地元食材と東京・下町的な酒場ムードが評判となり一躍街を代表する大衆酒場のひとつとなった、四日市の「大衆酒場 ゑびす」。近鉄四日市駅付近の狭い範囲に3店舗を展開中。今回はお昼から飲める便利な2号店をご紹介します。
東海道の宿場町・三重県最大の繁華街を元気にする新店
東海道五十三次、日本橋から数えて43番目の宿場町である四日市。県庁所在地の津よりも繁華街の規模は大きく、宿場町から続く長い歴史の中で発展してきた商店街や歓楽街が広がっています。
四日市も他の地方都市同様、大都市名古屋へのストロー効果や、中心市街の空洞化、消費の多様化で歓楽街の賑わいは縮小の一途をたどっています。
そんな中で、「老舗食堂や酒場もありましたが、ここ10年は新店の開業が目立つ」、と地元の酒類関係者は話します。街に新たな賑わいをつくり、地域全体の活性化に奮闘する飲食業の若者が多いのです。
2012年に開業した「大衆酒場 ゑびす 」(株式会社今野商事)は草分け的な存在です。実は10年近く前、東京・木場の老舗酒場で、四日市の酒造会社の支店長とともに大将の今野さんにお会いしたことがあります。
聞けば、出身は北海道。大阪で板前の修行をし、関西で料理人の腕を磨き、その後四日市へ。勤め人から一人の大将として独立し、そうしてはじめたのが「大衆酒場 ゑびす」です。
料理人として店に立ちながらも、早朝には北勢地方卸売市場に仕入れに行き、伊勢・志摩などの豊富な魚介類を仕入れてきます。
店舗は現在3軒。以前取材したときはまだ本店だけでしたが、あっという間に大繁盛店に成長し、予約必須の店となっていたようです。立ち飲みが珍しい四日市で、低価格で地元食材が楽しめる「スタンドゑびす」を立ち上げ、千円ちょっとで大変満足ができる店としてこちらも評判になっています。
2号店は寿司屋テイスト
本店は東京下町の酒場風、スタンドは立ち飲みときて、こちら「大衆酒場ゑびす2号店」は、寿司屋や割烹風のパリっとした雰囲気です。酒場好きだけでなく、家族連れや接待などにも使いやすい雰囲気です。
昨今の状況下でビニールや衝立が目立ってしまいますが、明るいトーンのカウンター席はもともとは寿司店のような高級感があります。
お酒は紀伊半島の銘柄が多い。地酒は宮の雪です。
昼飲みでオススメしたい
営業時間は11:00から通しで22:00まで。日中は比較的静かな近鉄四日市駅前にあって、大変貴重な昼酒スポットです。なおかつ、魚介をつかったランチメニューは驚くほどリーズナブルで、これらにビール(銘柄は樽生がアサヒスーパードライ・大びん690円でアサヒスーパードライとキリンラガー)や酎ハイ類(390円)、宮の雪、キンミヤ焼酎などを1杯つけて、ほろ酔いランチなのて利用は最高です。
定食は500円から。お店のおすすめは、居酒屋営業の刺盛り同等のボリュームと種類を揃えた刺盛定食(900円)です。
ランチでも居酒屋メニューが注文可能。料理はお刺身も含め500円未満がほとんどで、夜利用でも2,000円台で大満足できる価格設定です。
三重鮮魚の三色丼(600円)
まずはアサヒスーパードライ(おおきな中ジョッキ690円)で乾杯。
三色丼を注文しました。これで600円はかなりリーズナブルではないでしょうか。
志摩沖でとれるブランドカツオや地元の鯛、鯵、なめろう、鱧などが入ったかなり豪華な内容です。
オーナーが板前修業からはじまった包丁のプロですから、働く人も腕のいい方ばかり。それに加え、地魚の鮮度の良さもありますから青魚はぷりぷり。白身魚は絶妙な旨味の引き出し具合になっています。
この価格帯の海鮮丼で鱧をだされるなんて素晴らしい。
ランチ飲み放題1,100円
開店から14時までの注文で、1時間飲み放題1,100円という昼飲み専用の飲み放題が用意されています。ちょっと一杯のつもりが、地魚とお酒でほろ酔いになること間違いありません。
カワハギ刺しは肝がたっぷりついて450円!さざえも地物。自家製の料理に名古屋テイストの料理もあり、東京から取材にきている筆者は目移りしてしまいます。
地酒も豊富。夜はしっかり深く飲むのも良さそうです。
四日市に出張・旅行の際は、ぜひ訪ねてほしい魅力的な一軒です。念の為予約されることをおすすめします。飲んだあとは、ぜひはしご酒を。楽しい四日市の飲み屋街を巡り歩いてみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)