東京を代表する餃子の名店のひとつ『おけ以』。約70年レシピを変えずに手作りしてきた餃子が名物。パリっとした皮の中に詰まった肉汁は、紹興酒と相性抜群です。炒麺や八宝菜なども絶品。お酒の種類が豊富で、夜は中華飲みを楽しむ人が集まります。
目次
1954年から続く飯田橋の大衆中華
神楽坂のお隣、飯田橋。出版社が集まる活字の街であり、東京理科大学や法政大学、日本歯科大学などがキャンパスを置く学生街でもあります。
そうした立地から、日中の外食需要が旺盛で、昼食時はどこの店にも行列ができます。その中でもひときわ人気の店が『餃子の店 おけ以』です。
店構えは昔からある老舗の大衆中華(いわゆる町中華)で、創業は古く1954年(昭和29年)。店に立つご主人は三代目です。人気店ながら店を大きくしたり現代風の店構えとせず、暖簾も昔からのものを受け継いできたと聞きます。
新しくなった飯田橋駅
広い空につながるような開放感に満ちた都会的なに生まれ変わったJR飯田橋駅。ここからわずか2分の場所に『おけ以』はあります。
外観
近代的な飯田橋駅とは対称的に、おけ以は昭和のまま時が止まっているような佇まい。活気溢れた昼食時と違い、夜は少し飲み屋のような雰囲気で、お酒好きの筆者はもちろん夜に暖簾をくぐります。
店内は昔ながらのカウンターとテーブルを配した、町の中華屋さんそのもののつくり。ただ特徴的なのは、化粧板がよくある朱色ではなく、エメラルドグリーンなこと。厨房とカウンターの間には観葉植物が並べられ、かなり緑色が強い空間です。厨房からは、中華鍋が奏でる心地よいリズムが聞こえてきます。
夜の品書き
お酒
樽生ビール(サントリー ザ・プレミアムモルツ):530円。瓶ビール大瓶(アサヒスーパードライ・キリン一番搾り):710円、小瓶(サントリーザ・プレミアムモルツ):520円。
清酒:520円、老酒:640円、紹興酒ミニ(宝酒造塔牌):730円、紹興酒ボトル:1,600円~。トマトサワー:520円、ウーロンハイ:470円、ハイボールジンビーム:490円など。
料理
一品料理は、餃子:630円、ニラレバ:750円、木須肉:920円、春雨炒め:1,170円、八宝菜:1,180円、かに玉:1,500円、酢豚:1,460円、油淋鶏:1,160円、レバカラアゲ:760円など。
麺類・ご飯類は、炒麺(ヤキソバ):710円、タンメン:710円、玉子チャーハン:780円、カニチャーハン:1,020円、カタヤキソバ:1,160円など。
独特な雰囲気に、紹興酒が進む
紹興酒クリア8年(2,150円)で乾杯
あまりみかけない、紹興白塔醸酒醸造の紹興老酒クリアー 熟成8年(500ml)。
文字通り、雑味のないクリアな味です。『おけ以』にきたらこの紹興酒を飲むと決めている常連さんもいるそう。餃子の旨さをより引き立てる素敵な一杯です。
餃子(630円/1人前)
一口で食べられるぎりぎりの大きさで、一人前6個です。写真は2人前。
8分ほどでやってきます。みてください、この美しいきつね色をした焼き目。最初蒸し焼きにしているようで、軽くですが羽根がついているのが特徴的です。
毎日店でつくるという自家製の皮に、昔から変わらないレシピの餡を入れ、大豆油で焼き上げる『おけ以』の餃子。頬張って最初に強く感じるのは、皮の香ばしさと焼き目側以外のもちもちとした食感。中から溢れてくるジューシーな肉汁は、とっても優しいバランスのよい味付け。ニンニクは入っていないようで、豚、白菜、ニラが主な具です。豚肉と生姜のかすかな余韻に、すかさず紹興酒をきゅっと。
八宝菜(1,180円)
ここの八宝菜は餃子に並ぶ、脳裏に残る味です。現地の中華とも日本式中華とも違う、個性のある味付けで、それが猛烈に紹興酒を誘うのです。豚、海老、うずら卵、白菜、人参、ピーマン、たけのこ、しいたけ、コーン、ねぎ、銀杏にゆり根まで入った、具だくさんな一品。
炒麺(710円)
茶色い縮れ太麺(短め)で、具は豚、もやしなどとシンプルです。上海風のオイスターソースと醤油をつかった脂しっかり濃いめの味付けです。
ゴワゴワとした麺の食感もあって、お酒をつまむための料理なのでは?と思うほど。ワシワシ系の中華焼きそばが好きな人にはたまらない味です。
二人で餃子1人前ずつに、2品をシェアして紹興酒をボトル一本。小一時間で大満足の飯田橋・中華飲みです。
長居するお店ではありませんので、神楽坂など近隣の居酒屋とセットで、梯子飲みに立ち寄られることをオススメします。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | おけ以 |
住所 | 東京都千代田区富士見2-12-16 |
営業時間 | 昼11:30~13:50L.O 夜17:00~20:40L.O(日祝第3月定休) |
開業年 | 1954年 |