林立するタワーマンションを見上げて「はへー」と変な声をこぼしつつ、今日は勝どきを散策中。
中央区によると、2020年5月7日時点で勝どきの人口は約27千人。中央区で最も多くの人が暮らすエリアです。おとなり、晴海にはは就業人口約2万人のマンモスオフィス「トリトンスクエア」があります。昼夜を問わず多くの人々が行き交うこの街には、高層ビル群の間に小さな居酒屋の明かりが点在しています。
今日ご紹介するお店は2010年オープンの居酒屋「楽笑(らくしょう)」。魚河岸の仲卸が営む鮮魚を看板料理に掲げるお店です。
築地、浜離宮から隅田川を挟んだ対岸に位置する勝どき。川岸からは東京タワーをはじめとした東京ビューが楽しめます。
楽笑は豊洲(以前は築地)市場に近い立地にあり、地の利を活かした仕入れ力が自慢。刺身盛り合わせなどを食べても2千円ほどで収まることも評判の理由です。
厨房に向いたカウンターとちょっとしたテーブル席という配置。元気な女将(ママ)さんが接客をこなしつつも手際よく調理し、それを数名のスタッフの方が支えています。
地域で評判のお店だけあって賑わう店内。タイミングよく空席に滑り込み、挨拶もそこそこに瓶ビール(アサヒスーパードライ)でスタートです。はい、乾杯。
樽生ビールはアサヒスーパードライ(460円)、瓶ビールはアサヒ、キリン、サッポロの3銘柄を用意(大ビン650円)。酎ハイは380円均一。ホッピーもあります。定番酒は京都・伏見でつくる日酒販系の日本酒「鶴正宗」。
名物は刺身盛り合わせ。値段からくる想像を上回る内容と評判です。盛り付けの内容は仕入れ次第でかわります。
盛りが豪快なので二人で飲みに行くのが適正のように思いますが、一人飲みももちろんウェルカム。気遣い上手の女将さんにおまかせしておけば、用途に応じたおすすめを教えてくれます。
刺身たけでもアジ、タイ、ヒラメ、赤貝、イワシ、マグロ、タコ、そしてウニやホタテ、牡蠣と種類豊富。値段表記は税別”風”で、ここに5%が加わります。
女将さんのご出身は中国。来日して仲卸に就職、15年仲買人を務めた魚のプロ。そんな女将さんの経歴が伝わる品書きで、鮮魚に加え自家製の焼きギョウザ(400円)や春巻(500円)などもあり、こちらも人気メニューです。
600円のおまかせ2点盛り。今日はブリと赤貝の盛り合わせです。
ぷりぷりというよりは、コリコリという食感のブリ。いい具合に脂がのっています。ケースのままでてくる赤貝にもテンションが上がります。
うちのカニクリームコロッケ(500円)おいしいよ、と女将さん。おすすめされたら二つ返事で答えたい!
揚げたてのサクサク衣の内側には、マカロニがはいった粘度の高い濃厚クリームがたっぷり。カニの余韻が心地よくお酒を誘う一品です。
手頃な値段もうれしいホッピーセット(380円・ナカは200円)。白・黒用意してあります。
チンゲンサイ(500円)。にんにくをしっかり使い、たっぷりのベーコンと炒めています。強い火力で炒めた楽笑の中華は、居酒屋の料理というより、本格中華の味がします。
二回転、三回転としそうな勢いで次々お客さんが入れ替わっては、豪快な料理を楽しみお酒を満喫していきます。次々はいるオーダーのほとんどを調理し、さらにカウンター越しでのトークも愉快にこなすパワフルな女将さん。常連さんには仲良しトークで、はじめての人にも気さくに接してくれます。
ここはモノトーンのタワーマンションが立ち並ぶ街に色をつけてくれる素敵な大衆酒場です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ ※外出自粛要請以前に取材)
楽笑
03-5548-3107
東京都中央区勝どき2-13-6
17:00~24:00(基本無休)
予算2,000円