山手線は駅ごとに違った表情があり、街の文化を色濃く反映した飲み屋があるから楽しいです。そんな街を写す鏡、五反田といえば「かね将」でしょう。
昭和58年創業、今年で32年目を迎えるそろそろ老舗に分類される五反田の大衆酒場の王道をいくお店。16時半のオープンから続々と界隈に住む人やサラリーマンが集まり、あっという間に満席となる人気店。入り口は二箇所あり、お店の人気で増床した経緯から不思議な構造になっています。
名物は毎日芝浦から仕入れてくる新鮮な「もつ」と、料理上手のオーナーが考案する一手間かけた酒場料理です。
若くて元気のある店員さんたちが「いらっしゃい!どうぞ」と迎えてくれます。この瞬間が飲兵衛は最高に嬉しいんですよね。元気があるといっても、決して騒がしいということはなく、年齢層の高い客層とのバランスがとれたしなやかさを感じる応対で、ほっとするはず。
まずは瓶ビールで乾杯です。樽生もびん(大びん560円)も黒ラベル。かね将の料理は黒ラベルとよく合います。それでは乾杯!
焼きとん屋なので、レバ、かしら、はつなど定番が揃いますが、おもしろいのはシロのことを「ひも」と呼んでいること。新鮮でプリっとしていて下ごしらえも丁寧な仕事がされていますから、もつが得意ではない人も試してみてほしいです。1本100円は山手線沿線では貴重。
生野菜サラダは、まずは1品目に頼んでおきたい名物料理。自家製のニンニクが効いたドレッシングでいただきます。このお椀にいっぱい入って210円(ハーフ)は健康を気遣う大将の心遣い。ポテトサラダもどちらもハーフサイズで頼めます。
かね将は煮込みの種類が多い。まずは定番の豚モツ煮込み。七味をふりかけて、ハフハフしながらいただきましょう。
こちらは牛すじのトマト煮。料理上手の大将が考案した最近の名物料理。パプリカやじゃがいもと一緒に圧力鍋で煮こまれた牛すじはかすかにハーブの香り。トマトテイストの煮込みは数あれど、私はかね将のこれが一番好み。
自家製の肉じゃがもあり、そちらも美味なので数人で来たら煮込み系3種類すべて挑戦してみてほしいです。どれもハーフサイズで210円とリーズナブルです。(写真はいずれもハーフ)
おまちどう!と出てくる焼きとんは、大きくて食べごたえ十分。予め火を通しているので出てくるのが早いです。大衆酒場はスピードも大切ですね。
おすすめはプリプリのタンで、これを100円で食べられるのならば五反田駅で途中下車の価値は十分にあると感じます。
そして一番の好物はかね将自家製のつくね(1本180円)。ジューシーでハンバーグみたい。あまり辛くない練りがらしをたっぷりつけて、たまりません。
築地から仕入れる新鮮なまぐろブツは、ここに通ってもつ焼きを食べ尽くした常連さんたちのお気に入りで、中トロに近い部位がたくさん盛られて420円は安い。居酒屋メニューが充実しているので焼きとん以外もぜひお試しを。
お酒はビールのあとはハイサワーに移るのが”かね将流”。わるならハイサワーでお馴染みの博水社は、このお店から数キロしか離れていない武蔵小山にある会社。地元の割り材を地元で楽しむ、いい感じでしょ。
青リンゴ、レモン、グレープフルーツのほかに珍しい梅味のハイサワーも。ウーロン茶は珍しいポッカサッポロのリターナブルです。割り材と焼酎は別々にでてきて、甲類は宝(230円)でハイサワーは160円。これを好きな濃さにして飲みます。
都会のオアシス、かね将は焼きとん好きならば必見です。日曜日も営業しているので心強い!
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
かね将
03-3495-4677
東京都品川区西五反田2-6-1
16:30~23:30(水定休)
予算1,800円