なんば「シバチョウ」 150年間ずっと難波でお酒を売ってきた店の若旦那

なんば「シバチョウ」 150年間ずっと難波でお酒を売ってきた店の若旦那

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今日は角打ちを紹介いたします。いまから150年前、幕末のころに創業した酒屋です。坂本龍馬が生きている時代からやっていたと聞けば、思わず「おおー」ってなりますね。

大阪難波の中心街で長きにわたってお酒を売り続けている柴長酒店は、お昼からちょこっと立ち寄れる角打ちとして地元の人に愛されています。店構えもなかなかのもので、戦災により一部を補修しているとはいえ、立派な石泉の店舗はいかにも酒屋という風格です。店の奥の倉庫になっている部分は、通路の内側に向けて傾斜と溝がつくられていて、水洗いができるような独特な構造になっています。これは、昔はお酒は酒瓶に詰めて販売するのは酒屋の役目で、いくつかの銘柄を混ぜたり加水を酒屋自身でやっていた時代の名残。通い徳利と呼ばれる酒屋の名が記された大きな徳利が瓶の変わりに活躍していたそのころからの造りです。

周辺は南海、近鉄、地下鉄にJRと鉄道交通の要所となっていることもあり、多いに栄え、大手家電量販店やデパートなどが立ち並ぶ大阪ミナミの中心地となっています。

 

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朝10時から営業しているので、通りがかりの飲兵衛さんがきゅっと入れていく姿や、偶然通りがかった観光客がおもわず雰囲気に引き寄せられて軽くビールやワインを飲んでいくことも多い。こんな歓楽街のまん真ん中に角打ちがあるというのは、大阪以外では考えられない。飲酒が日常にしっかり根付くこの街ならではの雰囲気だと、飲み歩く度に感じます。

 

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グラス売りの値段がかかれた瓶がずらりと並んでいます。小売の値段にわずかに乗せたくらいの価格帯で、京橋や天満の驚くほど安い立ち飲み屋と比較しても、より安い。

多く並ぶお酒はやはり関西圏の銘柄が多く、定番酒は灘の銘酒櫻正宗です。白鶴などが並ぶ中、おっと思うのが「あかし」という名のウィスキー。兵庫県明石で神鷹などの日本酒をつくる「江井ヶ嶋酒造」のウィスキーでなかなかめずらしい。国産ウィスキーといえば、ニッカとサントリーが有名ですが、小さな蒸留所を探すのもおもしろい。

というわけですが、私は神田・根岸・谷根千界隈で愛されている櫻正宗が好物なので、これを一杯。では乾杯!

 

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ずらりと並ぶ日本酒は、最近のキラキラ系角打ちのようにおもいっきりめずらしい銘柄に振りすぎず、程よく玉乃光などが混ざっていることに好感がもてます。歴史ある酒屋はやっぱりこうでなくちゃ。

 

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駄菓子屋感覚でちょこっとつまめる乾き物をつまみに、お酒を飲み進める。店内ぐるりと並ぶお酒を眺めながら飲んでいるだけでも楽しいのですが、こちらは若旦那がとても素敵な方でぜひお話しながら飲みたいです。

6代目となる弥助さんは同い年くらいの青年でとっても爽やか。いまどきの人っぽいのですが、酒屋を継いでこの文化をいつまでも残していくという強い信念をお持ちの方。名前の由来は、柴長の初代の名からとったそうで、本人は幼い頃から酒屋を引き受けるつもりでいたのだそう。

日本酒、ワイン、そして難波で100年以上お酒の配達をしてきた老舗ならではの情報力で、会話は実に深く興味深い。所々に大阪人らしく笑いネタをはさみながらも、芯の強いお酒愛を感じる弥助さんとのお話は、なによりのお酒の肴です。

ごちそうさま。

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

シバチョウ
06-6641-3617
大阪府大阪市中央区難波3-2-32
10:00〜20:00(日祝定休)
予算1,000円