萩ノ茶屋「すき焼き・鍋物なべや」安い、美味しい、西成名物一人鍋を満喫！

【お詫びと修正】表記の一部に誤りがありました。修正してお詫びしいたします。ご指摘いただきました読者様、ありがとうございます。2018年12月19日　塩見なゆ

今日は大阪は西成を散策中。大阪環状線の新今宮から南側は、簡易宿泊所が集中する釜ヶ崎と呼ばれるエリア。東の山谷、西の釜ヶ崎なわけですが、山谷のほうはだいぶ静かになってきまして、いまは外国人のバックパッカーの姿のほうが本来そこで暮らしていた人よりも多く見かけるほどに。ですが、釜ヶ崎のほうはと言いますと、高齢化が進んだとはいえ、まだまだ元気。女性が一人で歩くことは歓迎されないことが多い。

父親の仕事の関係で小学生の頃、地元の行政関係者に案内され釜ヶ崎を歩いたことがありますが、当時は道路上でドラム缶に火が焚かれ、そこらじゅうにカップ酒を片手に寝ている人がいる姿は衝撃的でした。あれから20年。今では大阪に来たら当たり前のように釜ヶ崎を飲み歩くようになりました。

そんな西成・釜ヶ崎の中心地、三角公園のすぐ横に創業60年の名酒場があることはご存知でしょうか。今回は勇気をふりしぼって飲みに行って欲しい店「なべや」を紹介します。西成、釜ヶ崎で飲むと行ったらここでしょう。

毎週水曜定休で、オープンは14時。大変な人気店で、開店直後で運が良くないと飛び込みでは振られることもある人気店。ここまで来て満席だったらつらいので、狙っていくのであれば要予約。

店名の通り、鍋をメインにする酒場で、年中鍋を扱っています。鍋ができるまでの肴も充実していて、100から300円と大変リーズナブル。いかの浜焼、数の子ワサビ、鱧湯引きなど単なる鍋の前にちょっとしたつまみの域におさまらない料理が多く、これだけで飲むのもありなんじゃないかと思うほど。

乾杯のビールはキリンラガー（だいびんで500円）で始めましょ。大阪のコテコテ酒場にはやっぱりキリンラガーが似合います。それでは乾杯！

サイドメニューの中でも必ず食べておくべきものがこちら、鮪すきみです。なんとこのボリュームで280円。場所と値段のあまりにも安いことでちょっと腰が引けるかもしれませんが、大丈夫。そこらの鮪なんかよりもよっぽど美味しいから。

年中置いている豚、鶏、牛の鍋が定番で、そのほかに季節商品として牡蠣鍋などがあります。かきみそ鍋（1,100円）は溢れんばかりの大ぶりの牡蠣を敷き詰めて、下の野菜が見えないほど。

鶏水炊き鍋（830円）は、ぷりっぷりの鶏肉がこれでもかと載っている。ガス台はひとり一台セットされていて、いわゆる一人鍋のお店なのですが、そのボリュームは決して一人用とはいえないダイナミックなもの。

空腹でやってきて、鍋をまだかまだかと期待しつつ、大びんをビアタンにちびちびと傾けながら待つ時間、これこそ最高のスパイスではないでしょうか。さぁ、ぐつぐつしてきました、ポン酢でいただきましょう！

はい、こちらが牛肉鉄鍋ね！ドンとでてきた牛肉が敷き詰められて底がみえない強烈な鍋。どうですか、もう笑わずにはいられません。なんと830円です。外食の相場が安い大阪においても、なべやの鍋はどれもずば抜けて安い。

これで笑顔にならない人はいないでしょう！

牛肉鉄鍋はお肉たっぷりの関西流すき焼き。玉ねぎの甘みが鍋全体に広がります。程よく火が通った牛肉を、生卵にくぐらせ頬張れば、幸せ間違いなし。食べても食べても、まだたくさんある牛肉に憧れた人も多いのでは？

牛肉の旨味をすったもやしもビールのつまみとして大活躍。

一人ひとつの鍋。自分のペースでゆっくりとお酒のつまみで味わう。鍋をメインにした酒場は大変珍しく、それが西成にあるというのもまた興味深い。大衆感あふれる昭和な内装、関西のちゃきちゃきの商売人気質の女将さんの接客、ボリューム満てんで「これでどうや！」という気合のようなものすら感じる鍋たち。そんなこの空間のあらゆるものが絶妙なバランスで混ざり合い、気がついたら酒場に心がとろけさせられている。あぁ、酒場っていいなと素直に感じる瞬間です。