天草「入福」 本渡で楽しむ天草の夜。老舗カウンターで地酒・地魚を。

天草「入福」 本渡で楽しむ天草の夜。老舗カウンターで地酒・地魚を。

2019年7月11日

有明海・八代海・島原湾・天草灘と四方を海に囲まれた熊本県・天草。

この地では460年ほど前にキリスト教が広まり、その後、弾圧、潜伏、復活の歴史を歩みました。天草では﨑津集落が潜伏キリシタン関連遺産として、2018年7月、世界文化遺産に登録され、現在は多くの観光客が訪れています。

今回はそんな天草の中心街、本渡(ほんど)にある地酒と地魚の老舗「入福」をご紹介します。

天草は熊本市の南西から突き出した宇土半島の先、そして長崎県・島原半島の南側に位置します。熊本市から国道で天草まで向かうことができますが、せっかくならばお酒を飲みながら鉄道の旅を楽しみたいところ。

JR熊本駅発、三角(みすみ)線の観光特急「A列車で行こう」が宇土半島の突端にある港町・三角までを結んでいます。16世紀の天草に伝わった南蛮文化をテーマにした車両です。また、車内には樽詰めハイボールを提供するバーカウンターが設置され、ほろ酔いの汽車旅が楽しめます。

三角駅は、教会群のある天草の玄関口らしい南蛮風の情緒ある駅舎です。

駅すぐの場所に三角港があり、天草宝島ラインが接続。天草・松島港まで20分の船旅です。松島港から中心街・本渡や世界遺産めぐりは九州産交バス(路線バス)が結んでいます。

崎津は天草下島の入り組んだ海岸線にある小さな漁村です。ここに構成遺産のひとつ「カトリック﨑津教会」があります。町の入口となるバス停からも、日本家屋が立ち並ぶ小さな漁村の中に突然あらわれる教会を眺めることができます。

「海の天主堂」とも呼ばれた﨑津教会。潜伏し信仰を守り続けた崎津の人々の想いを叶えた現在のゴシック様式の教会は1934年に再建されたもの。

白亜の天主堂「大江教会」も崎津から路線バスで向かうことができます。1933年に完成した教会で、天草キリシタンのシンボル的な存在として、地元の皆さんだけでなく全国から観光客が訪れています。

さて、天草の歴史を見学してきたあとは、いよいよお酒の時間です。天草・本渡はホテルや商店街、飲食店が集まる天草観光の拠点。老舗の酒場も多くはしご酒が楽しめます。

「入福」は飲食店として70年ほど、そのうち居酒屋として40年ほど続く老舗。地元の美味しい魚介類を食べさせてくれる店として地元で有名なお店だそう。

カウンター中心(二階に座敷)のつくりで、いかにも飲食好きというベテランのお客さんが集っています。ご主人が腕を振るう料理と、物腰の柔らかい女将さんの接客が心地いいです。

乾杯は樽生のサッポロヱビスビール(550円)。

フランス発の有名レストランガイドでも紹介されている「入福」ですが、雰囲気や値段は至って普通の大衆割烹。瓶ビール大瓶(550円)、樽詰チューハイ(350円)など、安心・安定の飲み物が並びます。

地酒をふんだんに取り揃えているお店なので、のちほど日本酒をお願いしましょう。

ずらりと並ぶ短冊に、あれもこれも食べたくなります。地鶏・天草大王の塩焼きや焼鳥なども。

ホワイトボードのおすすめは、うつぼ、アワビ、カマスなど。このほか、刺身でアカハタ、キビナゴ、カンパチ、マイワシ、オコゼ、ミズイカ、トコブシ、タカノハダイなどを揃えています。

アカハタは高知や伊豆、沖縄などでみる南の魚ですが、こんな魚介類の顔ぶれからも旅情を感じられるのが飲み屋さんの魅力です。

地元の人が普段から立ち寄るお店なので、お手頃な料理も多いです。

まずは突き出し3品。ミミイカの煮物、うつぼ酢味噌、ミズイカ和え。ちょっとずつ盛られていますが、どれもお酒好きにぴったりの味で案外これでしっかり飲めます。

牡蠣の味噌焼き(780円)。有明海など天草でも養殖されていて、地元の海産食材として欠かすことのできない牡蠣。そんな牡蠣身にねぎ、味噌、玉子をのせてホイル焼きにした料理です。

小ぶりながら濃厚な味の牡蠣がたっぷり。

酒の肴がでてくれば、ここはやはり日本酒の出番です。熊本県は日本酒の生産も盛んで、「きょうかい9号酵母」の元株でもある「熊本酵母」をつかった香露を筆頭に、阿蘇のれいざんなど地元のお酒が4種類。その他、おなじみの全国の銘柄が70ml270円から揃っています。

まずは、千代の園酒造(山鹿)の泰斗純米吟醸のBY27。すっきりとした味ですが、余韻が長く米の優しい甘さが楽しいお酒です。

こちらは熊本県酒造研究所(熊本)の純米吟醸香露(70ml550円)。日本名門酒会の解説では「吟醸造りの総本山と謳われる蔵元」とあります。熊本地震で大きな被害を受けた蔵元ですが、こうして飲めることがとて嬉しいです。

華やかな香りを楽しむお酒です。

あわせるおつまみは、カニ味噌豆腐(480円)。

ちびちびと飲んでつまんで、大将の米岡さんと楽しい飲み屋話で盛り上がりながら夜は更けていきました。

天草の美味しい肴で一杯。夏はワタリガニ、ウニ、ハモ、ウツボ。秋から冬にかけてはウチワエビやオコゼ、春はカキやサワラ、桜鯛と年間通じて豊富な地物が楽しめます。

世界遺産めぐりと一緒に、土地の味もぜひ。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/九州旅客鉄道株式会社)

入福
0969-22-2827
熊本県天草市中央新町3-22
18:00~23:00(ランチあり・第2第3日定休)
予算3,800円