本郷三丁目「加賀屋 本郷店」 加賀屋の本元を訪ねる。抜群によい大箱酒場。

本郷三丁目「加賀屋 本郷店」 加賀屋の本元を訪ねる。抜群によい大箱酒場。

やっこだこのマークを誇らしげに掲げる本郷三丁目の加賀屋。

都内を中心に、遠く静岡県はJR島田駅前にも店を構える「加賀屋」は、飲み屋好きならば一度は見かけたことがある店名ではないでしょうか。創業者の出身地から名付けられた「加賀屋」の名は現在の約50店のお店に受け継がれ、今日も繁華街を照らしています。

加賀屋はチェーンやフランチャイズではなく、すべて暖簾分け。ニュー加賀屋や加賀廣などのバリエーションはあるものの、元はひとつの加賀屋から始まりました。

今日は、そんな加賀屋の本店である、本郷三丁目の「加賀屋本郷本店」をご紹介します。

 

東京メトロ丸ノ内線の本郷三丁目駅。地下鉄ながら大屋根のある地上に改札を置く独特なデザインです。加賀屋はここから目と鼻の先。風向きによってはもつ焼きの香りを感じるかも?なんていう距離。

 

中山道(本郷通り)沿い。赤い提灯とぱりっとした暖簾が飲み心をくすぐります。

 

繁盛している老舗大箱ならではの熱量を感じる佇まい。古くても隅々までキレイです。

 

奥に長いつくりで、入ってすぐはテーブル席。その先にカウンターと、さらに奥に座敷があり、合計でなんと100席もあります。

 

もはや、加賀屋というよりは、旅館の宴会間のような雰囲気です。

 

常連率の高いカウンター席は、一人飲みのオアシス。お店の方やお客さん同士の距離もちょうどよく、一人でもくもくと飲むもよし。

 

本店たるお店を象徴するような、加賀屋の店名がずらりと掲げられた暖簾。みなさんの通う加賀屋はみつかりますか。

 

加賀屋はエリアなどによってビールの銘柄がことなります。本店はアサヒスーパードライ。どっしり構える昔ながらの大きな中ジョッキ(580円)がカウンターの上で輝きます。それでは乾杯!

 

瓶ビールで大ビン(650円)もあります。そして、加賀屋のお酒といえば、やっぱりキンミヤのホッピーです。白黒あってセット390円とオトク。酎ハイ類は360円。ホッピービバレッジやコダマのビンを使用し、焼酎と割材を別々にだしてくれます。

 

日本酒(550円~)は辛丹波、千代都など。

 

もつ焼き店ながら、ホワイトボードはまるで大衆割烹のよう。常に一番手に位置するマグロを筆頭にいつも10種類以上のお刺身が並びます。刺身三点盛り(750円)もあります。

名物はモツ煮込み。簡単に真似のできないという煮込みは、だいたい5年以上の修行が必要とのこと。看板料理のもつ焼きは、加賀屋オリジナルの「スタミナ」からはじまり、タン、ハツ、カシラ、ナンコツ、レバー、シロなど、2本から注文可能で1本140円(スタミナは150円)。

サイドメニューも豊富で、とり唐揚(530円)や肉じゃがコロッケ(470円)、自家製の天日干しの焼き魚などが評判です。

 

この日のお通しは、なんとつぶ貝煮。なかなかよい味付けです。加賀屋本店は決して普通のもつ焼き店ではありません。

 

こちらが修行を必要とする、名物の特製煮込み(490円)。小鍋ででてくる味噌味の煮込みは、加賀屋の伝統スタイルです。

 

トロトロに煮込まれたモツは、豆腐と同じほどとまでは言わないものの、ほとんど噛まずに溶けていきます。しっかりとした旨味なのに、しつこさは皆無。クサミや脂を感じることもなく、さらさらとまるで汁物のよう。この味がビール・ホッピーに寄り添います。

 

加賀屋本郷本店のまぐろはかなりの上物。スジがなくねっとりとした食感と、程よい酸味が心地よい逸品です。

 

そろそろ焼いてもらいましょうか。

 

ちょっとその前に。もつ焼きならば、ここはホッピーでしょう。アサヒの酎ハイタンブラーのロゴに、水面がかかるくらいたっぷり注がれたキンミヤ焼酎。

 

ホッピーを注げる余地はすくなく、ホッピーを使い切るために焼酎(ナカ・250円)のおかわりは必須です。

 

加賀屋は煮込みが名物。そして串ならば「スタミナ焼き」がイチオシ。甘辛いニンニクタレに漬けこまれたその味は、一度食べればクセになります。

 

焼き鳥はタレで。串のサイズはやや大きめですから食べごたえ十分。頬張り、ハフハフとしたら、そこへ一気にホッピーをあてていきます。

 

ホッピーはナカ2杯おかわりすれば、ほろ酔い間違いなし。ですが、ここはぜひ大田区大森南のコダマ飲料がつくる「バイス」も串とあわせてみてほしいです。

 

バイスですが、梅酢の意味ではなくてシソサワー。リンゴ果汁がはいっています。

 

最近見かけなくなった、ボコボコした蛇腹状をしたコダマのビン。リターナブルビンに入った割材は、独特な魅力がありますね。

 

牛ハラミ(260円)とあわせて。大箱でひとりの時間を過ごすというのも幸せなものです。

 

加賀屋本郷本店の魅力は、味だけではなく、半分は爽やかでぴしっとした接客にあると思います。

元気な掛け声ときめ細やかな応対で、隅々まで見渡す木村店長(写真)を中心に、ベテラン料理人から20代の若いスタッフまで非常に心地よい雰囲気をつくられています。

 

1965年に板橋に誕生した加賀屋の一号店が移転し、現在の本郷本店となりました。

いろんな加賀屋がありますが、一度は本郷本店を訪ねてみてほしいです。加賀屋が50軒までお店を増やした理由がきっと感じられると思います。

加賀屋共栄会のやっこだこのマークに見送られ、今日はごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

加賀屋 本郷本店
03-3818-1194
東京都文京区本郷2-39-5 片岡ビル 1F
17:00~23:30(日祝定休)
予算2,300円