める酒場の酢モツとハヤ甘露煮

久留米『古賀久』大正8年創業、昼から飲める酒場の酢モツとハヤ甘露煮

2022年4月23日

大正8年創業の『古賀久』は久留米を代表する大衆酒場のひとつ。百年続く老舗ですが、大衆的な雰囲気で手頃な価格で楽しませてくれます。お昼から夜までと営業時間が長く、工業都市らしい昼飲み処の雰囲気があります。豚足からにぎり寿司まで揃う豊富な品揃えも人気の理由です。

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福岡市から日帰りで飲みに行く価値あり!楽しい久留米の酒場。

JR博多駅から九州新幹線で20分、福岡天神からは西鉄電車で約40分でアクセスできる、福岡県第3位の中核市・久留米。

ブリヂストンやムーンスター、アサヒシューズなどの有名工業製品メーカー創業の地であり、古くからの福岡、北九州と並ぶ独立した工業都市として栄えてきました。

食文化においても福岡県下の他の都市とは異なる点が多くあります。「とんこつラーメン」発祥の地として知られるほか、「久留米やきとり」はこの街の夜を語る上で外すことの出来ない存在です。また、街の中心部を流れる筑後川でとれるうなぎや、遡上してくるエツ(カタクチイワシ科)などを使った遡河魚・川魚料理も昔から親しまれてきました。

歴史あり、産業あり。となれば、歓楽街もセットです。久留米の繁華街・飲み屋街の規模は大変大きく、中心街には約1,000軒もの飲食店が立ち並んでいます。とくに久留米一番街から六ツ門、文化街にかけてが市内随一の歓楽街。老舗の食堂、酒場から新進気鋭のラーメン店まで店の種類は様々です。

「古賀久」外観

文化街には1919年から続く久留米最古参の酒場があります。それが、『古賀久』。建物は近代的なコンクリート3階建てに建て替えられているものの、敷地の大きさに余裕があり、他の飲食店とは明らかに異なるオーラを漂わせています。

一階の入口に掲げられた木製の看板に歴史を感じます。

店内

店に入ると、いかにも大箱酒場のベテラン従業員という雰囲気の店員さんが迎えてくれます。

天井が高く、窓も広く開放的な空間。だからといってオシャレかというとそうではなく、壁にはられた短冊やビールメーカーのポスター類の雑然とした感じが、いかにも大衆酒場という雰囲気です。使い込まれた厚みのある一枚板の長テーブルが並びます。

壁にはレトロなイラスト入りで「創業以来(1920~)ご来店のお客様は、延べ9百4万3千人。そしてご愛飲いただいたビールは、約6百39万リットル。」と書かれています。なお、情報の更新はされていない様子。そういうざっくりしたところも酒場らしく感じます。

一階が少人数向けのテーブル席で、二階以上は個室、座敷となっています。三階は90人も入れる大宴会場を完備。合計290席、それでも昔は満席になったこともあるそうです。

時間は15時過ぎ。昼食利用の人もおらず、早くからお酒を楽しむ年配の常連さんたちや、ファミレス感覚で飲んでいる若い女性グループなど、皆さんのんびりとお昼酒を満喫しています。

品書き

お酒

生ビールは博多工場直送のアサヒスーパードライ中:530円、小:370円。瓶ビールはアサヒスーパードライ大瓶:580円、アサヒ黒生:580円、ハーフ&ハーフ:580円、アサヒプレミアム熟撰:530円。

サワーは樽ハイ倶楽部ベースで、ライムサワー:380円、カルピスサワー:380円など。ハイボールブラックニッカ クリアハイボール):580円。

日本酒は定番酒の上撰:300円ほど、松尾酒造(大分県日田)の山水:440円、同蔵の黒鬼:580円など、焼酎はオリジナルブランドの古賀久島美人、アサヒの金黒などが用意されています。

黒板メニュー

カンパチ刺:800円、貝柱のマリネ:600円、カキフライ:650円、魚の南蛮漬け:350円、酢モツ:350円など。

定番料理

お刺身

刺身盛合せ:1,450円、くじらのウネ(腹の部分):1,200円、くじら刺:760円、カジキ鮪刺:870円、いか刺:690円、シメサバ:430円、たこ刺:460円など。

おつまみ

オバヤキオバイケ):590円、フグの皮:390円、海茸(有明湾のニオガイ科の貝)粕漬:390円、ハヤの甘露煮:430円、卵焼き:540円。

ソーセージ3品盛:900円、蒸しギョウザ:430円、豚の角煮:540円、手羽先ピリ辛:500円。

キビナゴの天ぷら:430円、甘エビの唐揚げ:400円、小籠包:430円、串カツ:580円など。

一品料理

人気料理のふもと赤鶏ローストチキン:520円、豚ソーキ骨までトロ煮:800円、巨大な海老ふらい:950円、天ぷら盛合わせ:550円、串揚げセット:570円、鰻料理店が盛んな久留米らしい鰻の蒲焼き:1,500円もあります。

おでん、焼鳥、アツアツ鉄板焼

おでんは、がんてん:170円、牛すじ:170円、ごぼう天:170円など。

そして、久留米の焼鳥は鳥肉でなくとも「焼鳥」と呼ぶことがよくわかる、焼鳥の豚足:390円、海老:140円、豚バラ:160円、かしわ身:140円など。

鉄板料理は福岡の屋台や酒場の定番でもある山芋ステーキ:730円、鉄板焼ぎょうざ:480円、明太子の卵よせ:470円など。

寿司など

上にぎり:1,080円、並にぎり:780円、巻寿司:570円、明太巻:550円、鰻のセイロ蒸し:1,790円、鯉こく:400円、茶碗蒸し:380円など。

地域色ある献立で種類も豊富と、何を食べようか迷ってしまいます。

飲み慣れた人たちが集うオアシスのような店

乾杯はアサヒスーパードライ大瓶(580円)

なにはともあれ、ビールから。大箱で気分はビアホールです。それでは博多工場でつくられたアサヒスーパードライで乾杯!

酢モツ(350円)

コリコリとした食感と、噛むほどにじわっと広がる旨味がたまりません。脂を落として湯通し後、ポン酢とネギで味をまとめた福岡で定番の酒の肴です。

爽やかな味付けとモツのコクはアサヒスーパードライと非常によく合います。

ハヤの甘露煮(430円)

筑後川でとれる鮠(ハヤ)は久留米の人にはお馴染みの酒の肴。現在は養殖もされているそうです。淡水魚の小さな魚で、醤油、みりん、飴、砂糖などで甘露煮にして食べるのが一般的と聞きます。ねっとりとした旨さは、たとえお昼であっても日本酒や焼酎を頼まずにはいられなくなります。

川魚料理が加わることで、ぐっと久留米らしさがでますね。午後3時。幸せの昼飲みタイムです。

お酒(300円ほど)

店の一画にレトロな業務用給湯器と大量の魔法瓶が並んでいました。焼酎文化の九州ならではの光景ですが、ここは大箱ならではのかなり大規模な「お湯割り基地」となっています。

手前には、常に上燗ほどの温度に保たれた湯煎の酒燗器が鎮座しています。これまた、見たことないほど大きな設備です。注文が入る前から何本かセットされており、オーダーをうければすぐさま配膳されていきます。

飾り気のない昔ながらのガラス容器が、お店の雰囲気にぴったり。まさに酒場の酒という感じです。

福岡や大分のお酒がいくつか用意されていますが、店が定番で置いている普通酒のお燗をちびりと飲むのが一番しっくり来るように思います。

何十年も変わらない茶碗蒸し(380円)

品書きに「何十年もかわらない」と書かれていたら気になります。三つ葉、えび、かしわ、かまぼこ、銀杏などが入る、具だくさんな茶碗蒸しがやってきました。注文を受けてから蒸すので時間はかかります。

なにより、九州らしい味付けの出汁が楽しいです。老舗の風格感じる一品。

老舗の安定感

土地の料理が揃い、一人飲みでも大人数でも利用できる使い勝手抜群の酒場『古賀久』です。一人で飲んでいても不思議と疎外感はなく、実に心地の良い空間でした。

食事だけで利用する人もいるようで、食堂も宴会場も兼ねた「なんでも対応できる食事の店」という雰囲気に、老舗のどっしりとした安定感を感じます。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名古賀久(六ツ門本店)
住所福岡県久留米市六ツ門町2-36
営業時間11:30~21:30(月定休)
開業年1919年