南小谷「おたり名産館」 素朴で美味しい山菜天。乗り換えの合間に蕎麦前を。

南小谷「おたり名産館」 素朴で美味しい山菜天。乗り換えの合間に蕎麦前を。

妙高戸隠連山と白馬連峰、東西に2,000m級の山に囲まれた長野県北部の村「小谷村」。豪雪地帯として知られ冬場はスキーリゾートが賑わいます。

静岡糸魚川構造線にある峡谷は、その美しい眺めから多くの旅人を楽しませてきた一方で、塩の道・千国街道を往来した人々にとっては険しい道中だったことが容易に想像することができます。

そんな塩の道の貴重な休憩地として形成された小谷村は、素朴な山菜料理と蕎麦が名物となりました。今回はそんな小谷村の山の幸を楽しむ直売所「おたり名産館」をご紹介します。

 

塩の道は現在の国道148号と、JR大糸線に姿を変えています。小谷はいまも交通にとっても重要な場所で、特にJR南小谷駅は松本から来る列車と、糸魚川からくる列車の乗換駅になっています。登山シーズンは多くのアルピニストが訪れます。

 

駅前からは栂池高原方面へのバスも発着し、観光地の懐かしい雰囲気が今も残っています。目指すお店は駅から徒歩5分ほど。汽車旅の乗り換えの合間に軽く蕎麦前を楽しむのにはちょうどよい距離です。

 

村の中央を南北に流れる姫川。名前に似合わず、豪雨の際は暴れ川となり、現代になっても度々被害が出ています。穏やかな日はこんなに美しいのに。

 

やってきました「おたり名産館」。物産館というと道の駅のような雰囲気を想像しますが、ものすごくほっこりとした街道の食堂のような雰囲気。地元に暮らすおばあちゃんたちが食事をされていたり、時折観光客が蕎麦を食べにやってきます。

 

こういう場所で飲むビールは、中ビンが似合います。都会の酒場で飲むビールはもちろん大好物ですが、旅先の牧歌的な空間で飲むその味はまた違って感じるもの。乾杯。

 

日本海文化圏と信州文化が混ざるこの村は、お漬物にもそれが現れています。めかぶ昆布と大根、しいたけなどのきんぴらがビールと付け合せでやってきました。派手なおつまみがすべてじゃないんです。じんわり癒やされる味が好き。

 

意外にも天ぷらや小谷の郷土料理「ちゃのこ」などのおつまみもあり、飲んでいく人歓迎という品書き。ベテランのお姉さんも優しく、飲んでいってね!という対応が嬉しいです。日本酒は地酒をコップで出してくれます。

 

目的のおつまみがこちら、天ぷら(500円)。タラの芽、ワラビなどのおなじみの山菜だけでなく旬の珍しいものがたくさん。地元の人が山で収穫してきたものだそう。とれたて、冷凍ではない山菜は、味が濃く大人の味覚をくすぐる美味しさ。ワンコインなのにボリューム満点。

 

もりそば(700円)。信州は評判の蕎麦店が数多くあります。でも、こういうお店で打ち立て・ゆでたての田舎そばをツルツルとすするのも楽しいものです。地元の蕎麦の実をつかった外二八。コシがあります。

南小谷のお昼酒に、立ち寄られてみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材時期/2020年2月以前)

 

おたり名産館
0261-82-2526
長野県北安曇郡小谷村千国乙6747
9:00~17:00(火定休)
予算1,500円