本州最北のビヤホールは、青森の中心街にあります。店名は『サッポロビアレストラン910』。大箱ながら夜は平日でも満卓になるほどの人気店です。おすすめは郷土料理と2,500円の飲み放題コース。生ビールだけでなく、青森の地酒も楽しめます。
目次
地元では有名なビヤホール。サッポロビールとの関係は?
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人口約28万人。青森県の県庁所在地・青森市。主な産業は商業、観光業、運輸業など。同じ青森県の八戸市と比べ、工業の比率は低いです。青函トンネル開通以前は北海道と本州をつなぐ交通の要衝だったこともあり、街の中心街は青森港やJR青森駅に隣接した場所に広がっています。
青函連絡船なき今、日中から営業している居酒屋は少ないですが、本州最北のビヤホール『サッポロビアレストラン910』はお昼から通しで営業しています。
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国道7号沿い、青森県庁から150mほどの場所にある『サッポロビアレストラン910』。一階がコンビニエンスストア、上層階はビジネスホテル。ビヤホールは2階にあります。
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運営は、青森駅の駅弁などを手掛ける「幸福の寿し本舗」です。同社の母体は青森では有名な製パン会社「工藤パン」で、『ビヤレストラン910』の名前は、9(く)・10(どう)が由来。ですが、読み方は「きゅーいちまる」とのこと。
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もうひとつの不思議は、サッポロビールとの関係です。資本関係はないものの、店名は「サッポロ」と入っていますし、サッポロビールの旧CI(S★PPORO)も書かれています。
「2000年にビヤホール事業に参入する際、サッポロさんがとても良くしてくれました。ビヤホールの運営ノウハウは、サッポロ系列の銀座ライオンさん直伝です。私を含む開業時のメンバーは、実際に銀座ライオンの店舗へ行き、研修を受けてきまました」と店長さん。
広義な意味で、銀座ライオンの暖簾分けという訳です。
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それを物語るように、ビールのラインナップは銀座ライオンに並ぶほど。青森市では調達が難しいエリア限定銘柄(例:サッポロクラシック)を除くすべての液種(銘柄)が揃っています。
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日本酒だけではありません。みてください、この錚々たる田酒の並びを。ビールだけではなく、地酒のラインナップにも相当なこだわりが感じられます。
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料理は銀座ライオンから伝わったと思われるおなじみの「唐揚げ」や「ガーリックトースト」だけでなく、居酒屋料理や中華風料理も揃い、デパートの特別食堂のようなメニュー構成になっています。駅弁を手掛ける会社だけあって、郷土料理が充実しているのがポイントです。
内観
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ビジネスホテルの1フロアすべてがビヤホールですので、店は広くて開放的です。総席数は180。30人以上が利用できる宴会場や6人個室、ファミリーレストラン風のボックス席など様々なテーブルがあり、一人飲みから宴会まで幅広く利用されています。
取材時は混み合う前に訪ねましたので写真の通り空席ですが、18時を過ぎた頃は満卓になるほど混み合っていました。
品書き
飲み放題
91分飲み放題 スタンダード:2,500円
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- サッポロ生ビール黒ラベル
- ヱビス プレミアムブラック
- ハーフ&ハーフ
- 津軽じょっぱり
- 本日の限定酒
- デュワーズロック・水割り・ハイボール・ジンジャーハイボール・コークハイボール
- 和ら麦
- からり芋
- チューハイ(氷彩サワー)各種
91分 プレミアム飲み放題:3,000円
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スタンダードに加え、
- ヱビスビール
- 琥珀ヱビス
- ヱビスマイスター
- サッポロエーデルピルス
- サッポロ SORACHI1984
お酒
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- サッポロ生ビール黒ラベル:650円~
- サッポロエーデルピル:780円~
- サッポロSORACHI1984:780円
- ヱビスビール各種:700円~
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- 田酒(酒米:華吹雪):700円~
- 田酒(古城錦)純米吟醸:1,200円
- 田酒 (秋田酒こまち):1,000円~
- 田酒(山田錦):1,000円~
- 豊盃:750円 AQE純米華吹雪70:750円
- 喜久泉:700円~
- 善知鳥(うとう):1,800円
- 菊乃井:600円~
- 亀吉:750円~
- 陸奥八仙:800円~
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- 緑茶ハイ(ポッカサッポロ玉露茶割り):600円
- 樽詰スパークリングワイン ポールスター:500円
- グランポレール余市ツヴァイゲルトレーベ:4,200円
料理
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- お刺身:880円~
- ソーセージ:750円~
- アイスバイン:1,050円~
- BBQスペアリブ ブロック:2,980円
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- 魚介のかにみそ焼き:780円
- 鶏の唐揚げ:800円
- いかの姿焼き:900円
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- ガーリックトースト:650円
- バケットピザ:1,100円
- クリームチーズ入りハムカツサンド:800円
- 五目あんかけ焼きそば:1,050円
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- クリームチキンライス:880円
- オムライス:1,000円
- ざるそば:600円
おすすめメニュー
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- 田酒使用はまぐりの酒蒸し:880円
- いかメンチ:680円
- いかメンチつくね:580円
- 豚肉ともやしの中華風炒め:780円
- 田子産にんにく揚げ:950円
地酒やハーフ&ハーフが選べる飲み放題が楽しい!
飲み放題 サッポロ生ビール黒ラベル
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飲み放題は事前予約なく利用可能。「91分飲み放題」2,500円はやや贅沢に思えるかもしれませんが、ビールだけでなく、特別な地酒まで飲めるのでその価値は十分にあります。
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一杯目は、迷うことなく定番目の銘柄、サッポロ生ビール黒ラベルで乾杯!
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大きな窓から入る夕暮れの光に照らされ、ビールが黄金に輝いています。とても清々しい気分。
いかメンチ(680円)
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恥ずかしながら、青森の酒場で飲むまで「イカメンチ」を知りませんでした。津軽地方の郷土料理です。五所川原出身の方によると、ごく当たり前の惣菜なのだそう。ゲソをミンチにして玉ねぎや人参と一緒に小麦後まとめて揚げたもの。イカの風味と旨味、コリコリとした食感が、日本酒はもちろん、ビールともよくあいます。
魚介のかにみそ焼き(780円)
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ホタテの殻に海老や魚の切り身などを載せ、かにみそで焼いたもの。グラタン風に仕上がっています。青森のビヤホールらしくて嬉しくなる一品です。
回鍋肉(880円)
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ビールをスイスイと頂きながら、お次の料理は回鍋肉。
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濃い味で甘さもしっかり。ビヤホールで中華というのもなかなか良いものです。
飲み放題 ヱビスプレミアムブラック
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黒ラベルから、少し落ち着くようにサッポロの黒ビール「ヱビスプレミアムブラック」。しっかりとしたコクが濃い味の料理とマッチします。
ハーフ&ハーフ
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黒ラベルとヱビスプレミアムブラックをあわせたハーフ&ハーフも。スタンダード飲み放題でも黒ビールが選べるのは嬉しいですね!
飲み放題 陸奥八仙 URARAラベル
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比較的ハイクラスなビヤガーデンや居酒屋でも、飲み放題コースの日本酒は大手メーカーが造る普通酒~本醸造ということが多いですが、『ビヤレストラン910』は違います。
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徳利お猪口が来るかと思いきや、一升瓶と枡が運ばれてきました。飲み放題なのにそこまでしてくれるなんて、サービス満点です。しかも銘柄は八戸酒造「陸奥八仙 URARA」ラベル(※指定の日本酒は日々変わります)。
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県産米を使用した八戸のお酒で、陸奥八仙シリーズらしい華やかなリンゴのような香りが漂います。薄めの酸と、果実を連想する甘さがあり、後味はすっきり。ラベルのポップなイメージ同様、実に明るく元気なお酒です。
本記事を書くにあたり、八戸酒造のホームページを見ましたが、一升瓶で蔵元直販価格・3,000円越えでした。スタンダード飲み放題にこのクラスとは、改めて驚きます。
魚介のカルパッチョ(1,100円)
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ホタテや海老などが入るカルパッチョ。酸味がある料理は、フルーティーな日本酒とも好相性です。
ごちそうさま
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接客がとても丁寧ですし、明るく清潔感あり。お昼から飲みたいときや、家族旅行でも飲みに行けるお店をお探しの方には、とてもオススメなお店です。サッポロビール愛好家の方は、ここへ飲みに行くために青森で一泊しても良いと思います。
日本最北のサッポロ系ビヤホールは
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | サッポロビアレストラン910 (キューイチマル) |
住所 | 青森県青森市古川2-9-1 2階 |
営業時間 | 11:30~22:00 |
開業時期 | 2000年(母体は1932年) |