西大路御池『高木与三右衛門商店』料理が充実。京都散策で絶対訪ねたい角打ち

西大路御池『高木与三右衛門商店』料理が充実。京都散策で絶対訪ねたい角打ち

2022年3月31日

繁華街から少し離れた西大路御池に、素晴らしい角打ちがあります。店の名は『高木与三右衛門商店』。80余年続く酒販店で、角打ちに力を入れています。特長はなんといっても料理の品数の多さと質の高さ。絶対訪ねる価値ある一軒です。

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初代店主・与三右衛門氏を店名に

京都の繁華街から離れた場所にある角打ちをご紹介します。

四条河原町からは、京都市営バス203系統で30分ほど。列車ならば、地下鉄東西線の西大路御池駅からすぐ。お寺と住宅が密集するエリアで、南隣りの西大路四条(西院)と比べると静かなエリアです。世界なハイテク企業・島津製作所の本社があることで知られています。

このまちで1939年に創業した酒販店が、本日ご紹介する『高木与三右衛門商店』です。夕方16時なるとどこからともなくお客さんたちが集まってきて、17時を過ぎた頃には店内は満員御礼状態にな人気店です。

住宅街なので、夜になると街灯以外は真っ暗。角打ちの明かりが春日通りを照らします。

外観

店名は『高木与三右衛門商店』ですが、看板には「高木商店」とあります。これは、3代目のご主人が店を引き継いだ2015年に、これまでの「高木商店」をご主人のおじいさんである初代の高木与三右衛門氏の名前をつけたものに変更したのですが、看板だけはそのままになっているからです。

さて、早速店内へ。角にある店舗なので、入り口が数箇所ありますが、どこから入っても大丈夫。気候がよければ、明け広げてより開放的な空間になるそうです。

内観

ご主人自ら内装をDIYしたという店内は、中央にテーブルとお惣菜を並べた冷蔵ケースが配され、酒屋というよりは立ち飲みのつくりです。

対する壁側は一升瓶が並ぶ棚にビールを揃えたショーケースと、こちらは酒屋の雰囲気を残しています。角打ちがメインとなった今もお酒の小売をおこなっており、常連さんが気に入った銘柄を買ってかえることもあるそうです。

所狭しと立ち飲み用のテーブルがセットされ、お客さんは思い思いの場所をつかってお酒と料理を楽しまれています。

乾杯は瓶ビール「キリンハートランド」で

壁面に向いたL字カウンターが、お一人で飲みに来るお客さんたちの特等立席になっている様子。お酒や乾き物が並ぶ奥側は店員さんのスペースかと思いきや、混雑してくると向こう側に立つ常連さんも。みなさん顔なじみのようで和気あいあいとお酒を楽しまれています。

さて、乾杯はやっぱりビールから。大手3社の銘柄が一通り揃っていますが、京都では珍しい取手うまれの「ハートランド」を発見しましたので、一杯は緑のオシャレビールから。それでは乾杯!

品書き

お酒

樽詰は珍しい「クリアアサヒ」(麦の新ジャンル)で、値段はなんと1杯275円。瓶ビールは大ビン(アサヒスーパードライキリン一番搾りサッポロ黒ラベルサッポロラガー):440円、ハートランド中ビン:385円など。さすが角打ちと言える安さです。

日本酒は佐々木酒造(京都洛中)聚楽 普通酒:330円、とらふぐひれ酒:440円、おすすめ純米酒各種:550円~

名物ドリンクは、よさアカ(京都のバクダン):330円と、ミドリ特濃緑茶割り):275円。その他、樽詰チューハイ樽ハイ倶楽部):275円、自家製ジンジャー酎ハイ:385円、コーヒー酎:385円、ホッピーセット:385円、デュワーズハイボール:385円、なみなみグラスワイン(赤・白):275円など。

料理

名物は焼津 浜汐サバのきずし:275円、一品料理は、きゅうりの梅くらげ:220円、らっきょコンビーフ:220円、サバ缶のトマトブッカケーノ:275円など。その他、冷蔵ケースにお造り(刺身)が用意されており、こちらも人気です。

本日の揚げ物

角打ちではあるものの、前職で飲食関係に携わっていたご主人がつくる豊富な料理が特長の『高木与三右衛門商店』。揚げ物は注文を受けてから揚げてくれるので、出来たてが美味しいと常連さんに評判です。

本日のあげもんと書かれたボードには、メンチカツ:220円、牛肩ロース:330円、ニラ肉春巻:220円などが並びます。加えて定番で、ハムカツ:165円、イカフライ:165円、マルシンハンバーグ:165円など。

冷蔵ケースも見逃せない!

順次補充されるので、なにがでてくるかも楽しみのひとつ。ケースの上にもいろいろと料理が並んでいます。みてみると、エビシウマイチリソース:275円など、お酒飲みがビールや酎ハイと合わせたくなる軽いアレンジ料理が並んでいて、どれも食べたくなってしまいます。

お造り盛り合わせ(まぐろ、タイ、海老、赤貝など):440円、かに酢:330円、播磨灘生カキポン酢:275円、下関とらふぐのてっぴ:220円、カレーマカロニサラダ:220円など。魚介類は京都の業務用台所「京都市中央卸売市場」で日々仕入れているというから本格的です。

手が込んだ料理の数々に、人気の理由がよくわかる

焼津 浜汐サバのきずし(275円)

きずし(〆鯖)はお店の看板メニューです。角打ちで名物がこれとは、もうこの時点で角打ちの域に収まっていないように思いますが、値段はしっかり角打ち価格。刺身で食べるのもよいですが、炙りをお願いすることも可能です。

炙ることできゅっと引き締まった皮目からは、じんわりと脂が滲んでいます。これに、特製のきずし酢と生姜をあわせて、あっさりと頂くのが『高木与三右衛門商店』流の食べ方です。酢とサバの余韻は、日本酒、とくに冷酒が欲しくなること間違いありません。

ミドリ 特濃緑茶割り(275円)

宝焼酎をベースに、抹茶の粉末を相当量いれた抹茶ラテのような一杯。甲類焼酎の甘さを引き出す抹茶の旨味、苦味が心地よく、きずしとも相性ぴったりです。

高峰 松野さんのモロキュー(220円)

京都市北部・高峰の農家さんがつくったきゅうりを使っているので、そのまま料理名になっています。さすがお酒屋さん、味噌がまた美味しいのです。

よさアカ(330円)

京都のお好み焼き屋や居酒屋で見かけるご当地チューハイである「バクダン」や「アカ」と呼ばれるもの。こちらでも提供されていますが、レシピは内緒とのこと。甘さ控えめでコクが強く、飲みごたえのある一杯です。

ミドリもアカも、名物チューハイはどちらも度数しっかりで、ほろ酔いになること間違いなし。

ぽつんと存在する角打ちが驚くほどお客さんで賑わっているのは、なんだか狐につままれた気分になります。お話を聞かせてくれた常連さんやお店の皆さん、楽しい時間をありがとうございました。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名高木与三右衛門商店(高木商店)
住所京都府京都市中京区西ノ京西中合町64
営業時間16:00~22:00(日定休)
開業年1939年(2015年6月に現在のスタイルへ)