千歳烏山駅から徒歩30秒。下り線のプラットホームから気になるネオンが灯る「いざかや百萬石」。安くてわいわい飲めるザ・大衆酒場です
毎週月曜日はサービスデーで生ビールが300円になるなど、千円代で過ごせる宴会場ですが、普段から十分に安く、そして一人飲みにも対応してくれるよき酒場なのでご紹介します。駅前のこういうお店は、どことなく地方都市を彷彿とさせます。
普段からサービスタイムとして18時までは酎ハイを190円で提供してくれます。立ち飲み屋もびっくりのリーズナブルな価格ですが、しっかり椅子に根をはれる落ち着いた酒場です。
元気のよい女将さんとちゃきちゃき応対されるスタッフの皆さんがとても飲んでいて心地よいです。人懐っこく話しかけてくれるのも、通いたくなる要素でしょう。一人飲みの人にも丁寧に接してくれて、ぼーっと飲んでいるとあっという間に時間が過ぎます。
さて、今日は何軒か飲んできました。それでもやはり頼みたいのは生ビール。アサヒの中ジョッキが450円、大瓶も530円。普段から酎ハイ類は290円からとお手頃価格で、安くたくさん飲みたいお父さんたちの強い味方です。
提供品質がしっかりしている、女将さんが注ぐスーパードライ。昔ながらのジョッキサイズで飲みごたえも十分です。では乾杯!
お通しは日替わりですが、今日はひじきの小鉢。さほど語るようなものではいかもしれませんが、こういうのんべんだらりの空間にはぴったりです。
定番メニューはA3見開き。300円から400円で、低価格チェーンにも張り合う安さ。女将さんに話を聞けば、食べ得なこだわりの一品も用意してもらえます。
市場から日々仕入れている刺身類。季節ものは定番メニューにいれずホワイトボードに書くのは、安くても大衆割烹のこだわりです。穴子天が気になります。キンメの刺身も東京の大衆酒場には珍しいですね。イワシの刺身もおすすすめです。
蛍光灯に照らされた昔ながらの大箱酒場は、コの字の味わい深い酒場と違って色気はそんなでもありません。ただ、こういう箱でぼけーっと飲むのが私は大好きなんです。
まぐろはこだわりの食材のひとつで、赤身の筋ずすくないところを長年の付き合いから仕入れているそうです。刺身、いえ、今日はまぐろ納豆で。たっぷりの練からしを混ぜ込んでいただきます。
続いて穴子天。刺身から焼鳥までなんでもござれですが、板長が仕切る調理場は割烹スタイルそのものです。ですから、天ぷらはやはり頂いておきたいところ。380円で、穴子のほかに茄子などもついてこの価格は嬉しい限りです。
熱々の天つゆにつけて頬張れば、お酒の進みも一層早くなります。次はあえて黒ホッピー?ここは焼酎濃いですから。
常連さんは2,000円ほどで焼酎のボトルをいれて、社外会議室のような利用で飲んでいますが、お一人様の姿もちらほら。やっぱり狙いは酎ハイでしょう。
むかしの東京ならばどの駅前にもこういう酒場がかならず一軒はあったものですが、そのニーズを現代では大手居酒屋が吸収しています。それでも、こうして昔ながらの大箱個店がしっかり残っていることはとても素敵だと思います。
親しみ感じる昭和の飲み屋で、一人から宴会まで、ふらりと立ち寄られてみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
百萬石
03-3309-9440
東京都世田谷区南烏山5-33-8
17:00~24;00(ランチ営業あり・日定休)
予算1,600円