2015年頃からみられたタイ料理ブームは、今年もますます加速中。昔は東京・小岩の有名店まで食べに行っていた人も、いまや生活圏にできた身近なタイ料理店で日常的に楽しんでいらっしゃるのではないでしょうか。私も近所にできたタイ料理店のおつまみプレートでよく飲んでいます。
お酒のおつまみにもぴったりなタイ料理。東南アジアの雑多な空間で飲めば、きっと一層美味しくて楽しいはず。安くて賑やかで、ちょっぴり不安で、でも行ってみたい!そんな好奇心から、タイ王国の首都、バンコクはアソークにある大衆食堂「スダーレストラン」を訪ねてきました。
バンコク スワンナプーム国際空港まで、東京・羽田空港からANAの直行便で6時間30分。
800万人都市のバンコク。空港から市街中心部へは高架鉄道が高頻度で結び、市内には十分なメトロネットワークが広がります。先進国の都市に遜色ない交通が敷設され、ホテルへのチェックインやその先の飲食店までも移動はらくらく。少し離れると湿地帯の中の木造家屋が広がりますが、中心街は十分に整備され、そんな街中はアジアらしい熱気と活気に満ちています。
街の中心を蛇行しながら悠々と流れるチャオプラヤー川。公共交通のフェリーが行き交い、その間を大小様々な荷物船やボートが右へ左へ忙しく動き回っています。向こう岸にみえるクメール様式の塔は暁の寺・ワット アルン。
街のいたるところに寺院があり、ガイドブックの見開きでは紹介されていないものの、どの寺院も豪華な装飾が施されており、周辺の屋台とあわせてそれぞれが非常に賑やかです。
さてさて、目的の「スダーレストラン」を目指しましょう。BTSスクムウィット線のアソーク駅近く、路地裏にある大きな食堂で、お昼11時の開店から夜11時まで通しで営業する便利なお店。外国からの観光客も少なからずいますが、お客さん多くは地元の皆さんです。
商業区のこの一帯はこうした庶民的な大衆食堂は少なく、ビルやホテルの中にあるキレイなレストランばかり。せっかくなのですから、こうして地元の人気店でざっくばらんにお昼酒を楽しみたいものです。
席への案内などはとくにされないので、店員さんとアイコンタクトと身振り手振りでテーブルを確認。満卓にみえても年配の店主さんがなんとなくな感じでスペースを用意してくれるので、勇気を出して聞いてみましょう。
海外の食堂では、あまり積極的にアルコールを飲んで良いのかわからないことがあります。ですが、ここはご安心を。食堂ではあるものの、雰囲気は半分居酒屋。バンコクで昼酒する人々が集まる呑み処でもあるようです。
シンハー、レオ、チャーン、タイガー、サンミゲル、サンミゲルライト、ハイネケン。樽詰めから注ぐジョッキ(80バーツ)、ピッチャーのドラフトシンハーも用意されています。ボトルビールは110バーツ(約380円)と嬉しい安さ。
外国人向けのきらびやかな装飾やオシャレ料理ではなく、標準的なタイ料理が並びます。スープ類(100バーツ~)、炒めもの(80バーツ~)、日本でもお馴染みのパッタイ(80バーツ)、海老フライやフライドチキンウイングのスウィートサワーチリソース、タイ式炒めごはんカオパットなど。
しっかりボリュームがあるものが100バーツほどなので、日本人の感覚ではとってもリーズナブルです。別日で行ったナイトマーケットもこれくらいの値段がするお店が多かったので良心的なのではないでしょうか。
インパクトある飲みごたえ、タイビールの定番チャーンクラシックで乾杯!
シンプルで少し甘い香り。そして度数は少し高めの7%。これをちょっぴり蒸し暑い空気の中、ぐーっと飲むのが最高に気持ちいい!ガヤガヤとした店内、蛍光色多めの装飾、大らかな接客の店員さんたち。そのすべてがビールのおつまみです。
さて、おつまみが出来上がりました。まずは、英語表記「Spring rolls」。名前の通り春巻きですが、中国料理としての春巻きではなく、これもタイ料理。タイの家庭料理の定番、ポーピア・トートです。
カリっと揚がったポッピア(春巻き)をスイートチリソースにつけて頂きます。人参、ひき肉、セロリやもやしなどが入り、食感はサクッとしたあと、ふわふわとしています。タイ料理の中でもとくにビールを誘う味と食感。これをおつまみにして、お酒好きはビールが進まないわけがありません。
〆のちまきではありません。パンダンリーフ包み揚げ(140バーツ)という料理。ちまきのように包んでいるこの葉っぱはバイトーイとも呼ばれていますが、ここではパンダンリーフ。笹の葉のようなハーブで、これで食べ物を包むと不思議とシナモンのようなメイプルのような、甘い香りが着きます。
これまでさんざん焼鳥や唐揚げを食べてきましたが、これはまた格別の美味しさ。複雑な味でカレーのような香辛料も感じます。
甘く香味深くコクがある、さらにナンプラーを風味付けにちょっとつけて食べるのですが、クセになる美味しさ。チャーンビールをおかわりしつつ、一生懸命ぱりぱりのパンダンリーフを指先に油がつくのも気にせず紐解き、ぱくぱくと口へ。
ボリューム満てん、あと引く美味しさの料理たち。ビールはぬるくなる暇もなく、次々飲んで大満足。
ひっきりなしに地元の人が出入りする食堂で、幸せなお昼酒でした。こういう大箱・老舗・ローカルなお店って、やっぱり現地に行かないと体験できません。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
スダーレストランSuda
+66 2 229 4664
6-6/1 Sukhumvit 14 Alley, Khwaeng Khlong Toei, Khet Khlong Toei, Krung Thep Maha Nakhon 10110 タイ
11:00~23:00(日定休)
予算500バーツ(約1,700円)