もつ焼5本100円!?営業自粛中の人気店「でん」の人材成長と社会貢献

もつ焼5本100円!?営業自粛中の人気店「でん」の人材成長と社会貢献

2021年9月10日

こどもと一緒に行くと、テイクアウトのもつ焼き5本(800円相当)がわずか100円になる。そんなユニークな取り組みで地域貢献に取り組む飲食店が「もつ焼でん」。

水道橋で創業し、中目黒、蒲田、西小山、戸越銀座、佐渡、2021年にはアメ横店を開業せた人気もつ焼き店グループです。

運営会社である株式会社 田の代表で、もつ焼「でん」の創業者である内田克彦さんに、企画の理由を伺いました。

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もつ焼でんとは

佐渡島出身の内田さん。外食では10年間の居酒屋八百八町勤めを経て、当時のカフェブームにのって代官山でカフェを開業。カフェ運営で苦労しているときに、ラジオから流れてきた『伝説への扉』という飲食店開業チャレンジャー発掘企画を知り応募。そこでの受賞がキッカケとなり、内田さんのもつ焼き人生がスタートしたそうです。

コンテストの審査委員長は、紅虎餃子房などを展開する際コーポレーションの代表取締役会長兼社長の中島 武さん。それがはじまりとなり、際コーポレーションの協力のもと、2008年に新宿思い出横丁に行列のできる店「もつ焼き ウッチャン」を開業します。

その後、独立し2012年に水道橋に「もつ焼でん」をオープン。店数を増やしていき現在に至ります。

個性的な紅生姜入りの白味噌を添えたもつ焼きが名物です。

なぜ子供連れは100円?

酒類が提供できない状況下でも、ノンアルコール飲料の提供やテイクアウトで店を開けているお店はあります。ですが、テイクアウトがわずか100円という原価割れのような価格で販売されているお店は他にないのではないでしょうか。

その答えは仕込み中の店内にありました。

緊急事態宣言下の「もつ焼でん 戸越銀座店」にお邪魔しました。店内での飲食営業の予定はないにもかかわらず、スタッフの皆さんが忙しく仕込みをしています。

店は休みでもテイクアウト販売を続ける理由

理由その1,働く人の技と気持ちを守る

2021年の大半が緊急事態宣言等で営業に制限がかけられた状況にある飲食店。働く人々は長いと数ヶ月に渡ってずっと休み続けることになりますが、そこで懸念されることはモチベーションと調理技術の維持です。

仕込み、串打ち、焼きといった一連の仕事を少量であっても継続することでこの課題に向き合っていると内田さん。また、この機会を利用してでん全店の味の差を抑え、スキルの均一化を図るための研修の場としても考えていると話します。

理由はそれだけではありません。

理由2,外食産業は飲食店だけでまわっていない

もつ焼店にとって、鮮度のよいモツの仕入れルートは生命線です。店舗も日々の赤字で厳しい状況ですが、内蔵肉卸の商店も現在の状況では大変厳しいことに違いはありません。外食はお店とお客さんだけの関係ではなく、そこに関わる多くの人々によってまわっています。そういう流れを微力であっても守りたい。温和な表情ながら強い思いを感る言葉で内田さんは話します。

そして、最大の目的は地域貢献です。

理由3,目の前の人に役立ちたい

内田さんもお子さんがいらっしゃり、昨今の状況下で厳しい状況にある子育て世帯を支援したいという思いが本企画の主軸にあるようです。

「こども食堂」をイメージしつつも、100円という値段で本当に届けたい人々に渡るように考えたとのこと。売上は寄付を予定していると話します。

(もつ焼でん 蒲田店)

子育てしながらのリモートワークや、小学校や中学校のオンライン授業や授業時間短縮などにより、子育ての日常が大きく変化した皆さんに、ぜひ活用してほしい取り組みです。もともとは夏休み応援企画で始まった取り組みですが、緊急事態宣言の延長に合わせて応援企画も延長。店舗も都内全店で実施されています。お酒好きのお父さん、お母さん、家族でもつ焼の美味しさを共有しませんか。

16時頃~販売開始。串焼き以外にも、牛もつ煮込みやマカロニサラダ(こども連れならば200円)などのお料理パックもあります。

なお、子供連れでなくても+300円で誰でも購入可能です。それでももつ焼5本で400円はオトクなので、生活圏内にある方はおつまみ調達にいかがでしょう。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ Special Thanks/株式会社 田・サッポロビール株式会社)