学芸大学「もつ焼き大膳」 希少部位食べ比べ、良心価格の名酒場

学芸大学「もつ焼き大膳」 希少部位食べ比べ、良心価格の名酒場

2016年12月28日

もつ焼きは東京の下町側が有名で、聖地と呼ばれる立石がよく話題になります。ですが、山手側だって負けていません。密集はしていないものの、ベッドタウンの駅前に必ず一軒や二軒、いい感じのやきとり屋(もつ焼き屋)があるものです。

東急東横線もハイソなイメージとは裏腹に、実は小さな商店街にぽつりぽつりと大衆酒場が存在しています。下町とは客層こそ違うものの、美味しくて安くて楽しい店は夜な夜な大賑わいです。学芸大学駅ならば、ここ「大膳」を紹介しない訳にはいきません。

駅から徒歩3分ほど。近隣にも良さそうな店が点々とあり、飲み屋街パトロールも楽しいエリアです。店先に掲げられた赤ちょうちんが目印。派手さはなく、どっしりとした雰囲気が好き。

カウンター中心で22席の小箱です。4人用のテーブルもありますが、グループ宴会は事前予約をしておくのが吉。焼台が外側を向いた昔ながらのもつ焼き屋のつくりですが、創業は2009年と新しい。とはいえ、激戦区で8年目を迎えるのは大変。

飲み物を見ていきましょう。生ビールがキリン一番搾り(IS)、メニューには記載がありませんが瓶ビールでキリンラガー(RL)も取り扱いあり。店先のキッコー宮のマークの通り、甲類焼酎はキンミヤで、ホッピーも白黒揃っています。

どこか懐かしさを感じるカウンターには、どっしり構えたラガー瓶がよく似合います。それでは乾杯。

ガツンとくる苦さ、これぞ昔ながらのキリン味、先輩の味。

もつ焼きは1本100円。希少部位も含めて種類が豊富なのが特長です。刺しもののガツやコブクロなどは串に刺さった状態で提供される「カッパ」(吉祥寺・荻窪・中野)スタイルです。

日替わりのオススメ、もつ焼きを食べに来たのに、自家製チャーシューに浮気しちゃいそう。

ポテトサラダは300円。もちもちねっとり、黒胡椒がポイントの自家製もの。ポテトサラダにきゅうりが入っているのが好き。

もつ焼きが焼ける前のつなぎに冷やしトマトを。もつ焼き・やきとんって食べていると結構口に脂がたまってくるじゃないですか。それを最も素早くリフレッシュしてくれるのは冷やしトマトだと思うんです。

もつ焼きは1本から注文可能、タレと塩が選べますが、味はおまかせで頼むのがよいかと。串打ちが丁寧で同じ幅で冊状にきしっと刺さっています。これって実は修行しないと出来ないもので、焼き方、もつの鮮度を含めて腕の良さが感じられます。

キクアブラやオッパイ、サガリなどの希少部位は仕入れ量が少なく売り切れてしまうことも多いのだそう。定番のハツだってぎゅっとつまった旨味が噛むほどに広がる美味しさ。炭火でそっと焼いていくので強火でガンガン焼く店と比較すれば時間がかかりますが、その分燻されて引き締まった状態を楽しめます。

豚モツ好きにはたまらない、このプリプリのキクアブラ。豚の小腸の周辺の脂で、口の中でふんわりトロっと旨味が広がります。テッポウの脂りもすっきりしていて、あれよあれよと食べてしまいます。店の看板串です。甘めのタレとあいまって、ビールをあっという間に飲み干してしまうポテンシャル。

ここのもつ焼きはどれも美味しい。軽く数本摘むつもりが、勢いがでてきて次々頼んでしまいます。キリンラガーの苦味とよく合うんです。

その他、変わり種いろいろ。誘惑に負けていろいろ食べ比べてしまいます。

「黒板メニューが書き換わっていくので、いつも新鮮に楽しる」と常連さん。地元の方がほとんどで、会社帰りのサラリーマンや近隣に住む飲み好きのご夫婦など、ベッドタウンの商店街酒場らしい雰囲気がほっとします。

最後はすっきりと酎ハイで水分補給。満足、満足。山手のもつ焼き酒場だって負けていません。いままで学芸大学を通過されていた皆さま、ちょいと途中下車で一杯いかがでしょう。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/キリンビールマーケティング株式会社)

もつやき大膳 学芸大学
03-3713-9489
東京都目黒区鷹番3-10-8 1F
17:00~23:30(日定休・不定休)
予算2,000円