京王線の千歳烏山駅。準特急も停車するため、駅のホームで乗り換えを待っていると、どこからともなく素敵な香りが漂ってきました。焼鳥の芳ばしい香りに誘われて思わず途中下車。
千歳烏山で今年56年目を迎えた老舗「亀屋」です。駅のホーム脇の道路に面して、日曜日も元気に営業するベッドタウンの飲み屋さん。
ご家族経営の優しい雰囲気。入り口に近いところに焼き場があり、焼鳥・やきとんがいい香りをたてています。店内は奥に長く、大将が立つまな板前あたりが特等席でしょう。テーブル席では地元の方が何かの反省会の様子。
サッポロビールのファンと話すご主人。仕事が終わったら近くにある馴染の店で飲む黒ラベルを楽しみしているそうです。もちろん取り扱う生ビール(500円ほど)は、状態抜群のサッポロ黒ラベルです。
昔ながらのすっとした飾りの少ない大きめ中ジョッキに北極星が輝きます。では乾杯!
お通しでところてんは古いお店の定番です。はい、どうぞとところてんが来るとちょっと嬉しい!
瓶ビールはキリン一番搾りも取り扱い。ウーロン茶割りがサービスで330円のほか、色付きの酎ハイなどサワー類は370円です。
メインは焼鳥・もつ焼きながら、刺身に焼き魚、そしておでんと大衆酒場のおなじみが揃っています。「味噌が自慢 豚足600円」なんて書かれたら頼みたくなりますが、今日は控えめに。
もずくが好物なんです。とくに美味しい黒ラベルともずくの組み合わせはクセになります。
親戚のお宅に上がらせてもらっているようなほんわか気分。丁寧に焼き上げた手羽(420円)をもらい、ご主人自慢の黒ラベルをもう一杯。
飴色の世界に身をおいて、ぼーっと過ごす酒場時間。今日も締切に追われたけれど、こうして飲めればいい一日だったと思えるものです。他の酎ハイより40円安く「サービス品」と書かれたウーロン茶割りをもらって、もう少しのんびり。これは珍しい、ホワイトリカー源氏の酎ハイタンブラーが現役です。
生干しこまい(390円)を軽めに炙ってもらいました。全体的に派手さないのですが、だからこそ得られる老舗の安心感があります。
わざわざ飲みに行きたい、有名酒場は日本各地にあります。でも、こうして日常の中にだって、まだまだ素敵な酒場が地元の皆さんとそっと歴史を歩んでいます。皆さんも、近所でほっと寛げる老舗をみつけてみませんか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
大衆酒場 亀屋
03-3300-5009
東京都世田谷区南烏山6-2-3
16:00~23:00(日祝は22:00まで・木定休)
予算2,000円