沖縄本島北部に位置する名護市は、沖縄県で5番目の人口となる6万2千人が暮らす街です。オリオンビール沖縄唯一の製造工場であるオリオンハッピーパーク(オリオンビール工場)や日本一早い桜まつりが開催される名護城といった観光地が知られています。
また、美ら海水族館へも名護の市街を経由するため交通のアクセスは比較的良好です。
今回はそんな名護で、沖縄時間に浸れる南国の食堂「パーラーわかば」をご紹介します。
沖縄県最大のターミナル・那覇バスセンターから名護へは、60キロ以上をひたすら一般国道を走行する路線バス「20系統・名護西線」があり、100ある停留所を2時間30分ほどかけて走ります。美ら海水族館をつなぐ高速バスもありますが、この路線バスは、万座ビーチ前、タイガービーチ前、ムーンビーチ前など海岸線に沿って走り、旅情を感じるには最適です。沖縄に来たのですから、そんなせかせか移動せず、のんびり梯子しようではありませんか。
名護市中心部。日中は落ち着いた雰囲気ですが、飲み屋の数は多く日暮れとともに賑やかになりそうです。
6万人の街とは思えないほど店が多く、気になる看板がいっぱいです。悠久の飲み屋街といったところ。
目指す「パーラーわかば」は、「パーラー」の文字からくる想像とはまったく一致しない佇まい。昼間からお酒も飲める街の食堂です。開けっぴろげたつくりは、年中営業の海の家と言えます。
お昼から日が暮れる頃まで営業。日中は子供のたまり場もかねていて、店頭には昔ながらの駄菓子が並びます。その横で、大人たちはおとなの駄菓子屋のごとく、オリオンビールを片手に南国のゆっくりした時間を楽しんでいます。
様々なシチュエーションで飲んできましたが、ここほど印象的に沖縄を感じたお店はまだありません。東京では分針とにらめっこしている私も、地元のお父さんたちや女将さんの悠然とした波長にすっかり染められてしまいました。おかげでバスを一本見送り(笑)
1キロもないところにオリオンビール工場。そんな立地もあってかオリオンビールはドラフトを置いています。夜営業しないパーラーに樽生があるということは、つまりそういうことです。では乾杯!
柑橘類などテーブルに置かれたものはサービス。どんどん食べてと女将さんにおすすめされ、オリオンの肴に剥いて頬張ってみたら、これが意外にもよくあいます。やっぱり、土地の酒と土地の食材は親和性高いですね。
チヂミではありまん。ヒラヤーチと呼ばれる沖縄県の家庭料理で、「平焼き」の沖縄読みと女将さん。甘辛のタレをつけて頬張ればビールが猛烈欲しくなる一品。5枚で500円とあったのでどんな量かと思えば、大皿にたっぷり盛られて一人で食べきれないほどでした。
唐揚げやチャンプルー定食、タコライスなどもワンコイン程度でリーズナブルで、ドラフトビールでも一杯300円と全体的にふたまわりほど安い。ミミガー(300円)やウインナー(300円)をつまみにオリオンを飲めば、名護ならば余裕でお昼酒&センベロです。
もちもち食感。沖縄のチャンプルーなどに使われるラード系由来の旨味もあいまって、なかなかの美味。琉球王朝の宮廷料理の延長線上にある郷土料理もよいですが、庶民的な地元料理もわくわくします。
食堂飲みやお昼酒が好きな方ならば、美ら海水族館などの定番観光地の合間をみつけ立ち寄られてみることをおすすめします。
アットホームな空間で、地元の人々と一期一会の会話をすれば、沖縄の魅力をより深く感じられるはずです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
パーラーわかば
0980-54-5438
沖縄県名護市大南2-9-13
11:30~18:00(日定休)
予算1,000円