北千住「北千両」 暖簾の向こう側は別世界。郷愁酒場で心を満たす。


北千住には約200軒の居酒屋があります。それが毎晩、夕暮れとともに明かりが灯り、お酒好きの人々の笑い声で溢れるのですから、それはすごい熱量でしょう。

注目のやきとり屋から、老舗の煮込み屋、ビールマニア垂涎の品ぞろえを誇る角打ちまで、選択の幅は東京でもトップクラスです。人気のお店は満席の賑わいで、飲みに行こうとなると「よし、今日は行くか!」と、決心が必要になることも。

居酒屋の人気店は、もちろんどれもピカイチの魅力がありますが、その真裏がだめかと言えばそうではないものです。酒場というのは、自分の時間を静かに楽しみ、周囲のお客さんや店主との近すぎずの距離感を楽しむものだとすれば、落ち着きのある大衆酒場だって魅力は十分にあります。

 

酒場の癒やしを北千住で求めるとき、私は「北千両」を目指します。西口の飲み屋横丁で長い歴史を持つ家族経営の店です。水色の暖簾が妙に印象に残りふらりと立ち寄って以来、好きになりました。

 

親子で切り盛りするお店で、大将はもちろん息子さんもよい仕事をされています。ずらりと並ぶ酒の肴は100種。和洋折衷で下町の食堂にも似た顔ぶれです。人気のカレールゥコロッケや、ホウレンソウ、ベーコン、卵を絡めたポパイ炒め(580円)を筆頭に、よく見ればラビオリまでつくっています。

 

ビールは創業時からずっとサッポロビール。外の行燈も、そうとう懐かしい時代のサッポロのロゴが使わています。

 

状態抜群の生ビール黒ラベル。老舗らしいすっとした形状のたっぷり入る500ジョッキが出てきます。よく冷え、程よいガス圧でフロスティミスト(泡と液の間にある霧状の泡)も美しいです。

では乾杯!

 

さらに飲み物の話をするならば、酎ハイが260円と「センベロ価格」です。下町らしくしっかり濃いのでご用心。足立区にご当地ドリンク「えんまサワー」なるものがあり、そのレシピは飲んでからのお楽しみ。

 

ボトル焼酎の品揃えも豊富。甲類は宝酒造のジャパンとニッポンの珍しい顔がふたつも。

 

魚からやきとりまで幅広く扱っています。近くの市場からはいる刺身はまずは食べておきたいところ。魚介系では自家製の煮こごりやジャンボさつま揚げもおすすめです。

 

自家製では、鶏ハム(400円)もビールのおつまみにぴったり。お店でつくるハムは、ふっくら仕上がり、噛むほどに旨味がじんわり染み出してきます。

 

やきとりのライバル多き北千住。どこのお店も個性豊かですが、正統派といえば「北千両」もよいものです。甘タレのほかに味噌もついてきます。一本120円から。肉系では6時間以上煮込み続けるホロホロになった牛煮込み(480円)も大将の定番料理です。

 

派手なことはなし。淡々と落ち着いた古を貫く料理たち。ポテトサラダも、ハムや温玉が載っていないのだっていいじゃない。これで酎ハイをちびりと飲みたい日もあります。

 

緑色がしっかりあるお茶割りが好きです。緑茶割り(360円)は、これもまた焼酎が効いています。北千住駅まで徒歩1分ですが、その先で寝過ごさないように気をつけます。

カウンターでゆっくり飲むもよし、テーブル席で気の知れた友人と杯を重ねるもよし。ほっとする空間で乾杯です。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

居酒屋 北千両
03-3870-6917
東京都足立区千住2-62
17:00~23:30(土定休)
予算1,500円



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