国分寺「きくち」 活鰯・活鯵の店。手頃な価格で港町気分。

国分寺「きくち」 活鰯・活鯵の店。手頃な価格で港町気分。

東京にはいわしを看板に掲げる専門店がいくつかあります。蒲田、大崎、大井町、神田…。いずれも旧港町や魚河岸に近い場所ですが、実は国分寺にも素敵ないわし料理の店があります。

JR国分寺駅北口徒歩3分、駅前通り沿いに構える老舗「きくち」です。店先にはいわしやあじが泳ぐ水槽(生簀)があり、お刺身は実際にここから掬い上げ、その場で調理してくれます。

 

鮮度が大切ないわし。きくちは活魚を直送で仕入れているので新鮮なのは間違いなし。ただ活魚だからこそ、海の状態に左右されます。いわしの水揚げが少ないときは活あじの出番となります。

 

ご夫婦で切り盛りするお店。大将が立つ板場に面したカウンターが特等席。活造りなどの技を目の前で楽しむことができます。奥には座敷があり、地域のベテランさんたちの宴会場です。

 

老舗のカウンターに似合う赤い星。赤星ことサッポロラガーをもらい、トトトと注いででは乾杯。

 

樽生ビールはサッポロヱビス(600円)、瓶ビールは中びんのサッポロラガー(550円)、酎ハイはハイサワーなど360円から。活魚をだす大衆割烹としてみれば飲み物は全体的にお手頃価格です。

ランチ営業もあるので定食の用意があります。一部はお昼のみですが、いわし天重などは夜もオーダー可能。いわし天重(750円)、美味しそうな響き。

 

いわしづくしのお品書き。いわし活造り(1,100円)を筆頭に冬季限定のいわしつみれ汁、そして塩焼き、天ぷら、蒲焼きなどバラエティある料理の数々。ポピュラーな魚だけに、素材の鮮度と料理の腕が差別化になるものですから、長く続くいわし専門店はその年月の分だけ期待も高まるというものです。

 

あわせるお酒はビールのあとは日本酒がおすすめ。特定名称酒が1杯450円からと手頃な価格なのも嬉しいです。ここは山形のお酒「大山」はいかがでしょう。あまり東京では見かけないお酒。山形は日本海側の城下町・鶴岡に近い羽前大山にある造り酒屋、加藤嘉八郎酒造の銘酒です。

 

定番メニューはずらりといわし特集ですが、黒板メニューにはのんべえ心をくすぐる様々な料理が並びます。つぶ貝刺身、岩がき、生うになど豪華な顔ぶれも。多くが600円前後とこちらもお手頃価格。

 

今日は残念なから活いわしの仕入れがなかったそう。いわし天などは出せますが、刺身は活魚に限る、ということで今日はあじが主役の日。水槽からすくいあげ、ものの1分もかからず盛り付けられて登場です。もっちりとした食感がたまりません。

 

お酒は大山で。枡に1合ほど入るグラスをいれて、なみなみ注いでくれます。

 

冷酒にあわせるおつまみは、コクがあるけど余韻さわやか、日本酒の美味しさ引き立てる、いわしぬた(550円)。

 

活造りのホネは唐揚げにしてくれます。頭からサクサク食べられるよき肴。

 

唐揚げには日本酒よりも酎ハイでしょう。濃い色がうれしい緑茶ハイをお願いしました。

仕事帰りに立ち寄り軽く飲んで食べていく常連さんが多く、使い勝手の良い小料理屋のような雰囲気です。アットホームな老舗がいつまでも続きますように。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材時期/2020年2月以前)

 

きくち
042-323-9920
東京都国分寺市本町3-11-15 石川ビル
17:00~22:30(ランチ営業あり・日定休)
予算2,500円