八戸の中心街には8つの横丁があります。全国的に見ても、これだけ横丁が密集しているエリアは珍しく、横丁は八戸の重要な観光資源になっています。
太平洋に面して港湾で栄えたこの地は、陸にあがった船乗りたちが飲み歩くことから古くから歓楽街が存在しました。戦後の混乱期にはいくつもの横丁やバラックのマーケットがつくられ、その後大きな再開発もなく現在に至ります。
レトロなムードが残る八戸の横丁で、北東北の酒と肴、そして地元の人との一期一会の酒場時間を楽しまれてみてはいかがでしょう。
今日はみろく横丁から、元漁師が営む屋台酒場「海の幸 美味」をご紹介します。
ゆるキャラ「よっぱらいほやじ」に誘われて
八戸横丁のイメージキャラクター、「よっぱらいほやじ」。その名の通り、八戸名産のホヤをモチーフにしています。八戸市出身のデザイナー・竹本真紀さんによる作品で、中心街に8体います。はしご酒がてら、全部見つけてみるのも楽しいです。(入り組む横丁で迷子になる感覚もまた楽しい)
みろく横丁は、東北新幹線の八戸延伸と同じ2002年(平成14年)に誕生した最も新しい横丁です。みろく横丁は新幹線効果もあって、歓楽街再生の成功事例として話題になりました。
みろく横丁の誕生にょって従来からの横丁にも活気が戻り、若い人のお店も増加中です。
屋台村の中にある人気店
みろく横丁の入り口にある店が「海の幸 美味」。いわゆる屋台村の造りでカウンター席しかありませんが、冬は鍋料理も出す本格的な飲み屋です。お店を切り盛りするお姉さんは、街の「お母ちゃん」。地元の飲食店のスタッフさんも営業前や閉店後に店を訪れ、世間話とお酒を楽しまれています。
明るい時間から営業していることもあり、太平洋から吹き付ける海風の寒さもあって、早い時間から滑り込みました。ポカポカな店内、このコントラストが一杯目のビールを美味しくします。
それでは乾杯!
樽生はアサヒスーパードライ、瓶でアサヒのほか、キリンラガー、一番搾り、サッポロ黒ラベルから選べます。チューハイはアサヒの樽詰め、樽ハイ倶楽部(450円)。せっかくの八戸、ここはやっぱりメインは日本酒でしょう。
料理は、刺身(どんこ、ホタテ、イカ、タコ、ウニ、ハマチなど・600円~)、煮魚(どんこ肝煮豆腐、サンマ汐煮など・400円~)、焼き魚(サバ、真ホッケ、コマイ、ヤマメ、アワビなど・500円~)、揚げ物(カニしんじょ、サンマ南蛮、どんこ竜田、ホタテ揚げ、ふのり天)など、ご当地色濃厚。せんべい汁やひっつみ(共に600円)でお燗酒というのも良さそうです。
カツオ酒盗(500円)とメカブ酢(450円)をちびり、ちびりとつまみながら、北の街の独特な静かな夕暮れを眺めるひととき。
八戸の酒蔵、八戸酒造(1775年創業)がつくる「陸奥八仙」(特別純米700円)。いまや全国的に知られるようになった、この街自慢の銘酒です。ビヤタンのたっぷり注いでもらいました。
思わず、「へへっ」てなりそう。フレッシュで華やかなお米の香り、まろやかな味わい、酸味と旨味、甘味のバランスもちょうどいい、美味しい一杯です。
八戸酒造の地酒勢揃い
八戸酒造といえば、やっぱり「陸奥男山」という方も多いのではないでしょうか。それにしても、このコンパクトな店内のどこにこれだけ一升瓶が冷やされていたのか不思議に思えるほど、陸奥男山と陸奥八仙が用意されています。
二杯目は陸奥男山。どっしりとした名前ながら、味はりんごを思わせるみずみずしい旨さが非常に心地よいです。
横丁の楽しみはまだ始まったばかり。今夜も長くなりそうです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 海の幸 美味 |
住所 | 青森県八戸市六日町 八戸屋台村みろく横丁 やんせ市一丁目 |
営業時間 | 営業時間 17:30~翌2:00 定休日 月2回 日曜日 |