【閉業】石神井公園「スマイリー城」 笑顔いっぱい、自分で焼ける楽しいお城

【閉業】石神井公園「スマイリー城」 笑顔いっぱい、自分で焼ける楽しいお城

2019年6月3日

焼鳥を自分で焼いてみたいと思ったことは、誰だって一度はあるはず。幼少の頃、吉祥寺のやきとり屋の焼き台を眺めながら幼いながらにプロの技を学ぼうとしたものです。

そんな夢を叶えてくれる酒場が石神井公園にあります。1992年頃に創業した「スマイリー城」です。どーんと掲げられた不思議な店名と、ベッドタウンの商店街でひときわ明るい提灯が目印。

厨房に向いたカウンター席のほか、業務用の焼き台がセットされた特製の小上がりが用意されています。そう、この焼き台を占有して焼くことができるのです。自宅でもホットプレートやグリルで焼鳥は可能ですが、”ホンモノ”が使えるのはかなり珍しいです。

カウンターは地元の常連さんの特等席。焼鳥は自分で焼かず店長にお願いすることも可能で、慣れている人はこっちでのんびり大人酒です。

なにはともあれ、まずは一杯のビールで心と体に潤いを。トトトとビアタンを満たして、では乾杯!

樽生はアサヒスーパードライで、中ジョッキ480円。瓶ビールは中瓶でアサヒのほかにサッポロ黒ラベルも用意されています。ホッピーセットは白・黒(460円)、サワー類は350円から。

看板料理の焼鳥は1本から注文可能で150円より。サイズが大きめなので頼み過ぎにご用心。もも肉とニンニクのスタミナやピーマンチーズ串など変わり串も豊富です。”すき焼きみたい”と評判の煮込みも人気メニューです。

さぁ、焼きますよ!と、備長炭をセットしてもらい、気分は焼鳥職人気分。ねじりはちまきを用意してくればよかったです(笑)

頼んでいないのに、黒ビールがきました。というのは冗談で、ジョッキいっぱいに入ったこれはタレ。間違えて飲まないように気をつけましょう。

生のままで提供するので鮮度は誤魔化せません。打ち立てぷりぷりの肉やつくねなどを、いざ焼き台へ。

店長が焼き方の指導をしてくれるので、はじめての人でも安心。このときは店長のことを「師匠」と呼びたいです。まずは火力のある場所で火を入れて、だんだん遠火で芯まで火を通して…と。

焼いている間だって、ビールは進みます。トマキュー(380円)など種類はすくないですが、よりすぐりのサイドメニュー。目の前で焼鳥を焼いているのですから、冷菜はなんだって特別に感じます。

ししとうがいい具合に焼き上がりました。向きがバラバラなのは、所詮見よう見まねの酒場ファンがやいたので許してください。

一回目の串は、全部タレにしてみました。ある程度焼けてきたら一度タレに”ぼちょん”と落として、次は燻すようにと店長。いい香りがテーブルだけでなく、店の外まで広がりそうです。

そうそう、イカゲソ焼きなんてものもあり、これは醤油を垂らして香ばしく焼き上げるのもいいですね!

技術が必要な巻き串などは店長におまかせして、さぁ、ジャパニーズなバーベキューパーティーの始まりです。

自分で焼くと、なんでこんなに美味しいのでしょう。

追加でどんどん串をおかわりして、すっかり老舗の焼き鳥屋のベテラン女将の気分。

「あらいらっしゃい、手羽でいいですか?少しは野菜を食べたほうがいいから葱も塩でやきますね」なんて会話を、同席いただいた石神井公園の飲み助さんたちと。

ビールばかりもなんですので、樽詰のチューハイを。目の前に炭火があるので暑いわけで、チューハイはいつも以上に進みます。

追加の冷奴(300円)。一旦焼きに夢中な状態から離れ、店内の常連さんや店先を行き交う人々をぼんやり眺めてひといき。住宅街の酒場って、ふとした拍子に現実に戻り、それもまた「あぁ、いいなぁ」としみじみ感じさせてくれるものです。

最近、ホッピーは黒を選びがち。焼いているばかりでは仕方がありませんので、ホッピーだとじっくり自分のペースで飲めるからよいのです。

家族経営のスマイリー城。店長櫛田干城さんの笑顔に見送られて、すっかりいい具合に出来上がりました。

先代、そして息子さんの干城さんが築いてきた素敵な焼鳥の城へ、皆さんもお近くにお越しの際はぜひ立ち寄られてみてはいかがでしょう。自分で焼くって楽しいですよー。ビール・チューハイも進みますし。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

スマイリー城
03-3995-3689
東京都練馬区石神井町2-9-13
16:00~24:00(日定休)
予算2,500円