マグロの水揚げ漁港といえばどこが思いつきますか。首都圏の三崎でしょうか。水揚げ量日本一の焼津ですか。量に関係なく挙げるならば、やはり青森県の大間は外せません。
青森県は黒いダイヤと呼ばれる本マグロ(クロマグロ)の一大漁場。特長はなんと言っても豪快な一本釣り漁法です。大間マグロは東京中央卸売市場(豊洲市場)の初競りで高値で取引される様子が全国ニュースになりますね。
大間ブランドのマグロは、津軽海峡を泳ぐ近海もの。ならば、どんな町で水揚げされているのか一度は訪ねてみたいもの。その土地の風を感じ、現地の店の方とお酒を片手に会話を楽しみ、そしてマグロを摘みたいです。ということで、大間は福寿司の暖簾をくぐりました。
東京から東北新幹線で八戸へ。八戸からJR大湊線の快速しもきたで下北へ。さらに路線バスに乗り継いでやってきました。小雨が風で舞うあいにくのお天気。津軽海峡から吹き付ける強風にカメラを構えるのがやっとなほど。
大間漁港に隣接した海風が強く吹き付ける場所に、「福寿司」はあります。それでも二重扉の内側は別世界の暖かさ。この環境の緩急が北国の飲み屋を尋ねる魅力のひとつだと思います。
いらっしゃい!元気に迎えてくれたご主人。パリっとした接客、きれいにネタの揃った冷蔵ケース、老舗ながらも隅々まで手入れがされていて古くても清潔感のある店内。地元の方が会合にも使うお店ですが、一人・二人の一見さんでも丁寧に接してくれます。
暖かい店内に入ると飲みたくなる冷たいビール。アサヒスーパードライの樽生で乾杯!
マグロが看板料理なのは間違いありませんが、ホタテやボタンエビ、ヒラメなどの青森県産の魚介類を多く揃えています。
福寿司はマグロを年間を通じて食べられます。定番はまぐろづくし(4,500円)、もしくはお任せ握り(3,500円)とのこと。
大間のマグロは”冬マグロ”と呼ばれることもあり、水温が低い秋から冬にかけてが旬。鮮やかな赤身と、眺めているだけで日本酒が進むような大トロ、中トロ。酢飯と身のバランスがちょうどよく、実に心地よい味です。
福寿司はお酒の品揃えが充実していて、十四代などの有名銘柄から、地産地消の青森・下北の日本酒も充実していて、燗酒でこれをきゅっと飲めば、もうたまらないのです。粗削りの味もまた土地のおもむき。
こちらがお任せ握り。まぐろづくしのインパクトが大きく魅力が引っ張られていますが、こちらもなかなか。これでもかと盛られたムラサキウニが素敵です。
生ふのりがたっぷり入ったお椀でおしまい。大間マグロを手の届く価格でたっぷりと。大満喫のひとときでした。
福寿司から10分ほど歩くと、津軽海峡フェリー 大間~函館航路[ノスタルジック航路]が発着する大間ターミナルに着きます。
運賃は3,000円前後(期間によって異なります)、1時間30分の船旅です。船内は連絡船らしくカーペット敷きの客室で、ゆったりと船を楽しめます。
マグロやイカが泳ぐ津軽海峡をこえて、さあ函館へ。
大間と函館、フェリーを使えば隣町の感覚で移動ができました。お酒を飲んだあとはのんびり海を眺めてひとやすみ。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
福寿司
0175-37-4570
青森県下北郡大間町大間字大間75
11:30~14:30・17:00~22:00(不定休)
予算5,000円