森下「三徳」 とろみ甘タレと色付き下町ハイボールのいい関係。

森下「三徳」 とろみ甘タレと色付き下町ハイボールのいい関係。

東京はもつ焼きを看板に掲げる酒場が多く、下町から山の手、ターミナル駅周辺からベッドタウンまで、毎晩美味しい香りが街を包んでいます。飲み屋好きならば、きっとそれぞれお気に入りの一軒があるはずです。一概にもつ焼きといっても、それぞれのお店に個性があって、違いを楽しむのもいいものです。

森下駅から徒歩5分ほど、深川芭蕉通りで38年続く老舗「三徳」もまた素敵なもつ焼き店です。

小名木川と隅田川の合流点にほど近く、芭蕉庵史跡展望庭園などから江戸時代の町並みに思いを馳せつつ、日暮れとともに酒場を目指しましょう。

 

比較的大きくゆったりとしたつくりで、カウンターとテーブル席、そして板間の小上がりという配置。お一人でも、数人で訪ねても使いやすい空間です。迎えてくれる皆さんはとても丁寧な接客をされています。家族経営で下町人情たっぷりといった雰囲気。

 

カウンター席に座り、女将さんに下町ハイボール(350円・以下税抜)をお願いして、さぁ、始めましょうか。乾杯!

お店ごとにヒミツのレシピがある下町の焼酎ハイボール。独自の味でお客さんにご贔屓になってもらおうという思いが込められています。こちらはやや甘めで色は濃く、氷をいれて提供されます。

 

ビールは樽生、瓶ともにサッポロ黒ラベル。酎ハイ類は下町ハイボールに加え、酎ハイ(白ハイ)、レモンハイ、緑茶ハイなど350円均一。ラム酒のハイボール(ラムハイ)なんてものも。下町ハイボールのように呼ぶならばカリブ海ハイボールでしょうか。

 

料理は何を頼みましょうか。もつ焼きは120円で、たん、はつ、しろ、かしら、れば、なんこつと基本が揃います。品川の食肉センターから仕入れた自慢のモツが並びます。純レバ(500円)は、鶏レバーを甘辛いタレといっしょに一気に炒めたもので、お店の人気メニューとのこと。

 

脇を固める料理もまた魅力的です。三徳特製もつ煮込み(480円)は、シロなど入る味噌煮込みが熱せられた陶板の中でグツグツ音を立てながら供される逸品です。

 

たけのこ煮やきんぴらなどの煮物の小皿がお通しです。一緒に冷やしトマト(300円)をもらって、お願いしたもつ焼きが焼けるまでを楽しみます。飴色の空間、仕事熱心なお店の皆さんをのんびり眺めて、酒場に浸る幸せを感じています。テレビから聞こえる夕方の情報番組の声をBGMにして。

 

もつ焼きが焼けました。定番のかしらと三徳特製肉だんご(180円)。ここのタレはとろみが強く、しっかりともつを覆っています。

 

甘さ強めで、コクのあるタレに、もつの肉汁が混ざっていい塩梅。あわせる下町ハイボールがこのもつ焼きと実に好相性で、気がつけばグラスは氷を残して空になります。

 

もつ焼きには定番のビールもハズレなし!

状態抜群で、フロスティミストが踊る生ビール(550円)をもらって、すっと一口。心の声で「ぷはーっ」て叫んで、思わずにんまり。

 

もつ1本で結構ボリュームがあるのは、さすが下町です。ジューシーなかしらも、様々な部位が集まり複雑な食感が楽しめる肉だんごも、どちらも素敵な酎ハイ・ビールのお友です。

面倒見のよいお店の皆さんと、美味しいもつ焼きに癒やされる素敵なお店です。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

三徳
03-3631-9503
東京都江東区常盤2-11-1 新光社ビル 1F
17:00~23:30(日祝定休)
予算2,000円