酒場気分で楽しむカウンタージンギスカン。アイスランドシープは厚切りなのに、歯切れ抜群。クセは皆無で旨みたっぷり。余韻にサッポロ生ビールをぐっとあわせれば、新橋の路地に居ながら気分は北海道です。
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東京のジンギスカンブームの火付け役のひとつ
新橋駅烏森口から、いつものように西口商店街をマッカーサー道路(環二通り)に向けてふらふらと歩く。今日は定番のやきとんか、お馴染みのろばた焼きか。新橋で飲み歩いた人ならば、景色が浮かんでくるのではないでしょうか。
「そういえば最近、ジンギスカンをおつまみにしてビールを飲んでいない」
そう感じたのは、ここ数年で新橋には複数のジンギスカン店がオープンし、街中に看板を多く見かけるようになったからです。
新橋のジンギスカンといえば、ブームの第一人者的な一軒が目貫通りから1本入った場所にあります。
幅3mほどしかない路地に古い2階建ての飲食店が立ち並び、ちょっとした横丁の雰囲気です。ここで一際美味しい香りを漂わせている「金の羊」が今日の一軒。
店のオープンは2005年ですが、それ以前は桜田公園近くで「金太郎」の名前で営業していました。「さっぽろジンギスカン」と冠しているとおり、開業には元になったお店が存在し、札幌市内にある老舗のジンギスカン店に原点があります。
カウンターで煙に包まれ、ビール片手に楽しむ
ジンギスカンというと、ビール園のようなテーブル席に予めジンギスカン鍋がセットされたお店をイメージがありますが、こちらはというと、大衆酒場の雰囲気です。調理場は目隠しされておらず、肉を次々さばいていく様子がみえます。そちらに向いて、ずらっとカウンター席が約15席。活気と一体感に包まれます。二階にはグループ向けのテーブル席があります。
いずれにしても、煙を吸い込むタイプの焼台ではなく七輪の炭火焼きのため、煙を浴びることになります。服装には気をつけて。
煙も肴、サッポロ生ビール黒ラベルで乾杯
炭火のにおいはビールをより美味しくしてくれます。さぁ、食べるぞ・飲むぞ!と気合を入れて、いざ生ビールで乾杯!
品書き
飲み物
ビールはサッポロです。樽生が黒ラベル(中560円)、瓶がサッポロラガー(中びん580円)。酎ハイは480円均一で、味はいろいろ。数人で飲むならば、やかん入り(約8杯分2,900円 ※1杯換算約360円)で豪快に楽しむのも良さそうです。
日本酒は合同酒精の北の誉、ワインは北海道ワインの用意もあります。
メインメニュー
看板料理の生ラム肉ジンギスカンは880円。数量限定、営業中に準備が整うこともある切り出しジンギスカン(1,280円)は食べられたらラッキー。珍しいエゾ鹿肉(1,680円)や手頃な豚ホルモン、生ハツ・生レバ・生タン下、ガツ芯、白コロ(530円~)も選べます。
珍味いろいろ
エビキムチ、アイヌネギのおひたし、タコのボッツ(各540円)や、カウンター上部に掲げられた道産炙りベーコンや自家製ラムポテトなど、焼き物以外のサイドメニューに個性があっておもしろいです。
ジンギスカンというより羊の焼き肉
カウンターより厨房側の一段下がったところに炭火入りの七輪がセットされ、同時に自家製タレが登場。このタレがなかなかどうして、和風だしテイストで甘さ控えめ、繊細な味です。〆は蕎麦湯のように、タレをスープのようにして楽しむことをお店は提案しています。
ラムポテト(450円)
切り落としのラムと、ごろごろじゃがいもが入ったポテトサラダ。
ラム肉ジンギスカン2人前
アイスランド産のラムを使うのが金の羊のこだわり。薄く広げたものではなくブロック状に切られています。
これだけ分厚いと食べづらいかと思うのですが、それがそうでもないのです。
焼きすぎず、ちょうどいいあんばいで一口。特有のクセは感じません。そして歯切れがよく食べやすい。一般的なジンギスカンとは印象が異なるさっぱりとした味です。
切り出しジンギスカン(1,280円)
厨房では店員さんが次々と肉に包丁を入れていきます。ちょうど切り分けジンギスカンの準備が整ったようです。
部位は様々で、それぞれの味の違いを楽しむのも魅力の一つ。ツヤツヤで美味しそう。どれもさっぱりしているので、もりもりと食べられます。
ラム肉の脂を吸わせた玉ねぎも、よきビールのお供です。
雑多な空間で、ラム肉とビールに向き合う1時間に満たない濃厚な時間を楽しみました。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)