中野のレンガ坂にオープンした「コグマヤ」が結構いい酒場です。2016年8月2日のオープンと、まだ店の歴史は始まったばかりですが、古き良き酒場の空気感がよく醸し出せているように感じます。
飲食店ビルの2階という立地ながらお客さんの人気はなかなかのもので、19時位には満席となるほどの賑わいです。
内装は厨房側を向いた一直線のカウンターと奥のコの字だけで、テーブル席はありません。一人飲み、二人連れなどでふらりと立ち寄って、小一時間飲んで梯子していくという人向けという感じ。提灯の光で照らされた雰囲気は、飲みたいという欲求にダイレクトに響きます。
ビールは生樽がサッポロ黒ラベル、瓶は赤星(中びん480円)です。ビールと酎ハイを主軸にした構成はまさに大衆酒場のそれ。甲類はご想像の通り宮崎本店の甲類「亀甲宮」です。
まずは生ビール(380円)から始めましょう。380ウィングジョッキに状態抜群の黒ラベルが入って380円は嬉しい価格。ぐいぐい何杯でも飲みたくなりますね!では乾杯。
大衆酒場を現代風に、というコンセプトですと、すぐに思いつくのはもつ焼きですが、こちらの看板商品は串に刺した煮込みです。どて焼き・どて煮ではなく、ちゃんと東京形の煮込みがベースとなっていて、1本100円です。串の本数で計算されたりしたら嬉しくなっちゃいます。※普通にPOSです。
基本のもつの他に着目したいのはキャベツ(120円)。新宿の思い出横丁に串に刺さった煮込みキャベツをシメに頼める老舗もつ焼き・もつ煮込みの店がありまして、もしやと訪ねてみましたら、やっぱり料理長は酒場好きでした。
揚げもの、ポテトサラダなどはありますが、料理の種類はだいぶ絞られていて、ここは煮込みでビールや酎ハイを飲む店だよ、という主張も感じられます。
お通しのサラダは250円。ビールが美味しいので二杯目に行くのはあっという間でした。寒い日は煮込み屋でビールが美味しい!
つづいて赤星へ。レンガ坂は若い人向けの店が次々オープンしていますが、やっぱり赤星の似合うオヤジ酒場がないと飲み屋街がしまらないですよね。ここはばっちり。ビヤタンまで冷やされていて、そういう細かな配慮が嬉しい。
お店のおすすめしている二種類のポテトサラダ。男の…と女の…があり、女のポテトサラダには塩辛が混ぜ込まれています。じゃがいもに塩辛を載せる北海道の郷土料理の状態違いという感じで、美味しいに決まっています。
男のポテトサラダはカレー風味だそうです。
煮込み、いきましょうか。豚ではなく牛のホルモンをつかっています。1本100円、しっかり煮込まれ飴色に染み込んだ煮込みはどれも美味しそう。赤味噌ベースで、やや名古屋的な味にも思えますが、そこまで甘いわけでもない。濃厚な旨味にビールがくいくいと進みます。うずら、すじ、ホルモン。
タンの煮込みは贅沢です。味噌で煮込んでも脂と身のバランスがよくしっとりとしています。カラシをちょっと多めにつけて頬張れば、もうたまらない。
とうふ(100円)もかなりいい色しています。味噌の芳しい匂いがあたりに広がり、見た目と匂いだけでホッピーのナカをお代りしたくなります。
揚げものから、季節感のある舞茸天(280円)をチョイス。ちゃんと天つゆがついてきます。煮込み屋だけど、他の料理も十分に手をかけられているのが嬉しい。オペレーションは大変そうだけど、手頃な価格でいい店・いい料理を楽しませてくれるのだから、通い続けて感謝しなくては。
紅茶ハイ(380円)は、場所がら午後の紅茶ですか?と思いましたが、店で煎れているものでした。手間かかっていますね。
赤玉ハイボール(380円)は、甘めの赤玉スイートワインを瓶入りソーダで割ったもの。私はここにキンミヤをいれて、ばくだんにしたい(笑)ホッピーのナカを頼めばできますよと言われたけれど、私は大人なので…。
シャリキン(シャーベット状にした甲類焼酎キンミヤ)は年中置いていますので、シャリキンホッピーがお好きな方はぜひ。シャリキンをベースにしたレモンやザクロなどバリエーションがあり、この夏流行りはじめた変わりダネ系サワーも楽しめます。
酎ハイサーバーがなくて、炭酸はコダマ飲料の瓶を一本一本開栓してくれるのですが、コストはかかってもこっちのほうが酒場らしさはありますね!
店名のコグマヤさんは、料理長の名前が熊代(くましろ)さんだからコグマヤだそう。長く続く老舗酒場を目指されてほどよいやる気が感じられ、店員さんの接客もちょうどいい感じ。煮込みが食べたくなったら、たまには新店を覗いてみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
大衆酒場コグマヤ
03-6304-8655
東京都中野区中野3-36-4 深野ビル 2F
17:00~24:00(ほぼ無休)
予算1,800円