魚を看板に掲げた酒場は多い。いまや、東京の飲み屋街には一軒や二軒は必ずと言っていいほどにみかけます。漁港の酒場や海の家、はたまた漁船をモチーフにした業態など、バラエティに富んでいます。
そして、ここにきてついに鮮魚流通のプロが動き出しました。浜松町の魚錠は、名古屋で110年続く魚屋の老舗の直営店です。明治40年に創業した名古屋市中央卸売市場の仲卸で、多数の飲食店に魚を販売する業務用卸の大手です。
名古屋を中心に、スーパーマーケットなどの商業施設内で20店舗以上小売の魚屋も展開する魚錠は中部では知られた存在です。
そんな魚錠が日本橋や浜松町などに4店舗の居酒屋を展開しています。今回は増上寺大門にほど近い魚錠浜松町店へ、キリンビールさんと同行取材をしてきました。これがまた、素晴らしい刺身を食べられるお店で、ぜひ魚喰いには最後まで記事を読んでいただきたいお店です。
場所柄、会社員がメインとなるオフィス街の居酒屋。浜風の飾りはなく、すっきりとしたつくり。大衆割烹の現代版という表現がしっくり来そう。常連さんがひとりふたりで飲みに来るカウンターと、簡単な囲いがあり落ち着いて楽しめるテーブル席のつくり。
乾杯はもちろんキリンの新・一番搾りです。乾杯!
魚のプロとして恥ずかしくないものを、という想いが伝わってくる料理たち。聞けば、食材に肉はゼロ。徹底的に海のものだけに統一されています。今日のお通しはブリあら煮。
とにかく魚種が多い。日替わりのメニューからも相当な顔ぶれ。天候や季節で変動する海産物なので、固定のメニューも含めて入れ替わりは毎日とのこと。
生ビールはキリン一番搾りで中ジョッキ480円。瓶はキリンラガーで550円。酎ハイは380円~。日本酒は430円からと、店の造りや立地を考えればリーズナブルです。
フードメニューはわかりやすい写真いり。金額はやはり内容を考えれば割安に思えます。
看板料理はやっぱりお刺身盛り合わせ。これで950円というのは驚き。そしてなにより鮮度が抜群にいい。鯵もかつおもぷりぷり。帆立は殻付きを店で開いているそうです。まぐろも身質の良さ、保存状態の良さ、包丁の入り方もよいのがわかります。
特定の港にこだわらず、日本全国から集められた魚たち。産地や内容は日々市場の状況によって変化します。日本中で魚を食べまわってきた直後でも、なんの違和感もなく美味しく食べられる魚に驚きました。
つぶ貝、北寄貝、赤貝に帆立の会盛り合わせ。もちろん活貝を使用しています。北陸で食べたツブにも負けないコリコリした食感とねっとりとした旨味。
刺身にはやっぱりナショナルビール。キリンラガーと刺身の組み合わせは日本全国の食卓での定番。それは増上寺の門前でもかわりません。
北海道からの毛蟹はこれで1,280円。身詰まりがよくて引き締まり、味噌をたっぷり抱えています。
のどぐろは焼きか煮るかを選べて1,980円。ぱんぱんに膨らむほど肥えたのどぐろは、皮から箸を少し圧すだけでじゅわっと脂を滲ませます。濃すぎずいい塩梅の味付けで、箸がとまらぬ美味しさです。
寒鱈の季節。白子(780円)はこんなに張っています。時間の経過した鱈にあるクセは皆無で、かすかな磯の香りとまろやかな旨味。とろける舌触り。最近の魚介居酒屋のレベルは本当に高いです。
さて、皆さん海老は好きですか。私は大好物で、とにかく洋食屋に行けば最初はエビフライ。そして、ここでもエビフライ。一本380円(1本単位は珍しい)で、特大サイズがやってきました。さすが名古屋の魚屋さん。エビフライのことがよくわかっていらっしゃる!(笑)
日本酒はしぼりたてから貴重な吟醸酒、生酛純米までバランス良く揃えられています。
魚への熱い想いが詰め込まれた魚錠の直営店「居酒屋魚錠」。魚系の居酒屋がここにきてさらに一段グレードを上げたように感じます。今回は取材という仕事できましたが、次回はプライベートで魚好きの人たちと宴会に利用したい。
芝公園・増上寺といえば桜の名所。お花見の後の宴会場所として、ここはいかがでしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ タイアップ/キリンビール株式会社)
魚屋の居酒屋 魚錠 芝大門店
050-5590-7785
東京都港区芝大門2-8-13 サクセス芝大門ビル 1F
17:00~23:30(ランチ営業あり・日祝定休)
予算3,000円